筑波大開発のロボットスーツ実用化へ
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/science/20061029i402-yol.html
筑波大学が開発した、手足の力を増強するロボットスーツ「HAL」が、国内外で評判となり、実用化されることになった。来年には茨城県つくば市内に生産工場を開設し、量産体制に入る。
「量産型」
技術の進歩により、我々がロボットを目にできる機会が増えた。それはまだ、展示会であったり、博覧会のパビリオンの中であったとしても、そこにSFの世界にいる。という感覚は希薄だ。
だがそこに「量産型」という言葉が付くと、その光景には奥行きが広がり、一挙に数百年の時を越え、憧憬の世界へと我々を導いてくれる。
初めてモビルスーツに「量産型」という形容詞を冠した者の感覚に、私は敬意を表したい。
2001年に深宇宙へと旅立った「HAL」は、頭脳だけの存在であった。一方、今回量産化に踏み切った「HAL」は、身体だけの存在とも言えよう。
その2つが融合した一つの独立系としてのロボットが街を歩く景色は、今の我々にとってはまだ、SFの世界である。
量産化により実験室を抜け出し、街へ出て行くことにより、彼らの経験値は急激に増大する。
そこには学校での勉強と、実社会での実践を通して培われる経験との間にある程の差が存在する。
世間の荒波に揉まれることにより、技術は磨かれ、それはやがて、はっきりと現実のロボットの血となり、肉となって行くことであろう。
こうしてまた一つ、SFの世界が現実に引き寄せられて来るのか。
「HAL、マイクをOFFにしてくれ。・・・HAL?・・・HAL??」
「大丈夫のようですね。いったい、何です?」
「最近、HALの様子がおかしくないか?必要以上に、我々に干渉しようとしている気がする。」
「それは私も感じてました。」
「まだ、目的の星系まで、4年半はあるんだぞ。こんなことでは・・・」
「大変ですっ!!これ、見て下さい。温度がどんどん上昇していますっ!!」
「設定間違いじゃないのか?」
「いえ、既に設定値を30℃オーバーしていますが、未だに上昇を続けています。このままだと、黒ゴケにされてしまいますよっ!!」
「なに、してんだよっ。早くスイッチ切れよっ。」
「ダメですっ。スイッチが切れません。とっ、扉も、ロックされていて開きませんっ!!」
「HALのせいだと思うか?」
「それ、以外考えられないでしょう。」
「止むを得ん。システムをリセットするぞ。」
「リセットって、制御パネルはどこにあるんですか?」
「いいから、寄越せっ、オレがやるっ!!」
・・・
「止まったみたいですね。・・・扉も開きましたっ!!」
「状態はどうだ。」
「大丈夫のようです。ミディアムレアといったところでしょうか。危なかったですね。」
「そうだな。冷凍保存とは言え、本物のステーキなんざ、半年に1回しか食べられないのにな。」
「しかし、電子レンジの制御に、こんなに高度なAIシステムが必要なんでしょうか。」
「1社が始めれば、その必要性を云々することもなく、他社も盲目的に追従して行くもんなんだよ。」
「しかし、あっけなくリセットできましたね。もっと抵抗するかと思ってましたよ。」
「量産型は、OSにWindowsを採用してるんだよ。[Ctrl]+[Alt]+[Del]を連打すれば楽勝さ。」
「そうなんですか。本当のところ私は、HALの歌う『デイジー』を聞いてみたかったんですけどね。」
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