みなさんはDATというオーディオテープの規格をご存じだろうか?
1989年にアイワが最初に商品化した高音質のデジタルオーディオ機器である。CDを上回るスペックを誇ったが、利便性の悪いテープメディアだったため、その後発表されたMDに押され余り普及しなかった。利便性はカセットテープと比べても悪く、A面B面がなく、聴き終えると最初までテープを戻す必要があった。しかし、カセットテープに比べて音質は格段によく、CDからは一世代のみデジタルtoデジタルの録音が可能であった。
まだCDレコーダーがない時代だったので、レンタルしたCDをデジタルのまま保存できるDATは当時重宝した。
先日、20年使ったソニーのDATデッキが故障した。すでにDATのハードは2005年に生産を終了している。今ではCDレコーダーがあるため、もうDATでの録音はほとんどしていない。録音済みテープはそれなりの量はあるが、DATウォークマンがまだ作動するので、デッキは廃棄することにした。
カセットも、かなり前にデッキは廃棄処分にした。カセットウォークマンで再生できる環境はあるけど、ほとんど聴いてない。
そういえば、CDレコーダーもパソコンでのCDのコピーが可能なため、あまり活躍しているとは言い難い。
音楽がアナログからデジタルになってから、ダビングという概念はいつしかコピーという概念に変わってしまったように思う。
昔、携帯音楽プレーヤーはカセットが主流で、レコードからいかに高音質で録音するかは非常に大切な要素だった。カセットデッキにはみんなそれなりの投資をしていたと思う。
DATが最初に家に届いた時はとってもワクワクした。カセットへのダビングはどうしても音質低下が避けられない。高音質のままダビングできる環境は夢のようだった。
今ではパソコンで簡単にデジタルコピーが可能である。
時代がDATを必要としなくなった。ひっそりと役目を終え、また一台がその生涯を終えることになった。
良質な音で音楽を僕に聴かせてくれた、今までありがとう。