クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

蝉の鳴く小説・2(『蜩ノ記』葉室麟・感想)

2021-09-26 | 本と雑誌

長い間、想い合った、ふくと文四郎『蝉しぐれ』の恋人たち

同じような シチュエーションに

おかれながら

プラトニックラブを つらぬき

「主人公らが清廉すぎる」と、林真理子先生に 評された⤵️

という

直木しょう(賞)作が あります。

はむろりん(葉室麟)、『蜩ノ記』です

 ↑

「ひぐらしの記」って読みます

 

シシシシシ・・・・

 時は、江戸後期

舞台は、大分の小藩

主人公は、藩内の抗争でライバルにハメられた お侍です

 

このお侍、

とても有能で 人柄も良く、

民からもしたわれた、武士のかがみたる人物

 

でしたが

主君の側室との不義密通を うたがわれ、幽閉されました。



「家譜の編纂が終わったら、切腹して死ね」

と 命じられ、

主君の家の歴史しらべに あけくれる日々、、

 

本当は、不義密通なんてしていないのに、

うたがわれた相手の「側室」のことを 昔好きで

自分の心を

ちらりと明かしてしまった・・という事実に

責めをかんじ

 

あえて 弁明しないで、

処罰を 受け入れていたのでした。。

(マジメな主人公なのです

 幼なじみの側室との秘めた想い合い
藩内の陰謀と、

それに巻き込まれる不遇の傑物

そして無念は晴らされる⤴️

だけど切ないおわりかた⤵️

 

というのが・・

『蝉しぐれ』(藤沢周平)と 丸かぶりといえば

そうだし

主人公の侍が郡奉行をつとめている

のも、

『風の果て』(これまた藤沢作品)を 思い出したりもするから


(・・作者は、藤沢周平へのオマージュのつもりで書いたのかな?)

いっしゅん、気にはなるものの・・

そこはまあ、どうでもいいんじゃない?

って くらい、

ステキな 言葉の数々が ちりばめられてて、


 いつもの、はむろぶし(葉室節)が 鳴りひびいています

 

(カナカナカナ・・)


 名言1
「この世に生を受けるひとは数え切れぬほどおりますが、

すべてのひとが縁によって結ばれているわけではございませぬ。

縁で結ばれるとは、生きていくうえの支えになるということかと思います。」


(はっ←気づき

 名言2「ひとは哀しいものです。たとえ想いが果たされずとも、生きてまいらねばなりませぬ。

されど、自らの想いを偽ってはならぬと思うております。

そのこと、お許しください。」


(はっ←共感

 名言3「心がけの良き者はより良き道を、悪しき者はより悪しき道をたどる」


(はっ←戒め

 いちばんの名ゼリフは・・

お侍が「不義密通」の ぬれ衣を着せられる

幼なじみの側室との

会話の部分なのですが、

人に教えずに、心の中に しまっておきたい」

しん(親)友チットが 言っているので、

気になる方は 読んでみてください

 

 ちなみに 歴女でもある・うちのチットは、

かふ(家譜)をまとめあげるお侍の、

「起こった事実をできるだけ正確に書き残さねば、意味がない」

というスタンスに、

「まったく、その通り

さんどう(賛同)していました。

 

 

【おすすめ度:わりとマジで

 

(「蝉の鳴く小説特集」 次回は、横田順彌の『蝉時雨』を ご紹介します あまり知られていない作家さんでしょうが、なかなか・おもしろいんです

探偵モノですよ

 

 

 

コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする