コメント(私見):
「上小医療圏」(人口:約22万人)では、年間の分娩件数が約1800件あり、その中には一定頻度のハイリスク妊娠や異常分娩が含まれます。現時点では、それらの異常症例の多くが、篠ノ井総合病院や佐久総合病院など近隣医療圏の2次病院に搬送されています。
上小医療圏で必要とされる周産期2次医療提供体制を構築するためには、長野病院の産婦人科、小児科、麻酔科の常勤医を、それぞれ最低でも4~5人づつ配置する必要があると考えられますが、今の御時世でいきなりそれだけの専門医を集めるのは至難の業です。
また、年間約450件の分娩を取り扱っていた小諸厚生病院が突然、今月より分娩の取り扱いを休止したことも重なり、篠ノ井総合病院や佐久総合病院などの負担はますます増大する一方の状況にあるようです。
このまま放置すれば、早晩、周辺の医療圏も巻き込んで、東北信地域の周産期2次医療提供体制が総崩れとなってしまうことも危惧されます。
従って、現時点においては、篠ノ井総合病院や佐久総合病院などの周辺医療圏の2次病院の人員を強化することが緊急の最重要課題と考えられます。
****** 医療タイムス、長野、2009年4月3日
常勤の産婦人科医が着任 国立長野
国立病院機構長野病院産婦人科の常勤医として斉藤要氏が1日付で着任した。斉藤氏は当面、上田市産院を手伝いながら週3日、婦人科外来を担当する。同院は同日、助産師外来も開設した。
同院では、4人の産婦人科医を派遣していた昭和大が段階的に医師を引き揚げたため分娩を休止。昨年8月以降は医師1人が残り、3月末まで婦人科の外来診療のみを行っていた。
斉藤氏は月・水・木曜日を担当。金曜日は、前市産院長で諏訪中央病院産婦人科の甲藤一男氏が外来診療に当たる。
常勤医が確保できたことで、現在、上小地域から県厚生連篠ノ井総合・佐久総合の両病院などに通っている妊婦についても、分娩先が確保され、主治医の了解がえられれば、同院で検診を受けられるようにしていくという。
また、斉藤氏は市産院では非常勤として、月曜日の当直、火曜日の外来、木曜日の当直、金曜日の外来を手伝う。これで市産院は常勤医1人、非常勤医3人の体制となり、昨年度の分娩件数479件程度は、維持できるとしている。
同院は、引き続き産婦人科医の確保に努め、分娩の再開を目指す。
(医療タイムス、長野、2009年4月3日)