振り返り旅行記第二弾。温泉編です。
大分県は温泉県。別府と湯布院はことに有名ですが、
今回私たちが巡った九重山周辺も、泉質、温泉街の雰囲気など千差万別。
多くのめっけもんがありました。
4月27日(土)九重”夢温泉郷” 筋湯(すじゆ)温泉
大分に着いたらすぐ温泉、のつもりが、すぐ陸上練習、になってしまったため、
初日は宿入りするまで我慢です。
旅館・朝日屋さんは男女合わせて7つのお湯が楽しめるというふれこみ、
さてどれから入るかと算段する前に、彼女からの命令が下ります。
「まずは、打たせ湯」。つまり、この宿がある筋湯温泉街を世に知らしめる
打たせ湯が豪快な公共温泉があるのです。
入湯料は300円、ただし筋湯温泉街の宿泊者は、宿で専用コインをもらってくれば
OKです。
中に入れば、囂々と音を上げて2メートルほどの高さから温泉が流れ落ちています。
滝壺にいるような修行感を持って、水圧の高い刺激を肩や腰に当てるわけです。
はいつくばって膝の裏に当てている人もいます。
私は肩をひとしきりほぐした後、頭頂部に水圧を受けました。
数分耐えたでしょうか、瀧から出るとふっと頭がクリアになりました。
頭に血が巡るという言い方でもいいかもしれません。
透徹した感覚は一瞬でしたが、ちょっと魔法にかけてもらった感じがして、
大分パワースポットのふさおまき認定となりました。
宿に帰ったら、もちろんまた温泉です。
家族湯があいていれば使えると言うことだったので覗いてみると
人影はありません。石風呂と五右衛門風呂がありまして、
彼女に選択の余地はありません。まっすぐ向かったのが、
五右衛門でした。お湯を独占してふわふわできるのが、五右衛門風呂の特典です。
いい湯だな、と鼻歌交じりにしていたら思いの外に時間がたって、
夕食時間に遅刻してしまいました。
食後も露天風呂その①に入って夜空を眺め、ちょっと聞こし召したおっちゃんと
いい湯だな談義をしておりました。
翌朝には露天風呂その②に入ってミニ打たせ湯。どこぞの不届きものが、
温度調整用の水道水を出しっぱなしにしていたので、湯船のほうは冷泉状態だったのが
ブーでしたが、まあ小さな旅館のハプニングというものでしょう。
4月28日(日) 長湯温泉
九重山登山が旅体感のメインイベントなら、
長湯温泉は、大分の、いえ日本の湯をわくわくしながら楽しむ最大のイベントです。
紹介文にはこうあります。
「長湯温泉は豊後風土記や豊後国誌にその名を残す名湯です。
世界屈指の炭酸泉としても世界的な注目を集める泉質」となっています。
その名は”炭酸泉”
炭酸煎餅があっちこっちで売ってるもので、それがどうしたと思われた方、
違うんです。シュワシュワなんです。
南伸坊画伯のイラストがイメージを喚起してくれるはずです。
このラムネ温泉館は、私たちの宿泊した大丸旅館さんの外風呂であり、
日帰り湯の客もひっきりなしという人気の施設です。
あまりに人が多くて、宿泊客は夜に出かけることを勧められました。
はやる心が押さえきれずに、投宿後すぐに偵察に出かけましたが、
確かに施設の人が入場をやんわりと制限しています。
そんなわけで一旦宿に戻り、内湯をいただきます。
こちらが大丸旅館。鴨やカワセミが姿を見せる芹川をどの部屋からも臨みます。
温泉はというと、ここでもまずは家族風呂に入ります。
写真の色に見えるとおりの名前が着いています。
ミドリの湯です。自家源泉をもっているこちらの宿で、
一番源泉から距離が近い、つまり新鮮だということでした。
すだれの向こうに芹川を眺めて、まずは暖かい炭酸泉を、
少々の鉄味とともになめてみました。
夕飯を終えると、待望のラムネ温泉に再突撃です。
いよいよシュワシュワの夢、実現の時。
噂の温泉は露天になっています。
薄めに白濁した温湯は、ラムネといいつつ泡が駈け上がるわけではありません。
知らぬうちに、泡が姿を現し、体を包んでくれるのです。
ああ、そこの研究不足の人たち、冷たいとかいって動くんじゃないよ。
せっかくのラムネを身にまとう喜びが去ってしまうから。
湯温は32度、静かに身を沈めるのです。
そのうち、温度とは関わりのない温もりを身のうちから感じ始めます。
それこそ第一のラムネ効果。炭酸が血行を促してくれるのです。
能書きによれば、1300ppmという高濃度の炭酸ガスが含まれていて、
皮膚から吸収され、血管が開き高血圧症や動脈硬化にも効能ありということのようです。
そんなことを思いながら20分、できた!
このときのために、静かに手のひらを下に向けて湯につかっていたのです。
ゆっくりゆっくり手を上にむけると、びっちり「一万個の真珠が肌に付いて」います。
炭酸の気泡が銀色の光沢を放って、手のひら全体を埋め尽くしていました。
大満足!
待ち合わせた彼女もニコニコしてましたから、ちゃんと我慢の温泉時間を過ごしたに違いありません。
4月29日(月)
別府にやって来ました。街に来ると、またまずは陸上練習、という何やッてんだか旅行を許してもらい、
汗を流すために出かけたのが、別府のシンボルとも言われる竹瓦温泉でした。
堂々とした唐破風の屋根をくぐると、中も広々。
高い天井を眺めて脱衣所にいくと、温泉は階下にありました。
階段を7~8段おりて洗い場に入ります。
シャワーも蛇口もなく、体を洗いたければ直接湯船から桶でくんで
使います。ジャバジャバと温泉が涌くからならではですね。
私も石けんを使うのはやめて、頭から温泉をかぶって、
肌はタオルでごしごしするだけにしておきました。
そして少々熱めの湯に首深くつかって、強制的な循環血行を味わいます。
さすが明治12年創業、別府の街中の、ひと味違うスタイルで
汗も吹っ飛び、少し背筋が伸びました。
ところ変わって、明礬温泉。別府八湯のなかで一番山側にあります。
湯の花作りが盛んで、とにかく硫黄満々です。
つまり、最も温泉イメージが香る場所です。
宿泊したのは岡本屋さん。
青磁にもたとえられる青みを帯びた白濁色の湯は、硫黄成分が多く含まれた
明礬硫黄泉・・とあります。実際その通りです。
北アルプスの名湯・白骨温泉を未体験の私にとって、初めての本格白濁温となりました。
色のままに、トロリとした質感があって、湯の成分が直接肌に当たります。
底に沈んだ泥をパックのようにして顔を洗うのもいいとか。
温泉っておもしろいなあ。
4月30日(火)
最終日、大分の温泉と分かれるなんて耐えられない!
そう叫んでいる彼女の図だと思し召しください。
ここは明礬温泉からすこし山を下りた、別府・鉄輪にある
ひょうたん温泉です。
この変わった名前は、かつての建物が、高さ20mもある巨大な瓢箪型をしていたことに
由来があるそうで、第二次世界大戦時に攻撃目標にされるという理由で取り壊されたという
歴史があるそうです。
前置きが長くなりました。
最終日に瓢箪を選んだのには理由があります。
決して、馬鹿みたいに口を開けたいわけではありません。
ここは温泉パラダイス。
口を開けたのは、温泉吸入という立派な浴用施設。
他にも、岩風呂・露天風呂・瓢箪風呂・蒸し湯・瀧湯そして砂湯もあります。
砂湯は初めての体験です。セルフ式なので、自分で砂をかけるのに四苦八苦しましたが、
サウナとは違った蒸され具合が体の芯にききました。
蒸気が砂の重みと共に強く入り組んでくる感じがして、意識が飛んでいきます。
あれもこれもと入りまくって、時間は飛ぶように過ぎていきました。
温泉天国は、誰の目にも明らかなようです。
3年連続ミシュラン観光ガイドの3つ星に輝いているのも
パラダイスの誉れでしょう。
これでもかという温泉三昧の3泊4日。
大分旅行は、お湯にまみれてまた楽し
いつか来たいな また温泉国に