2024/12/15 読売新聞オンライン
摘発された客引きを乗せた捜査車両(11月26日夜、東山区で)
勧誘や客引き 浄化に力
世界中から観光客が集まる京都市中心部の繁華街で、客引き行為などが相次いでおり、府警が浄化に力を入れている。こうした違法行為は、SNSなどでメンバーを集めて事件を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の関与も疑われている。捜査員らに同行し、摘発の現場を取材した。
東山区の繁華街・祇園は11月26日夜、平日にもかかわらず子連れを含む観光客らで活気にあふれていた。
そんな日本を代表する観光地の一角には風俗営業店が軒を連ね、スカウトとみられる男性が物色するように女性を探す様子があった。洗練された日本文化を求めに来る外国人の中には、悪いイメージを抱く人もいるだろう。
祇園などではかつて、若者のけんかなどの迷惑行為が相次ぎ、府警は2005年、木屋町(中京区)を含めた歓楽街の環境浄化を図るために「祇園・木屋町特別警察隊」を結成。パトロールなどを進めた結果、一帯の刑法犯認知件数は同年の2089件から21年に434件まで減ったが、コロナ禍が落ち着いた23年は610件と増加に転じ、外国人観光客が絡む事件も起きているという。
強引な勧誘を受ける女性の姿は確認できなかったが、一つ隣の筋にはキャバレーが多く、客引きがずらりと並んでいた。ただ、客引きの男性も条例や法律に抵触しないよう小声で「どうですか」と呼びかけてくるのみで、細心の注意を払う店側の徹底ぶりも感じた。
捜査には府警生活保安課や木屋町を抱える中京署の警察官も加わり、広範囲で街を見て回ったが、一筋縄では摘発できない。深夜に差し掛かり、エリアの変更を模索していた頃、幹部のスマートフォンに「逮捕」の連絡が入った。
すぐに近くの雑居ビルに向かうと、府迷惑行為等防止条例違反容疑で現行犯逮捕された男(43)が警察官に囲まれ、捜査車両に乗り込んでいった。男は私服警察官に声をかけ、性的好奇心をそそる言葉で「セクシーキャバクラ」と呼ばれる店に誘客した疑いがあるという。