アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

気になるヤナギ (2) コリヤナギ

2021-03-07 18:00:00 | みんなの花図鑑

これは 郷東川という小河川の河川敷に おそらく上流から流されてきたものが根付いて育ったヤナギです。




ヤナギは雌雄異株で、この花も 最初に見たときは、赤い点々が見えるので ネコヤナギなどの雄花のおしべの葯が咲いているのかと思いましたが・・・




よくみたら めしべの柱頭が赤いのでした。つまり、これは 雌株だったのです。




さて、ヤナギの雌花の雌しべの柱頭が赤いことを見つけると おのずから このヤナギの種類を絞ることが出来ます。
柱頭が赤いヤナギは限られているからです。




柱頭が赤いヤナギは 「コリヤナギ(行李柳)」です。
「雌花は雄花よりやや小さく、子房には白毛が密生し柱頭は紅色である。」(みんなの花図鑑「コリヤナギ [行李柳]」、太字引用者)
「子房に紅色の柱頭がつき、子房には白毛が密生し、基部に黒い苞が見える。」(里山コスモスブログ「コリヤナギとイヌコリヤナギ」)
よく似た(柱頭がハート型)ヤナギに 「イヌコリヤナギ」がありますが、柱頭の色は黄色とあります(同上)
それ以外にも コリヤナギとイヌコリヤナギは兄弟のように似たところがあります。
たとえば、雌花の「子房には白毛が密生し、基部に黒い苞が見える」(同上)ところとか、
たいていのヤナギの枝は 互生しているのですが、コリヤナギとイヌコリヤナギは「対生」することが多いとか ∧||∧


気になるヤナギ (1) ネコヤナギ改めフリソデヤナギ

2021-03-07 09:21:31 | みんなの花図鑑

於大公園(東浦町)の中池に ヤナギの木が2,3本植わっています。


こんな可愛い樹名板がつけてあり・・・ (^^)/

そこには 「ネコヤナギ」と書いてあります。



私も 以前はネコヤナギと思っていました。




でも、今は ネコヤナギではないのではないか、と疑っています。
それには根拠があります。




ヤナギは雌雄異株で、このヤナギはおしべを付けた雄花ですから 雄株です。
雄花のときは おしべを観察することにより区別できることがあります。


以下は、「この木なんの木掲示板」に HNクサボケさんが掲載されたものです。許可を受けていませんが、非常に分かりやすい比較図なので、ここに転載させていただきます。

クサボケさんが そこに付されたコメントのうち 前半の ネコヤナギとバッコヤナギについてのコメントです

「もし雄花が咲いたら雄しべを観察してみると違いがわかります。
小さな花がたくさん集まって咲くのですが、ネコヤナギはひとつの花に雄しべ1本、やや太めの雄しべで、咲き初めは葯が赤く、花粉が出てくると黄色くなります。
バッコヤナギはひとつの花に雄しべ2本ずつで、ネコヤナギよりも本数が多いため密度が高くふわふわした感じがすると思います。バッコの葯は黄色いので花粉が出ても色の変化はありません。」





で、今見ている雄花を見ると・・・
一本だけ 抜けかかっている小花があります。ごらんのように 根元は一本で 途中から2つに分かれています。
仮に ネコヤナギなら2本の雄しべは合着して太めの1本に見えるということでした。
仮に バッコヤナギなら 2本の雄しべは基部でも葯のほうでも合着してなくて2本に分かれているということでした。それに 葯が黄色なので、今見ているヤナギは ネコヤナギでもバッコヤナギでもありません。




結局、おしべが途中から2つに分かれているのは ネコヤナギとバッコヤナギの雑種の「フリソデヤナギ」ということになります。




先のフリソデさんのコメントの後半です
「雑種フリソデヤナギは葯が赤いところはネコヤナギに、花序のふわっとしたボリューム感はバッコヤナギに似ています。雄しべは、つけねの方が1本で先が2つに分かれ、両親を足して2で割ったような形が面白いです。ルーペを使って花をひとつひとつ見ていくと、先端だけちょっと分かれている雄しべもあれば、中ほどで分かれるもの、つけねまで分かれて2本に見えるものもあり、同じ木に咲いていても分かれ方はいろいろでした。」