上野にある東京国立博物館、その平成館で『日本国宝展』が開催されている。
今回は「祈り」をテーマに仏や神と人とをつなぐ役割を担ってきた絵画・彫刻・工芸・書籍・土偶など120点ほどが展示されている。期間限定で正倉院からの特別出展品もいくつか出品されている。
この目で国宝をこれほどたくさん見る機会はそう多くはないと思う。
僕が行った10月25日はかなり混んでいて、出展物の前に行くまでにかなりの時間を要した。
現代でこそ、宗教的なもの以外の美術作品は多いが、昔は美術品と宗教は結び付きが強い。宗教心こそが創作意欲の根源となっている場合が多く、この展覧会のテーマ「祈り」が、高い芸術性を結実させたモチーフだっただろうと思われる。
中でも奈良時代に制作された5メートルを超える五重の塔の巨大フィギアには圧倒される。
飛鳥時代に作られたという厨子の繊細な装飾には目を見張られる。
わずか3歳でこの世を去った豊臣秀吉の遺児、鶴松の菩提を弔うために建立した祥雲寺の障壁画は保存もよく、見事である。
鎌倉時代に制作された木像、髪を両サイドで束ねた童が手を合わせて振り返っている姿はなかなかユニークな木像である。これは最近国宝に指定されたそうである。
なかなか見応えのある展示会である。改めて日本文化はすごいと思わせてくれる。