週が明けると、会社前にある公園の桜が満開になっていた。
日差しも気持ちよく、ついつい見とれてぼおっとしていると、ふとこの間読んだ本の内容を思い出した。
ちょうど61年前の今日、最後の出撃のために、3千名以上の若者を乗せた戦艦大和は呉を沖縄に向けて出航した。
その際、作業の手の空いた者は、最後の、日本の美しい自然の眺めを目に焼き付けようと甲板に上った。連なる灰色の山なみの中に、淡いピンク色の七分咲きの桜の花のかたまりがポツリ、ポツリと見えたのが印象的だったそうだ。
数日後、血みどろの、虐殺にも近い戦闘を経て、多くの若者と共に沈んだフネから救助された者達が、再び輸送船で内地に戻ってきて、まず最初に目にしたのが、満開に咲く桜だったそうだ。
「桜、桜なんかが咲いてやがる」と、その場に崩れ落ちた者や、あまりの無常さに発狂してしまった人もいたという・・・。生き残った人達は、毎年桜の季節が来るのが辛かった、という話。
今を普通に生きている限りにおいては、「死」というものはものすごく遠いところにあるように感じる。でも、60数年前、昭和のはじめ頃にだって、今と同じ平和な春があり、花見に集うひとときもあった。数年後に待ち受ける阿鼻叫喚な世界を、普通に生きている人たちは誰も想像しなかっただろう。
そういう意味では、今の自分達にだって、いつ個人の手に負えない力によって、そんな世界に放り出されるかわからない危険をはらんでいるとも思えるし、もしかしたらすぐ近くに自分達はいるのかも知れない。
前の世代の人達の、貴重な経験や思いには、耳を傾けるようにしておきたいな。
そんなことをふと思った午後でした
。
日差しも気持ちよく、ついつい見とれてぼおっとしていると、ふとこの間読んだ本の内容を思い出した。
ちょうど61年前の今日、最後の出撃のために、3千名以上の若者を乗せた戦艦大和は呉を沖縄に向けて出航した。
その際、作業の手の空いた者は、最後の、日本の美しい自然の眺めを目に焼き付けようと甲板に上った。連なる灰色の山なみの中に、淡いピンク色の七分咲きの桜の花のかたまりがポツリ、ポツリと見えたのが印象的だったそうだ。
数日後、血みどろの、虐殺にも近い戦闘を経て、多くの若者と共に沈んだフネから救助された者達が、再び輸送船で内地に戻ってきて、まず最初に目にしたのが、満開に咲く桜だったそうだ。
「桜、桜なんかが咲いてやがる」と、その場に崩れ落ちた者や、あまりの無常さに発狂してしまった人もいたという・・・。生き残った人達は、毎年桜の季節が来るのが辛かった、という話。
今を普通に生きている限りにおいては、「死」というものはものすごく遠いところにあるように感じる。でも、60数年前、昭和のはじめ頃にだって、今と同じ平和な春があり、花見に集うひとときもあった。数年後に待ち受ける阿鼻叫喚な世界を、普通に生きている人たちは誰も想像しなかっただろう。
そういう意味では、今の自分達にだって、いつ個人の手に負えない力によって、そんな世界に放り出されるかわからない危険をはらんでいるとも思えるし、もしかしたらすぐ近くに自分達はいるのかも知れない。
前の世代の人達の、貴重な経験や思いには、耳を傾けるようにしておきたいな。
そんなことをふと思った午後でした
