少し前に「巨大コロッケ」の話を書いたところ、
今度は別の町に「巨大目玉焼き」が出現した。
直径約4メートル。
使われた卵は1200個。
焼いたのは道路舗装工事用のガスバーナー。
新聞の写真を見て、うーん? と首をかしげる。
巨大な円形の白身の中に、巨大な黄身が、ふたつ。
黄色のサングラスをかけた月光仮面みたいである。
つまり、いくら大きなフライパンを用意しても、
1200個の卵をポンポンと割り落としたのでは、
「目玉焼きがいっぱい」にしかならない。
「巨大目玉」にするには、黄身と白身をわけて
別々に流し込まなきゃならないわけですね。
たしかに巨大ではある。
が、そのわりにはインパクトがない。
なぜかと、しばらく考えて、気づく。
「黄身ふたつ」が変なのではないか。
そもそも卵を割り落としたとき、
「白身のまんなかに黄身」だからこそ「目玉」と呼ばれる。
それは卵というひとつの完全生命体の持つかたちであり、
そこから発するインパクトなのだ。
まれに黄身がふたつ入った卵もあることはあるが、
あくまでもそれは異例のこと。
目玉をふたつ作りたかったら、卵を2個割らねばならない。
このイベントの場合、別々に流し込む方式はやむをえないとして、
直径2メートルのフライパンを2つくっつけて
同時に2つ作れば、もっとそれらしく出来たような気もする。
(ですが、そうすると「直径4メートル」のギネス記録申請が
あやうくなってしまうのか…)
もうひとつ。
これだと、どう切り分けたって絶対に
「黄身だけ」か「白身だけ」になるでしょう。
好きな人は白身だけでも召し上がるかもしれないが、
わたしはちょっとご遠慮したい。
個人的には「直径4メートルのフライパンに敷き詰められた
1200個の目玉焼き」のほうが見てみたいと思う。
いや、さらに個人的なことを言ってしまうなら、
目玉焼きは黄身が半熟のほうが美味しいし、
おうちでこっそり作って食べたいものでありますね。