ビルから落ちてゆく幻想が
幾千回も震えて
三千世界の意味を携えて
一気に青を縦割って
叫び声を上げながら
地面への距離を縮めていく
溶け落ちてしまうその声が
僕の心を何千回も撃ち抜いて
意味もなく涙を流すきっかけを
僕に提供する
死とは
つまり
何かを
更新することだと
雲になれない
君は云う . . . 本文を読む
たった独りで部屋にこもり
午前一時の闇の中で
ピスタチオを砕く夜の静寂
恐れ多き神の眼前で
いつまでも蠢く
僕の寄る辺なき畏怖たちよ
そこで産まれる
観客総立ちの舞台裏で
意味もなく吠える犬たちの
悩みに応える
冷たく立ち並ぶビルたちよ
時を選ばずして
いつもはぐらかしてばかりの
整然と立ち並ぶ椅子たちよ
忽然と焼きあがるピスタチオの
美のイルミナシオン . . . 本文を読む
開け放った窓から吹き込んでくる思想は
僕らの間違った理想を育むように乱吹く
何でもない僕らの懐に滑り込むように
それらは踊って舞って跳ねて花開く
床の間で眠る幼い頃の僕の影が
7月の陽光にかき消されて
いつかの過去を思い出すように
背中を掻いている少年の姿を映し出す
夢果てる音が真夏の空に鳴り響いても
むしろ響きだす蚊子たちの羽音に
じっと耳を澄まして心浮き立たせる子らの . . . 本文を読む