日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

栗本 薫さん さようなら

2009-05-29 01:39:37 | 活字
タイトルさえ なんと書けばいいのか キーが進まなかった。
訃報を聞いて一日経つ。
作家 栗本 薫 
私にとっては 特別な思い出があり、読み続けてきた本があり、
心の勢いにあこがれを抱いていた人。
早稲田大学を目指したのは、
雑誌バラエティで連載していた、中島 梓のサインくれなきゃ帰らない を
最初に、僕らの時代 僕らの気持ち グインサーガ を読んでいたから。

ハーモニカソサイエティにも数ヶ月だけれどお世話になり、
栗本さんはキーボードを弾いていたと聞くけれど、
その近くで 切なく息を吹き込んだり吸い込んだりして
ハーモニカのどうしても情緒的なあらがえない優しい風の音に
吹かれたりした。

同人誌に いくつか自分の身の回りに補助線を引いた程度の小説を
2,3のっけてもらった後、少しは想像の海にこぎ出したような
思いの小説を書けたと思ったとき ペンネームに 薫 の名前を
使いたくなって 使わせてもらった

仕事をするようになって
本を読むために時間をすごすような日の送り方ができなかなると
目にする本も 探す本も 気持ちに触れる本さえ少なくなるなかで
村上春樹も 橋本 治も 縁遠く 目に入らなくなってしまったなかで
グインサーガだけは 店頭に並ぶ前から探し 既刊の126巻までを
月刊グインとご本人が笑うほどの刊行を重ねたときも 遅れずに
付き従ってきた

死は 生きるものの心深くに 突き進む
心の中の得体の知れぬ空白にとどまる
悲しみという言葉が 実感として中にある

訃報を聞いて一日経って
さようなら
この言葉だけが 書かずにはいられなかった