さよなら三角 また来て四角...日本編☆第二章☆

オーストラリアから10年ぶりに帰国。特別支援教育に携わりながら
市民農園・家庭菜園に励んでいます。

実習中に思ったこと ナンセンスか否か 

2013年06月19日 09時23分10秒 | Web log
Cさんの幻想についてですが、誰かが幻想を口にした場合
精神医学的にそれは統合失調症の症状とみなされます。

Cさんの幻想は精霊に関するものですが、果たしてそれを
ナンセンスなもの、統合失調症によるものと簡単にラベリングして
いいものか... と思うのです。

そうかもしれない、そうじゃないかもしれない...科学的に証明
できませんから、結果的にそれは誰にも分からないということに
なるんじゃないか?と私は思うんですけれど。

ま、それはさておき

彼女はアボリジニー(オーストラリア原住民)の精霊を「殺した」と言い、
その罪悪感に苦しめられているわけですが、でもよくよく聞いてみると彼女に
その精霊は見えないらしく、ただ存在を感じるだけなんだそうです。

で、わたしは単純に「見えないのに、殺せるの?」「殺したというなら、
どのように殺したの?」という疑問が湧き上がってきますが、遭えて
追求しませんでした。

彼女が話したがらないものを、無理やり聞き出すことは返って逆効果になるのでは
ないかと危惧したことと、実習の終了が近かったので深入りすることは返って
無責任のような気がしたからです。

統合失調症に見られる症状(霊の存在を感じる幻想、あるいは救世主妄想、あるいは
過去世を語るなど)について、他の看護師さんたちと話したときに

それはまったくナンセンスと切り捨てる看護師Sさんがいました。

(日本は文化的にそういった話に対して非常に寛容かなぁと思います。
Sさんが夏に日本にきて稲川淳二さんのテレビを見たら「この人統合失調症」
と判断するんでしょうかね?それを喜んで聞いている日本人も変!ということに
なるのか...... 興味深いです。)

彼は、カルビン派のクリスチャンなんですが、他の看護師さんに「あなた神を
信じているっていうけど、神の存在を科学的に証明できないのに信じている
ってことは、あなたの論理(霊、過去世、救世主妄想を否定する)に
反するんじゃないの?」ってつっこまれていましたけれど。

わたしは彼女の語る(精霊を殺した)ことが嘘か、本当か、宗教的にあるいは
科学的に正しいか、正しくないかについて論じることに興味がありませんし、
私の立場から言えば、どうでもいいことだと思っています。

ただその妄想が彼女の精神構造の中でどんな意味をもつのか?あるいは
どのように関係しているのか?ということに興味があります。

どうして私がそういう風に考えるのかというと、遡って20数年前....
大学で文化人類学を専攻したのですが、そのときによく言われた構造主義
というのがそんな考え方だったなぁと思います。簡単に言えば、現象をそれだけで
理解するのでなく、正否の判定を避け、文化的コンテキスト(文脈)の中で
読み取るということを学んだのですが、精神看護の中でそれが生かされるなんて
思ってもいませんでしたよ。

(続く)

署名

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