夏休み明けに提出する息子の中学の卒業研究論文が完成した。
必ず取材をすることになっており、テーマは生徒が自由に決められるが、同じテーマにすることは不可。
息子が選んだテーマは『東京タワーの歴史と今後の役割』
取材先は日本電波塔株式会社の総務部
取材した内容に、本やネットで調べた内容を加え、まとめてある。
地上デジタル放送がスカイツリーに移行したあと、東京タワーはどうなってしまうのか?
そんな素朴な疑問から始まり、これまでの歴史を調べてまとめている。
東京タワーの完成以前は、各放送局はそれぞれ鉄塔を建てて、バラバラに電波を送っていたらしい。チャンネルを変えるたびにアンテナの向きを変える必要があるため、非常に不便であった。全ての放送局の電波を一箇所から送るために東京タワーは建設された。
333メートルという高さは、関東全域に電波を送ることが出来、風などでアンテナが揺れることのない高さなのだそうである。
工事は1年半ほどかかり、4000トンの鉄が使用されたが、朝鮮戦争後に廃棄された米軍の戦車のスクラップが一部使用されている。このことはイメージダウンになるため、しばらくは伏せられていたそうである。
東京タワーの色は、航空法で60メートル以上の鉄塔は赤と白に塗り分けなければならないという規定があったため、この色になった。
その後、航空法が改正され、現在ではその規制が無くなったため、スカイツリーは赤と白に塗り分けなくてもよくなった。
東京タワーの照明は以前はタワーの輪郭に沿ってポツポツとイルミネーションが灯っていたが、30周年記念として、国際的に有名な照明デザイナーである石井幹子にデザインを依頼し、今に至っている。
現在までの来塔者数は1億6000万人。さまざまなイベントが年間を通して行われている。大展望台ではステージなども行われおり、タワー下のビルでは、展示会が行われている。現在はNHK大河ドラマの『江展』をやっている。特別展望台で結婚式を挙げたカップルもいるそうだ。結婚式は開業以来この一組だけだそうである。
現在、テレビ放送とFM放送を東京タワーから発信している。平成24年からスカイツリーで1年間の試験放送をえて、平成25年1月から本放送を開始する予定である。
テレビは全てスカイツリーに移行されるが、FMは一部東京タワーに残る。
また、スカイツリーにトラブルがあった場合の予備電波塔として、放送設備はそのまま残すことになっているらしい。
テレビやラジオの電波発信以外にも東京タワーには役割がある。
大規模地震を想定して、東京圏で運行する列車の防護のために、緊急停止信号を発射するJR東日本の防護無線用アンテナが設置されているほか、大気汚染等の調査のため、東京都環境局の様々な測定器が設置されている。
テレビ局がスカイツリーに移行すれば、収入は低くなってしまうが、イベントなどのアイデアを出し、観光収入でカバーしていく予定で、東京タワーが解体されることはないそうである。
取材のあと、息子は展望台のチケットを担当の方からもらい、初めて東京タワーに登った。
中学生相手に親切に対応してくださった担当の方、本当にありがとうございました。