閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

カレハナ

2008-10-24 08:23:40 | 日々
みずみずしい盛りの花は、もちろん良いけれど、
枯れたものも好きだ。

ねこじゃらしの、さらさら揺れる穂。
晩秋の野山で天然のドライフラワーになった花。
朴の木の大きな落ち葉や、あじさいの枯れ花が、
ひと冬かかって形を保ったまま葉脈だけになったのなど、
とても味わいがあって心ひかれる。

どんぐりや松ぼっくり。かたい殻や莢につつまれた種。
乾いたもの、枯れたものは、もうそれ以上変化しない。
安定した状態だから安心できるのかもしれない。

そういえば貝殻も好きだ。二枚貝も巻貝も。
波にさらされて、色あせ、カドがまるくなり、
生き物だったことをすっかり忘れているところが良い。

貝殻好きをネクロフィリア(屍体愛)的だと言ったのは
澁澤龍彦だったかと思うけれど、
たしかに貝殻は貝の死骸、骨の部分だ。
じゃあ骨が好き?と聞かれれば、好きかもしれない。
ドライフラワーだって、植物のミイラといえばそうだし。
お化けの中でどれかひとつ選ばなきゃならないときは、
(そういうことがめったにあるとは思えませんが…)
迷わず骸骨にする。あれがいちばん気持ち悪くない。
ミイラ男は、まだ生っぽさが残っているから駄目。

骨は白ければ白いほど好ましい。
しかし、白くてもばらばらの骨には、なぜかさほど魅力を感じない。
完璧さが欠けているからかもしれない。
では骨格標本のように組み立てたらどうか、というと、
それはそれで科学的すぎて面白くないような…
持ち帰って飾っておきたい、という気にはならないのである。

コメント
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