閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

クローバー

2011-05-30 23:49:58 | 日々

「摘んじゃだめよ。お花さんが可哀そうでしょ」
とお母様方はおっしゃる。
女の子は素直だから、のばした手をひっこめる。
そればかりか
「かわいそうでしょッ!」
と得意げに小さい弟妹にも教えるのである。

わたしが子どもの頃はそうではなかった。
花壇に植えられた花は人のものだから摘んではいけない。
でも、野の花は誰のものでもないから、
いくら摘んでもよかった。

しっかりにぎって持ち帰ってみれば、
くったりしおれてすでに見る影もない。
レンゲ。タンポポ。カラスノエンドウ。クローバー。
可哀そうだなんて誰も言わなかった。
それは子どもに許された当然の権利であった。

花摘みをしない女の子なんて女の子じゃない、
とわたしは思っている。

色の美しさも、こまかな造形の不思議さも、
みずみずしさも、しなやかさも、
手にとってみなければわからない。
ほろりと散ってしまうはかなさも、
細い茎の見かけによらないつよさも、
指にざらついたり、痛いとげがあったりすることも・・

クローバーの花をあつめるとこんなに香りがするなんて、
摘んだ子しか知らないことだ。

Live in clover
(=何不自由なく暮らす)

この言い回しを覚えたのは、たぶん中学生のとき。

 

コメント
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