煙幕

2010-08-08 10:54:38 | 読書メモ
誰にも書けなかった国会議員の話(PHP新書)
756円 (本体価格720円)

川田龍平さんが参議院議員になられて三年。昨年みんなの党に入党された
ことはニュースで知りましたが、国会議員として実際どのような活動をされて
いるのかあまり報道がありません。
薬害エイズ元原告としてではなく、参議院議員川田龍平の活動を知りたい、
それがこの本を手に取ったきっかけです。

本書で川田さんは、国会議員をとりまく環境やその仕事、支持者との関係など
微妙なことも忌憚なく語っておられます。

コロ子は「永田町の思考回路ってこうなっているの」と驚く一方で、「党議拘束」
と「信念」の間で板挟みになって、もがき苦しむ議員がいることを知り、普段は
遠い存在の国会議員が、少しだけ身近に感じられるようになりました。

しかし、コロ子が一番注目したのは、川田さんがメディアに対して苦言を
呈した次の部分です。少々長くなりますが、引用させていただきます。

〈引用開始〉
マスコミにもっとしっかりしてほしいと思うのは、なぜか重要法案が
国会を通過するときに派手な事件が起こりそれに見事に乗せられて
しまうところなんです。
あるタレントの全裸事件のときもそうでした。ちょうど彼が逮捕された
その日、海賊退治法案が衆議院を通過しているのです。自衛隊が海外で
武器を使うことを合法化しようとするこの法案は、その前後のこの
タレントの報道一色で、ほとんど国民の関心を引くような取り上げ方は
されませんでした。
(中略)
二〇〇三年に有事法制の審議がおこなわれていたときのことでした、突然
白い衣装をまとった奇妙なグループが福井県周辺に出現し、そのニュースに
ほどんどのマスコミが反応しました。白装束グループが山の中にいたことを
警察はその前から知っていました。
ところが、有事法制の国会審議が大事な段階に入ったときになって警察は
突然動き出すのです。
(中略)
.....さまざまな前例を反芻して思い当たることは、国民に知られたくないような
事件や出来事があるときには、なぜか決まって突然警察が動き出す、警察が
動くとマスコミが騒ぎ出し、急激にどんどん膨らんでいく熱気球のように
ひとつの事件があっという間に全国ニュースに拡大します。
 まるで警察が、国民に知らせたくないニュースが出てくるのに備えてこうした
ネタを隠し持っているかのように思われるのです。
〈引用終了〉

たぶん、日本のエスタブリッシュメントとマスコミは"そういう"関係なので
しょう。マスコミがたいした重要性もないニュースを大ニュースとして扱う時
は要注意です。

最後に川田さんにお願い。
現在異論を唱えにくい状況になっている「子宮頸がんワクチン」ついて、もっと
公の場で議論していただけないでしょうか。
国会の議論を聞いていると、前のめりで危ういものを感じます。厚生労働大臣が
副作用を口にしただけで、「不見識」のレッテルを貼られてしまうとは...。
これこそ、第二、第三の薬害を生む温床になるのではないかと心配しています。

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