アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

樹に咲く花 (3) キブシ

2021-03-23 19:41:28 | みんなの花図鑑
銀葉キブシ(白覆輪斑) 安城デンパーク

キブシ科キブシ属の木だというのですが、とにかくこんなすだれのようにいっぱい垂れ下がります。




「花は、3-5月の葉が伸びる前に淡黄色の総状花序につける。長さ3-10cmになる花茎は前年枝の葉腋から出て垂れ下がり、それに一面に花がつくので、まだ花の少ない時期だけによく目立つ。」(wiki 「キブシ」)




和名のキブシですが「木五倍子」と書きます。「五倍子」だけで 「ふし」と読み、これは ウルシ科のヌルデの葉にヌルデシロアブラムシが寄生してできた虫こぶ(虫癭)のことで、「タンニンが豊富に含まれており、皮なめしに用いられたり、黒色染料の原料に」利用していたということです。「工業用のタンニン酸製造の原料として、1938年頃には山口県、三重県、兵庫県などを中心に200tの五倍子が生産されていた。」(wiki 「ヌルデ」)




キブシの果実を「染料の原料である五倍子(ふし)の代用として使った」ので キブシの名がつけられたということです。




さて、花の中をにぞいてみると、中心に 緑色の雌しべがあり、周囲に黄色い花粉の雄しべがあります。この花は 両性花のように見えます。
しかし、 キブシは「雌雄異株」ということです。
「雄花は淡黄色、雌花はやや緑色を帯びる。」
「雌花、雄花とも雄蕊は8個、雌蕊は1個ある」
「が、雌花の雄蕊は小さく退化している。」(同上)

比較する相手が無いので分かりませんが、おしべが退化しているようには見えませんから これは「雄花」でしょうか?
でも、「雄花」というには めしべが立派すぎます (´v_v`)





キブシ (西尾市憩の農園)

というわけで、雌花らしい雌花を探しに 西尾市憩の農園 へ行ってみました。
鉢植えの幼木ですが、どれも今 花を付けています。



園内のあちこちに置いてあるキブシを鉢ごと持ち上げ、花を覗いてみるのですが、どれもみな こんな風に 元気な雄しべと同様に元気なめしべが付いている鉢ばかりです。



花粉は今にもこぼれそうですし、めしべの深緑色の柱頭の玉も艶々していて元気そうです。



たまたま花弁がはがれた花があったので、花蕊の様子を撮影してきました。
めしべ、おしべ同じくらいの長さです。

というわけで、これぞ雌花というキブシには出会えませんでした。





エゾキブシ (安城デンパーク)

ふたたびデンパークに戻って、花木園の銀葉キブシとは別のところにある エゾキブシを観察してみます。




ところが、このエゾキブシも 8本のおしべと 玉のようなめしべが 両方ともほぼ同じくらいの高さにしっかりあります。
こういうのは 雄花とか雌花とかの単性花でなく 両性花ではないのでしょうか??



で、ネットを検索してみると、(灯台元暮らしというか)gooブログ内に
 里山コスモスブログさまの「キブシ開花 雄花(雄花・両性花状雄花)と雌花」
という記事があるのを見つけました。
「雌雄異株説又は不完全雌雄異株説ある」というのです。




以下、その「不完全雌雄異株説」による解説です:
「柱頭が葯より下方にある雄花(雄株)、柱頭と葯が同じ高さにある花<私流に両性花状雄花と呼ぶことにする>、雄蕊が退化し柱頭だけが覗く雌花(雌株)を観察した。」
両性花状雄花は雄蕊8個と同長の雌蕊、子房はやや貧相、柱頭は雌花のそれに似る。一見両性花に見えるこの両性花状雄花は低頻度であるが結実するとのこと。」










樹に咲く花 (2) アオキ

2021-03-23 09:20:47 | みんなの花図鑑
(この記事は 2021-03-25 「雌花」部分を加筆修正しました)

雄花 (安城デンパーク)

アオキは日本原産の常緑低木で、高くなっても2~3mの樹高です。
古くから庭木に植えられていて真っ赤な実で馴染み深い植物です。



学名も Aucuba japonica
この属名アウクバ(Aucuba)は 「アオキバ(青木葉)」をラテン語読みしたものです。
種小名 japonica (ヤポニカ)はもちろん日本原産であることを示しています(逆は必ずしも真ではないですが)。




さて、ようやく本題です。
アオキの木は 雌雄異株。
この木は雄株です。なぜなら 雄花が咲いていますので。



雄花ですので、あの真っ赤な実は なりません。



雄花 (安城市)

別のところで撮った 雄花です。
真ん中に 四角いきれいな緑色の花盤があり、そのコーナーに立っているのが おしべ です。黄色い花粉を出しています。



四角い花盤の各辺から 赤紫色の花弁が出ています。
このように、アオキの花は かなり独特のかたちをしています。




雌花 (正法寺・安城市) 〔2021-03-25 画像差し替え〕

雄花と同じ形をした花弁の中には 今度は めしべが1個だけです。



花盤と同じ緑色のめしべ。もちろん柱頭も 同じ緑色。



横から見ています。



花弁の下にあるのが 将来赤い実になる子房部分です(花弁の下に付いていますから 子房下位 です)。




ところで、雌花(雌株)なのですが、ところどころに 白いシベが見えます。






これは両性花なのでしょうか? それとも 雌株でもたまに 雄花を作ることがあるのでしょうか??




雌花 (秋葉公園・安城市)

アオキの花は 雌雄がはっきりしているものだと思ってましたが、ここにきて、両性花もあるかも?と思えてきました。



そこで、秋葉公園へ行ってみました。ここにはたくさんのアオキがあるからです。(しかも 雌株が多い?!)



逐一調べていくと・・・
やはり 「これは?!」という花が やはりありました。



異常ですか?! めしべが4つある? いえ、これは退化したおしべ??
ということで、こちらも、もう少し調べる必要があるようです。




最後に 口直し?
まだ 赤い実が残ってました。