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「秋の保税展 2024」と、鉱物のお話し

2024年09月20日 | 楽しいお話し

 「秋の保税展」のご案内をする季節がやってきました
秋の保税展は、ピタリと神奈川校の面接、考査の時期、東京校の面接の時期にかぶります。ここ10年は、11月にも開催日が設定されるようになったので、まさに何もかもが重なっていたのでした 
 うれしいことにジュエリーマナーズファンの方々は年々増えていき、特に春と秋にしか開催されない「保税展」の人気は高く、この時にしか日本にやってこない世界のジュエリーを楽しみに待っていてくださる方は多いです。
 けれど、「まどか先生」としては、秋の保税展は完全に正念場と重なるため、とてもとても複雑な思いでした… この時期は、妻であるよりも母であるよりも「まどか先生」でしたから。毎年、面接や考査のことで頭がいっぱい。赤い爪を眺めながら、常に自分を鼓舞する時期 だからこそ、この時期に重なる保税展で、ジュエリー達から発する絶大なパワーにも感謝をしていました。
 保税蔵置場である乃木坂のガレリアUCHIHARAの地下ホールで、届きにくい電波を気にしながら、「今、無事に面接が終わりました」や「これから面接に向かいます」などのメールを受け取り、ホッと胸をなでおりしたり、目を閉じて、祈ったり…  この時期だからこそ、宝石のパワーを一層「感じて」いたかもな、とも思っています
 世界からやってきた1000点を越える宝石達に囲まれると、全くジュエリーに興味のない「夫達!?」や子ども達まで、会場に入ると「おっおー…」の声。
 今年からは、ここで得るパワーを誰かに送る必要はありませんが、私の元気とやる気にチャージします
 今日は、単に味気なく保税展の会期をお知らせするだけではなく、ちょっとした宝石のお話をごしましょうね。

 ダイヤモンドやエメラルド、ルビーのように「宝石」と聞いて誰もがすぐに思い浮かべるような石もありますが… 私は、頻繁に思い出す「美しい石」があります。それはキラリンキラリンの宝石ではなく、エジプトに行った時に見た採掘品。
 カイロのエジプト博物館で見たあのツタンカーメン(正確には「トゥト・アンク・アメン」大気の神、アメンの生き写し、という意味)の墓から出てきた装飾品の数々。
 「胸飾り、耳飾り」は、トルコ石(青緑色)、ラピスラズリ(瑠璃色)、カーネリアン(赤褐色)で装飾されていました。それらの石は、金の台にはめ込まれています。確かに、金はキラキラしている… でも、その前に立ち、眺めていると、あくまでも主役はキラキラの金ではなく、その青緑や瑠璃色、オレンジ色の石達のように思えました これらが作られたのは、紀元前1500年~1600年。
 宝石好きの私ですが、その時、あらためて「石、鉱物」の美しさに魅せられたのでした。あれ以来、私は世界の遺跡から発掘される王や貴人達が用いた「美しい鉱物」に目を留めるようになりました
 もちろんこれは実物を見たわけではありませんが、中米のマヤ文明の出土品、大量のヒスイを使ったお面やボトル。マヤ文明は2000年近く栄え文明ですが、この出土品は、A,D700年あたりのものだということ。
 ペルーのモチェ文化からの出土品には、金台にトルコ石の装飾が施された飾り。年代としては、紀元0年から700年あたり。
 こういう出土品を興味深く見ていると、人類は太古から、そういう「美しい石」に惹かれ、それらの貴重な石に宿るパワーを感じ、信じ、神に祀ったり、捧げたり、そして身に付けたりして、お守り的な装飾品として大切にしてきたのですよねえ…

 石、鉱物が持つパワー 私は信じますねえ… それが「きれいな石」であれば、なおさらです。
地理的に決して「お隣さん」とは呼べない文明同士であっても、年代も大きく違う文明であっても、美しい石を崇め、珍重した理由、それは、それら美しい石に宿るパワーを感じ、そのパワーを信じたからに他ならない…そう私はそう思っています。
 私がジュエリーを毎日欠かさずに身に付ける理由。それは、きれいな宝石だから、身を飾るために付けるということではありません その宝石にパワーがあるから、そのパワーを感じるから、なんですよね ふふふ、またまた熱弁をふるってしまいました。

 そう言えば… 私の孫は2歳半になりました。
月に2度ほど、保育園にお迎えに行くのですが、その孫は、よく帰り道、歩いている時に小さな石を見つけては「ばばちゃん、いし、ひろう」と言って手に取り、「このいしね、ぽけっとにいれる~」と言い、大事に持って帰ります。それをコレクションにしている、ということを娘から聞いたことはありませんが、少なくとも持ち帰ったその日は、帰宅すると大事そうにポケットから自分で石を出して(その日によって1個だけのこともあれば、2個や3個のこともあります)、テーブルの上に並べて、嬉しそうに眺めます
 彼が選んでいる石は、よくお家の前、ちょっとした植込みのところに敷かれた緑や白、茶褐色のツルツルした「きれいな石」ではないのですよ。アスファルトの道の端っこや、電柱の下にあるような、いびつな黒い石 でも、なぜかその石達は彼にアピールする、んでしょうね。
 そんなことが何度も続くので、私は考えました…「むー… 幼いからこそ、原始的な感覚があって、その石に何かを感じるのかなあ?」なーんてね。はははっ、考えすぎかっ

 それでは、ここでさっき話した出土品の「きれいな石」について。
トルコ石、ラピスラズリ、カーネリアン(日本語では紅玉髄 べにぎょくずい)の他にも、きれいな色の石にありますよ
 たとえば、瑪瑙(メノウ)や柘榴石(ざくろ石)、マラカイト(孔雀石)、緑柱石、碧玉などがそうです。一般的に「半貴石」と呼ばれるものですね。
 「えっ?半貴石って何です?『半貴石』ってことは、『半』の付かない『貴石』もあるってこと、でしょうか?」という声が聞こえてきそうです。
 じつは、貴石と半貴石には、きちんとした定義はそれほどありません。シンプルにお答えすれば、このようになります。
 貴石・・・世界中で宝石として認められている鉱物の中でも希少性が高く、どこでも珍重され、高額で取引される宝石。貴石の中でも4大貴石と呼ばれているものが「ダイヤモンド」「ルビー」「エメラルド」「サファイア」
 半貴石・・・美しい鉱物ではあるものの、それほどの高い希少性は認められず、硬度の面で貴石よりも比較的低いもの。
 でもね「希少性」という面だけで言えば、ダイヤモンド、ルビー、エメラルド、サファイアより、はるかにはるかに希少性が高く、希少性が高いが故に高額なもの、はいろいろあります。
 その代表的なものが、最近、少しだけ知られるようになった水色の宝石「パライバトルマリン」かもしれません
 ただ、ここで「希少石」について話を向けてしまうと、どんどん話題の裾野が広がってしまうので、この希少石に関しては、また別の機会にお話をするとして、「きれいな色の石」に話を戻しましょう。

 太古から珍重されてきたのがトルコ石とラピスラズリ、カーネリアン。そして、先ほども書いた「瑪瑙(メノウ)」や「柘榴石(ざくろ石)」「緑柱石」「碧玉」について、もう少し。
 「柘榴石(ざくろいし)」の中でも、跳びぬけて美しいものは「ガーネット」と呼ばれています。
 「碧玉(へきぎょく)」の中でも半透明で美しいものは「翡翠(ヒスイ)」として扱われます。ここでまた脱線して、ちょっとその「ヒスイ」のお話を。
 10年ほど前までは、香港の複数のブランドから、ヒスイはよく保税展にも出品されました。ヒスイを専門に扱う工房もあったほどです。
 それに「ヒスイ」という名前が日本人に馴染みがあるのは、昭和50年台頃までは、和装の「帯留め」などにも使われる宝石だったから、だと思います。
 ところが 中国の経済力がどんどん上がるにつれて、日本に入ってくるヒスイが激減 今では世界の宝石業界に流通するヒスイはほとんどない、と言っても過言ではありません。
 なぜならば、ヒスイ、つまり碧玉は、中国の方々が大好きな宝石だから、なのですね とは言っても、ヒスイは中国で産出されるわけではなく、世界最大の産出国はミャンマーです。
 清王朝時代に中国に伝わったヒスイは、またたく間に高貴な身分の象徴となり、置物から食器に至るまで、あらゆるものに使われ、非常に尊いものとして珍重されました 中国の博物館には「ヒスイで出来た〇〇」という国宝級のものがたくさん出展されています。中国では、伝統的にそういう意味を持つヒスイ、なのです
 中国の人々の暮らしが豊かになった今、その「豊かさの象徴」であるヒスイは、太い腕輪として男女を問わず、愛されています 敢えてブレスレットとは呼ばず腕輪と表現したのは、それほど「太い形状」だからなのです 
 中国のあの人口ですからね。富裕層の多くが「腕輪」をするとしたら… 当然、他国には流通しなくなるのも想像に易い。なにせ、指輪なんて「小さな細工」ではなく、腕輪ですから

 次にご紹介するのは「緑柱石(りょくちゅうせき)」。鉱物学では「ベリル」という石、鉱物です。
 そのベリルは、含有する成分によって色合いが違ってきます。つまり「ベリルは〇〇色の石、鉱物です」とは言えません。
 鉄分を多く含むとブルー系となり「アクアマリン」と呼ばれ、マンガンを多く含むと、淡いピンクになり「モルガナイト」と呼ばれる宝石になります。
 せっかくなので、このモルガナイトの豆知識を披露しましょう。どうして「モルガナイト」と呼ばれようになったか?
 それは、アメリカの財界人J.P.モルガン氏が関係します。彼は、じつは無類の宝石愛好家でもあり、宝石業界にも多額の投資をし、貢献しています その彼にちなんで、この淡いピンク色の宝石を「モルガナイト」と呼ぶようになったと言われています。
 最後に「マラカイト(孔雀石)」は、エジプトが繁栄した時代から使われている美しい深い緑色の石です。このマラカイトを細かく粉になるまで砕き、それを絵を描くための顔料としても使われました。そう言えば、この粉をクレオパトラがアイシャドーとして使っていた、なんてお話もあります、ふふふ。

 宝石には興味がない、あまり身に付けない、という方も少なくありません。でも、だからといって知らんぷりをするにはもったいないほど、宝石を「様々な角度」から見ることによって、面白い話はたくさんあるものです
 宝石の中でも、最もポピュラーなダイヤモンド。誰もが「ダイヤモンドは知ってる!」と思うものですが… もう少し深堀りすると、もっと「へえ」「なるほど~」はたくさんあり、楽しいですよ。もし興味を持っていただければ、お時間のある時に、下記の回のブログも見てみてくださいね。
 「保税展」って何でしょう?
 「春の保税展」日程と、ダイヤモンドのお話し

 まっ、宝石に限らず、どんなものも「もうちょっと興味を持って見てみる、考えてみる」と、今まで見えていなかったものが見えたり、あらたな興味になったり、フフッと賢くなったり… 私はそういう「新しい気づき」にワクワクしてしまいます

  「秋の保税展 2024」 

10月18日(金)、19日(土)、20日(日)

10月24日(木)、25日(金)、26日(土)、27日(日)

11月1日(金)、2日(土)、3日(日・祝)、4日(月・休)

いずれの日も、午前10時30分 ~ 午後6時

会場:内原東京保税蔵置場(ガレリア UCHIHARA B2ホール)
    東京都港区六本木7-2-7

 保税展は一般公開されない催しで、保税展の性質上、東京税関の管理下におかれています。来場には、事前登録が必要です。ご来場日時が決まりましたら、必ず事前に私にメールで来場者のお名前をお知らせくださいね


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