さよなら三角 また来て四角...日本編☆第二章☆

オーストラリアから10年ぶりに帰国。特別支援教育に携わりながら
市民農園・家庭菜園に励んでいます。

実習 9日目 アートの力

2013年06月07日 18時52分37秒 | Web log
今日は閉鎖病棟デビュー。

かなり怖いところかと思っていましたが、私は平気というか
怖いと思いませんでした。(常に注意は必要ですが)

一人かなり攻撃的なLさんがいますが(放火して服役した経歴のある女性)
他の人に怒鳴り散らすのは見ましたが、私の前では大丈夫.....というか
何故かは分かりませんが「あなた、とってもいい人ね。そしてその靴も可愛い」
と褒めてくれました(笑)

大人の体を持った小さい子供という感じでしょうかね。

現在、閉鎖病棟には4人の患者さんがいますが、一人重度のうつ病を患っている
人がいます。名前はKさん。女性です。

話しかけても反応はあまりなく、気分はどうですか?と聞いても
分からないとしか答えられません。表情は固く、精神の生命力が感じられません。
それが症状によるものなのか、薬の副作用によるものなのか不明です。

午前中にアートセラピーのセッションがありました。

開放病棟で行われたのですが、閉鎖病棟からKさんが参加するということと
開放病棟の患者さんのことが気になったので、私も参加させてもらいました。

今日のアートセラピーは音楽にあわせて、両手を使って自由に書いてみよう
というお題でした。

それぞれが思い思いに自分の気持ちを表現します。

曲は2曲。私は2曲目から参加したのですが、2曲目はベリーダンスの音楽。
ある人は曲に合わせて体を揺らしたり、リズムをとったりしながらパステルを
走らせていました。楽しそうに描いてるなぁと思ったら、その人突然教室から
出て行きました。彼女らしくないなぁと思って、部屋に行ったら部屋にいました。
物音がするので、「大丈夫?」と声をかけて、急いで鍵を開けて覗いたら
彼女号泣しておりました。

何があったのでしょう。

絵を描きながら自分の感情がほとばしり出てきたのでしょうか....

心理学者も心配して部屋をでてきたので、彼にバトンタッチ。
一対一のカウンセリングを行っていました。

私は部屋に戻って、セッションに引き続き合流。

すると、閉鎖病棟のKさん、力強く描いておりました。テーマはどうやら「自然」
のようです。水、土、草、雲を描いていましたが、筆圧は誰よりも強く、そして
絵も堂々としています。

何も言わない、無表情の彼女が描く絵には見えませんでした。

次の音楽でも同じ。

どうも自然の風景が好きなのでしょうか?

大きな木、太い幹、枝、そして繁る葉。そして西オーストラリア原産の植物が
木の下にいくつか描かれていました。

彼女の様子から考えて、セッションに連れてきても何も描かないんじゃないか?
と思いましたが、本当に意外でした。

セッションのあとに、彼女に今日の気分はどうですか?昨日と比べて気分はいいですか?
それとも悪いですか?と聞きましたが、案の定、"I dont know" としか答えてくれません。

そして、今日のセッションは楽しかったですか?と聞くと、ウンウンとうなずき、Yes と
答えてくれました!!! 

それは納得です。

そして、何か特に今やってみたいことはありますか?と聞くと、もっと絵を描きたいと
言ってくれました。。

明確に自分自身の感情、思い、考えを把握、言語化できない彼女にとって、絵を描くことは
自分の心の中にある思いを表現する唯一の手段なんでしょう。

彼女にとって絵を描くことがカタルシス効果になるんだなと分かって、とてもうれしい
私なのでした。

少しずつでいいから元気になって欲しい.....心からそう思います。

署名

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