真理にたどり着くためには
真実を多数消費しなければいけない
セロリを噛み千切る君の健康さが
僕を真実から確実に遠ざける
それが本当の天から与えられた恵みだ
僕はカーテンを閉めながら
人びとの行き交う都会の煌めきを
瞼の裏に映しながら
いつもそう思う…… . . . 本文を読む
当たり前が当たり前でないこと
差し当たって君が君以外の何者かである可能性はかき消せないが
僕は横断歩道を渡って
信号が点滅するのを横目で見ながら
すれ違う女性が君であるかもしれないと期待する
宇宙がまだ炊飯器の中で呻いているから
時を早送り再生する6畳の部屋のなかで
僕は透明な視線を漂わせている
. . . 本文を読む
つまりは
僕らに課せられた
任務の数々
真っ黒な林の向こう
開かれた扉へ
迷い込むランデヴー
狭い部屋の
どこかの片隅で
歌われるララバイの
虚無の波形は
あどけなく
霊界に据え付けられたベッドの軋む夕べに
君は幽玄な笑みを浮かべて
僕らの罪業を帳消しにするレクイエムを呟いて舞う
先刻食べ残したりんごがただそのベッドの側で居眠りをしている間に . . . 本文を読む