ふと、あの時に感じたことを思い出した。
開催中、日本の試合がある日、平日にも関わらず、多くの人が応援のためと称して仕事を休んでいた。
たいがいは、スタジアムへ行くのではなくテレビ観戦である。
普段であればサッカーの試合で仕事を休むことは堂々とは言えないと思うが、当時は何となくそれが許された。
ある取引先の会社に電話を入れると、応援のために会社全体がお休みしますとの留守電が流されていた。
街を歩くと、日本戦中継中という張り紙が多くの飲食店に掲げてあり、平日の昼間だというのに、どの店も客で一杯だった。
暑い中、営業からオフィスへ戻ると、応接室のテレビが付けられてあり、みんなそこに集まって試合を観戦していた。会社もそれを容認しているようである。
僕はサッカーが嫌いではない。どちらかと言えば好きな方である。
日本でのW杯は滅多にあることではないし、そのときくらいみんなが夢中になることも理解はできる。
だけど、あの時のサッカーのためなら天下御免という風潮には多少違和感を感じた。
よっぽどテレビのスイッチを切ってやろうかと思ったけど、さすがに止めた。
日本で開催しているのだから、盛り上げた方がいいとは思う。でも、みんなそれまで、そんなにサッカーに夢中なわけではなかったのになと思った。
僕もみんなと同じように天下御免で試合にのめり込めば、楽しめたのかもしれない。
つくづくあまのじゃくだなと思う。