4月21日号の週刊ポストの続き。
初期の認知症を一般的な物忘れと判別することは困難。実際に目で見える行動はどちらもほとんど同じだからである。致命的な「認知症」と老化による単なる「物忘れ」を早期に見分けるポイントをまとめる。
【物忘れ】人の名前を忘れたが、周りからヒントをもらえば思いだせる。
【認知症】周りからヒントをもらっても思い出せない。
【物忘れ】日記に書いたことを忘れている。
【認知症】日記を書いたことを忘れている。
【物忘れ】3軒先の住人の名前を思い出せない。
【認知症】愛犬の名前を思い出せない。
【物忘れ】テレビのリモコンの操作が思い出せない。
【認知症】テレビのリモコンの操作を忘れてしまった。
記憶力低下の予防のために歯歩いて海馬を鍛えることが重要である。
米国・ピッツバーグ大学のカーク・エリクソ教授の研究によれば55~80歳の男女120人を2グループに分けたうえで、一方に週3回、40分のウォーキングをさせたところ、記憶力が向上しただけでなく、海馬の体積が約2パーセント上昇していた。一方でウォーキングしなかったグループは約1.4パーセント体積が減少した。
また、認知症へと至る入り口は認知機能の低下以外にも多岐にわたり、アルツハイマー病協会会議で発表された新指標をもとに菅原脳神経外科クリニック委院長の菅原道仁氏がチェックリストを監修している。
●意欲や関心の衰え
・好きだった趣味や長年続けていた習慣を突然やめる
・同じ服装で過ごすことが多くなる
・「面倒くさい」「別にいい」と言うことが増えた
・お風呂に入らなくなる
●不安の兆候
・涙もろくなった
・食欲が急に落ちる
・衝動買いや同じ物を購入することが増えた
・1人での行動に恐怖を感じ始める
●自制心の不安定化
・タバコや酒、ギャンブルへの依存が強くなる
・車や自転車の運転が荒っぽくなったり、下手になる
・性的興奮を抑えられない
・食べられないモノを口に入れる※
●常識力の低下
・買い物時に会計をせずに店外へ出たことがある
・会話中に脈絡なく下ネタを言うなど周囲の空気を読まない
・「私は悪くない」と言い訳や責任転嫁の発言が多くなる
・知らない人に親しげに話しかける
●間違った思い込み
・イライラしたり反抗的な態度が多くなる
・カネを盗まれたと錯覚する※
・亡くなった親戚や友達の近況を訊ねる※
・実在していないのに部屋の中に誰かがいるように見えてしまう※
該当項目が1つなら問題なし。2つあれば要注意。3つ以上なら専門機関での検査を推奨。
但し ※の項目が1つでも該当するなら医療機関の受診を推奨
これまで加齢による老化現象と考えられていたものが実は認知症かもしれない、と認識する機会を得ることは重要であり、専門機関などへの受診のきっかけが増えることで早期発見や予防に繋がるのだ。