「賞味期限切れ」でも、捨てなくてOK
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20051117306.html
そろそろ古い保存食品の整理をしなくては――今度そう思ったときは、気にせず先延ばしにしてかまわない。メーカーが設定した賞味期限を過ぎたあとも、多くの食品は何年、あるいは何十年と食べられる状態にあるからだ。
この事実は、食品科学者のチームが先ごろ行なった研究で明らかになった。かなり古い食品のサンプルを試食してもらったところ、20年前の粉ミルクや28年前のロールドオート[蒸して平らにつぶし、乾燥させたオート麦。ゆでてオートミールなどにして食べる]といった加工食品は、まだ十分に食べられるばかりか、味が落ちていないものすらあることがわかったのだ。
ミネソタ大学のテッド・ラブーザ教授(食品科学工学)は、傷んでいない種なら何千年でも保存できることが調査からわかっていると話す。加工や不適切な貯蔵の結果、熱や酸素にさらされることが品質劣化の原因だという。
「先輩っ!!来てくださいっ!!ここの棚全部、缶詰ですよっ!!!」
「やったな。まだ、食べられそうなものあるか?」
「これ、相当古いものですね。こんなの、始めて見ましたよ。」
「賞味期限は?」
「1978年ですね。」
「西暦で?」
「当たり前でしょう。」
「さすがに、それじゃ、無理だろう。」
「いや、多分、大丈夫です。見て下さい。たかが缶詰の外装に、こんなに沢山の金属が用いられていますよ。まだ誰もが、資源が無尽蔵にあると信じていた時代の遺物ですね。これだけ過剰に保護されていれば、賞味期限が多少過ぎていても、食べられるんじゃないですか?」
「多少ならな。1世紀前じゃ、いくら何でも、無理じゃないのか?・・・どうした??」
「まさか・・・。いや、間違いありません。これ、天然の魚で作った缶詰ですよっ!!」
「合成蛋白じゃなくて、培養細胞で作られてるのか?」
「いや、それどころか、本当に海で捕った魚を、そのまま缶詰にしているようですね。」
「そんな時代に、缶詰なんかあったのか?」
「何言ってんですか。そもそも、生では保存できないから、缶詰という技術が開発されたんじゃないですか。こっちはなんと、『タラバガニ』ですよ。」
「そんなもん、どこの研究機関にも、DNA情報すら、残ってないだろ。」
「まだまだありますよ。『イワシ』『アンコウ』『ホタテガイ』・・・こっちは、なんと『鯨』ですよ、ク・ジ・ラっ!!」
「悪いけどな、こんな貴重な生物標本を、食べるワケには、いかないだろう。持って帰れば、また人類が、本当の生物由来の食品を食べられるようになるかもしれないぞ。」
「・・・。今まで、振れないで来ましたが、先輩は本当に、まだ活動状態にあるシェルターが残っていると、信じているんですか?どうなんです?」
「何事も、諦めてしまったら、お終いなんだよ。」
「そう思って、私も頑張って来ましたが、先輩だって、頭ではもう、絶望的なことぐらい、解ってるんでしょ。絶対に生存者がいないとは言いませんが、この缶詰のサンプルから、生きた魚を蘇らせるような技術は、もう、人類に残っていませんよ。」
「・・・」
「どうせ、我々ももう、あまり長くはありません。これを食べたからって、誰も咎めるものなどいませんって。」
「・・・」
「逆に、今、我々が食べなかったら、別のの意味で『賞味期限切れ』になっちゃいますよ。」
「???」
「もう、自分を食べてくれるものが、誰もいなくなってしまったことを知らずに、未来永劫、食べ手を待ちつづける『缶詰』の気持ちを考えると、このまま立ち去るワケには、行かないでしょう。」
「・・・」
「じゃぁ、こうしましょう。同じ種類が2個以上あるものだけ、食べましょう。それなら、OKですよね。」
「・・・」
「いいんですね?じゃあ、開けますからねっ。・・・・・・・・・」
「・・・どうした?」
「これ。プルタプが付いてませんよ。ひょっとして『何か特殊な道具』が必要なんじゃないですか?」
「『缶切り』って、言うんだよ。・・・そんな、オチかよっ。」
・・・
「先輩。すごいもん、見つけちゃいましたよ。」
「なんだよ。」
「この街って、伝統的に、近代文明を否定し、環境問題を重視する人達によって、運営されて来たんでしたよね。」
「あぁ。だからこそ、こうして、近代文明に依存しない物資が残ってるんじゃなんかと思って、捜しに来たんだろ。」
「『あなたたちは、この期に及んでまだ、貴重な生物種の根絶に荷担しようとするのか。我々は、断固それを阻止する。』ですってよ。」
「その缶のラベルに、そう書いてあるの?」
「ええ。」
「で、それは何の缶詰なんだ?」
「『缶きり』の缶詰ですよ。」
| Trackback ( 0 )
|