まあどうにかなるさ

日記やコラム、創作、写真などをほぼ週刊でアップしています。

雨の日の事故

2013-10-27 15:07:57 | 創作

強い雨がフロントガラスに音を立てて落ちている。雨は前に停車している車のテールライトによって赤い色に染められていた。
落ちてきた大量の雨水をワイパーが左右に振り分けている。
そろそろ息子が塾から帰る電車の時間だが、駅へ続く道路は渋滞中である。
反対側の歩道を傘をさして家路を急ぐ人が街灯に照らされている。この先道路は右へのカーブとなり、右手に駅がある。
こんな雨の日は、決まって姉のことを思い出す。
小学生のとき、2つ上の姉は事故で亡くなった。
僕が4年生、姉が6年生の夏休み前のことだった。
ひき逃げだった。
姉が塾から帰る途中、ものすごい夕立に見舞われた。
雨の中、傘もないまま帰宅する途中に姉は車にはねられた。
倒れているところを通行人が見つけ、救急車で病院に搬送されたが、間もなく息を引き取った。
見通しのいい通りだったが人通りは少なく、目撃者もいなかったため、犯人はその後も見つからなかったと聞いている。
警察の話では大雨でドライバーの視界が悪くなったことが事故の原因の一つだろうということだった。
しっかり者で優しい姉だった。
悲しくて、その年の夏休みは何をする気にもなれず、ずっと泣きながら過ごしたのを覚えている。

 

「傘は持って出てるけど、強く降ってきたから、車で迎えに行ってあげて」
夕食のあと妻からそう言われ、小学生の息子を迎えに車で駅へ向かった。雨あしは段々と強くなっていく。
渋滞はしばらく解消されそうになかった。同じように駅に迎えに行く車が多いのだろう。
時計を見て舌打ちをした。
電車の時間は過ぎてしまっている。
車はやっとノロノロと動き出し、駅の近くのカーブに差し掛かっていた。
ふと、反対側の歩道に、傘をさして息子が歩いて来るのが見えた。
ドアウィンドーを開けた。雨が降りこんできたがかまわずに、息子の名前を大声で叫んだ。
息子は声に気がつき、左右を見て、道路を横断し始めた。
その時、反対車線のカーブを曲がって来る車。かなりのスピードだ。
「危ない!」
車が息子に迫る。
車は急ブレーキをかけるが、間に合わない!
次の瞬間、少女が飛び出してきて息子を突き飛ばした。
車は、大きな追突音とともに少女をはね飛ばしていた。
少女をはねたあと、車は停止した。少女に突き飛ばされた息子は間一髪車にはねられるところを逃れていた。
僕はあわててドアを開け、事故があった車線に飛び出していた。
少女をはねた車のドライバーも車から出てきていた。
はねられた少女の姿は僕からは見えない。ドライバーが少女を探すように辺りを見回している。
僕は倒れている息子のところに駆け寄った。
「大丈夫か?」
抱き起こすと、息子は顔を強ばらせていたが「うん」と小さな声で答えた。幸い怪我はなさそうだ。
「怪我はありませんか?」
降りてきたドライバーが話しかけてくる。
「息子は大丈夫のようです、女の子はどうです?」
「それが、どこにも見当たらないんです」
辺りを見回したが、少女の姿は見えない。
体が隠れる場所はないし、それほど遠くにはね飛ばされるようなことはないはずである。
ドライバーの言う通り、少女の姿は消えていた。
だが、少女がはねられるのを見たし、追突音も聞いた。少女をはねた車の前は凹んでいるのだ。
間違いなく事故はあったはずである。
ドライバーも僕も、訳が解らないままその場に立っていた。
現場を先頭に反対車線でも渋滞が始まってきていた。
「おとうさん」
息子が、道路の上を指差した。
そこには、小さなひも付きのくまのぬいぐるみが雨に濡れていた。
ひもをつまんでヘッドライトに照らしてみる。
「車にあるのと同じだよ」
そのぬいぐるみは僕が小学生のとき、母が僕と姉にお守り代わりに作ってくれたお揃いのものだった。
なぜ、それがここに!
僕のぬいぐるみは今でも車の中に吊るしてある。
あの少女が落としたものだろうか?
もしかしたらこれは、事故のあと見つからなかった姉のぬいぐるみでは。
ということは、さっきの消えた少女は・・・
姉は時を越えて僕の息子の身代わりになってくれたのだろうか。


モノが捨てられない性格

2013-10-20 16:50:20 | コラム
僕はモノが捨てられない性格で、モノが溜まる一方である。
母がそうだ。
息子が生まれたとき、僕が赤ん坊の時の服がまだかなりとってあって、それを送って来たときには驚いた。
息子もその血を引いていて、なかなかモノが捨てられない。 息子の場合、モノを大切にすると言うより取捨選択の判断ができないといった感じである。
妻は要らないモノは片端から捨てるタイプ。
僕は本などもできれば手元にずっと置いておきたいが、収納する場所に困る。
最近は古本屋に売ってしまうことにしているが、以前は蔵書がたくさんあった。
独身時代は狭い部屋にいっぱいの本やビデオテープが並んでいたが、結婚して引越しをするときに大部分を処分した。
どちらかというと大量の物に囲まれていた方が安心する。
座ったままそれに手が届くのが理想であある。
6畳くらいの部屋のほとんどすべての壁を棚にして、本やビデオ、CDで埋め尽くせることが出来れば理想である。
本はあまり読み返すことはしないけど、たまに気に入った個所に目を通すことはある。
でも、読む読まないに関わらず、気に入った本は手元に置いておきたい。コレクションとは、実用とは関係なく本人の所有欲を満たすか満たさないかだと思う。


奈緒子

2013-10-14 19:31:51 | 書評


『奈緒子』はビッグコミックスピリッツに1994年から2003年まで連載された坂田信弘原作・中原裕作画による漫画である。当時はスピリッツを毎週買っていて、真っ先に読むのがこの漫画だった。
日本海の疾風(かぜ)と呼ばれる天才ランナー壱岐雄介を主人公にした高校駅伝を描いた傑作である。


以前からまとめて読み直したいと思っていた。
古本屋を何軒か周り、全33巻を揃えた。


物語の舞台は長崎県の日本海に浮かぶ架空の島、波切島。
漁師である主人公壱岐雄介の父は、海でおぼれた篠宮奈緒子を助け、自らの命を落とす。
雄介がまだ小学校低学年のときである。
奈緒子は喘息の治療のために再び波切島を訪れ、島の高校へと進む。
この話は雄介の4つ年上である奈緒子の視点から、ランナーとしての雄介を描いている。


世界レベルの走りの才能を持つ雄介
だが、駅伝という競技は一人だけの才能では勝つことはできない。仲間が運んできてくれたタスキを次のランナーにつなぐ。
単純なことだが、一人の失速は、チーム全体の勝ち負けに関わってくる。
タスキの重さは、想像以上に個々のランナーにプレッシャーを与えるのだ。


壱岐雄介を擁する波切島高校は長崎県を代表し全国高校駅伝へと駒を進める。
ドラマはこの高校駅伝と都道府県代表駅伝の二つのクライマックスを縦軸に展開する。


雄介に思いを寄せる奈緒子
そして、奈緒子に思いを寄せる雄介の兄大介
雄介と一緒に走ることになる仲間たち
雄介を慕う者、あるいは雄介に反発する者、様々な人間関係を横軸に雄介は懸命に走る。


あれ…


24巻が2冊ある…


おかしいな。


文化祭とお化け屋敷

2013-10-06 17:21:38 | 日記

息子の学校の文化祭へ行ってきた。
息子のクラスの出し物はパンケーキ屋さん
女子も男子もお揃いのメイドの格好をして接客している。
男子のメイド服姿はうけていた。
息子は調理室で作る係りなので、店(教室)には出ていない。
息子がメイドの格好をしていたら、絶対来るなと言われただろうな… 


文化祭の資金は学校側から援助してくれるそうだが、飲食店をやる場合は援助がなく、売上で経費を捻出しろということらしい。
立て替えて払ったお金は、全て戻るかどうかはわからないけど、ある程度は戻ってくるそうだ。


僕は文化祭の雰囲気が大好きで、学校では一番好きな行事でした。
中学校で一度、高校で一度お化け屋敷をやったけど、今も昔もお化け屋敷は人気があるアトラクションである。
文化祭のお化け屋敷がそんなに怖くないことはわかっているけど、何故か入りたくなるのは何故なんだろう?
文化祭といういつもの学校とは違う非日常的なことが、真っ暗なお化け屋敷ではさらに非日常感が増し、そんな体験をしたいからかもしれない。


文化祭を見ていると、学生時代にワクワクしながら迎えた文化祭を今でも思い出す。