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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ススキか?オギか?‐ 西浦海岸

2021-10-16 09:04:29 | みんなの花図鑑

海岸にもススキが生えていました。
いや。待てよ! ススキはどちらかというと 乾燥した土地が好き。
湿った土地が好きなのは よく似たオギのほうでした。
これは オギかもしれませんね、調べてみましょう。




穂を漫然と見ていたのでは 答えは見えません。
まぁ、オギの穂のほうが白っぽく、ススキは褐色に近いことが多いのですが、2つを並べて比較しないと良くわかりません。




近づいて、あるものがあるか、ないか、を調べます。
「あるもの」とは 小穂から出ている針のような「芒(のぎ)」のことです。
上の若い穂でも、そういう目で見ると 有無を確認できますが、ノギの在る無しは花後のほうが分かりやすいです。



というわけで、花後を見る前に、花そのものを観察しておきます。
黄色い長細い莢(さや)が おしべの葯(花粉を入れた袋)です。
めしべはというと、この写真では分かりにくいのですが 紫色の試験官ブラシのようなのが出ています。これが雌しべの柱頭です。




雄しべの葯は いまにも切れそうな花糸(テグスみたいな糸)でぶら下がっています。イネ科特有のおしべです。




さて、これは盛りを過ぎた花です。
子房から一本の針のような長い芒(のぎ)が出ています。




こっちのほうが 芒が分かりやすいかな?



このような芒(のぎ)がついているから これはススキです。
オギには芒(のぎ)がありません。
海岸の波打ち際だから、土壌が湿ってるので、オギかと思いましたが、ススキだったというお話でした。





おまけに、これもススキです !(^^)!
どうしてこんな風になるんでしょうね、訪れるたびに 見つけます。





ヒトモトススキ

もうひとつ、これは この海岸で特徴的な植物、ヒトモトススキです。




ススキと名がついてますが、カヤツリグサ科の植物です。




「イネ科とカヤツリグサ科は風媒花として進化し、そのため互いに似た点が多い。それは花が地味なこと、小穂を形成することなどである。
他方、性格的に全く正反対な面もある。イネ科は小穂の構造が非常に多様で、属の数がとても多いが、それぞれの属に含まれる種数はそれほど多くない(700属8000種)。カヤツリグサ科は、小穂の構造はそれほど多くなく、属数が少ないのに、それぞれの属に含まれる種数がとても多い(70属4500種)。」(wiki「カヤツリグサ科」)




ヒトモトススキは「 海岸近くに多く、海岸では海浜植物などの後方、淡水がわいているような場所に生える。ある程度内陸の池や湿地の水際に出現することもある。生育地では非常に密生した群落を作る。迷い込むと身動きが取れなくなることもある。」(wiki「ヒトモトススキ」)




「和名は横に這わないススキの意と思われるが、形はともかく、見かけではススキにはあまり似ておらず、はるかにごつごつした植物である。別名をシシキリガヤと言い、これは葉のざらつきが強く、肉が切れるという意味である。

この草花は、東大阪市天然記念物にも指定されている。」(同上)

「本来ヒトモトススキは海岸に近い湿地に生育するもので山中に群生するのは珍しく、約3,000年前、大阪湾が生駒山ろくまで迫っていたことを裏付ける貴重な残存植物として、昭和49年3月に同市の天然記念物に指定されています」(東大阪市「ヒトモトススキ」の記事より、太字は引用者)