アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

サクランボ、ゆすらんぼ、ニワウメ

2021-03-21 17:00:00 | みんなの花図鑑
バラ科サクラ属の花を3つほど。いずれも赤い実が生ります。


サクランボ ‘高砂’

サクランボの花は サクラの花以上に 白く、清楚な感じがします。



ただし、花蕊は こちらのほうが(サクラと比べてより一層)にぎやかなので、まぁ、どっちもどっち、か ∧||∧



スーパーなどで売られているサクランボは主に セイヨウミザクラ(西洋実桜)という海外発祥の桜の木です。
セイヨウミザクラは、寒冷地(日本では山形・福島・長野・山梨・新潟・北海道など)を好む果樹です。
関東よりも暖かい地域では実が落下してしまうため、育てるのはとても困難です。



しかし暖地サクランボ(暖地桜桃)といわれる種類はその名の通り、暖地でも育てられます。

「高砂」という品種はアメリカのオハイオ州で育成されたサクランボで、「日本には1872年(明治5年)に導入され、1911年(明治44年)に高砂と名付けられました。」(果物情報サイト > 果物図鑑 > さくらんぼ > 高砂)




ちなみに高砂は食味がよいだけでなく、「佐藤錦」や「ナポレオン」の受粉用としても適した品種です。また「香夏錦(こうかにしき)」の親でもあります。(同上)




ゆすらんぼ (ユスラウメ)

サクランボは当地では昔はあまり見ませんでした。
代わりに、ゆすらんぼ(ユスラウメ)は赤い実が生ると食べておいしい実の一つでした。
ウメと名がついていますが、果実はサクランボのようで、スモモの仲間です。
季節になると竹のざるに採ってきて 塩を入れて洗い、食べたものです。




和名は、朝鮮名の移徙楽(イサラ)が転訛し、ウメに似た花を咲かせることに由来します。
また、「枝をゆさぶって果実を落とした」ことから「ユスラ」となったという説もあります。

明治時代に、セイヨウミザクラ(Prunus avium)、いわゆるサクランボが渡来し、混同を防ぐため「ユスラウメ」と呼ばれるようになったといわれます。(以上、©2003-2017 Kazuya Koga「ユスラウメ」より引用)




そのユスラウメの花ですが、後で出てくるハナウメ(花梅)に比べて白く、サクランボの花同様、清楚な感じです。



もっとも最近は 実よりも花を観賞するために庭に植えられることも多く、ピンクの花のユスラウメもあります。




ニワウメ(庭梅)

ニワウメ Prunus japonica は、ユスラウメ Prunus tomentosa とともに、ニワウメ亜属 Subgenus Lithocerasus に属すバラ科サクラ属の木です。



ゆすらんぼそっくりの赤い実がなります。
ただし、「味はスミミザクラと似て酸味が強い。」(wiki 「ニワウメ」)



ということで、ニワウメは 花を観賞するもののようです。



シベは ユスラウメより長めだとか。




サカキ と ヒサカキ と シキミ ‐ クイズ

2021-03-21 10:45:36 | みんなの花図鑑
JA産直に野菜を買いに行って生花コーナーに以下3つの生花がバケツに並んで置いてあったので、これは面白いと ケータイでスナップしてきました。
ということで クイズです。以下の生花は(ところによっては)神棚にお供えするものですが、何という樹でしょうか? (^^♪


答え: これは サカキ(榊)ではありません。ヒサカキです。少なくとも私の住んでいる地域(東海地方)では。

でも・・・
関東以北では このヒサカキを「サカキ」と称して神棚にお供えしているというのです!
理由は ほんとうのサカキが育って「無い」から!



では、ほんとうのサカキは? というとすぐ横のバケツにおいてあります、これ ↓ です。

(生産者の名前は消してあります; 「幸田町」は筆柿の産地で有名ですね^^)
1枚目のスナップのように 「ヒサカキ」は葉の縁がギザギザになってます(鋸歯の葉)。
ほんとの「サカキ」は このように 葉の縁はすべすべです、ハイ。

それに「ヒサカキ」のほうは 花が咲いてますけど、「サカキ」の花は 今は咲いてません。
私たちの感覚からすると 神棚にお供えする葉に花が咲いているというのは似合わない気がします (^_-)-☆


榊立てに立てたサカキ(Wikipedia Commons; サカキ より)


ところが先述のように、関東以北ではサカキを使おうにも生育していないのです。それで 同じ科(*)のヒサカキを「榊(さかき)」と称して使うようになりました。それどころか、地方によって「サカキ」は、ツバキであったり クスノキであったり、さらには杉である地域もあるようです。
このような事情があるため、本来のサカキを指すためにサカキの上に「本」とか「真」を付けて区別することになったようです。

一方、ヒサカキが「ヒサカキ」と呼ばれる由来は、榊にあらず(非榊)からとも、ほんとうの榊よりも葉っぱが小さいので、姫榊(ひさかき)といわれるなど、諸説あります。


(*) ヒサカキ、サカキは エングラー体系、クロンキスト体系ではツバキ科でしたが、新しいAPG分類体系では、Pentaphylacaceae(ペンタフィラクス)科の和名をモッコク科とする場合と、サカキ科とする場合があります。
私がヒサカキの雌花を教えてもらった「このきなんのき掲示板」所長さんの図鑑ではサカキ科を採用しています。
「 理由は単純で、モッコク属は日本に1種しか分布しないのに対し、サカキの名が付くサカキ属、ヒサカキ属、ナガエサカキ属は計10種前後が分布し、種数が多いためです」とのこと。





では、最後の 一枚。サカキによく似ていますが、これは何でしょう?

答え: これは シキミ です。値札には「シキビ」と書いてありましたが・・・
サカキ(榊 または 本榊)はサカキ科の常緑樹で 神棚にお供えしたり神社でしめ縄や玉串などにつけられもっぱら神事に用いられます。
シキミ(または シキビ、樒)はモクレン科の常緑広葉樹で もっぱら仏事に用いられます。
(「もっぱら仏事」といいましたが、和歌山(に限らないかも)ではヒサカキをビシャコと呼んで、仏花によく使うそうです。)


シキミは、現在、シキミ科に分類されていますが、昔はモクレン科に含まれていました。