*** 第62回日本産科婦人科学会学術講演会一般演題抄録
【演題名】助産師と超音波検査を担当する臨床検査技師による妊婦健診の導入効果 (第2報)
【目的】産婦人科医の妊婦健診の負担を軽減する目的で、助産師と超音波検査を担当する臨床検査技師による妊婦健診(助産師検査技師健診)を当科に導入しその有用性を検討した。
【方法】2008年4月から2009年9月までの18か月間に、妊婦本人の承諾が得られた低リスク妊婦に対して、1診体制の医師の担当する妊婦健診(医師健診)と3診体制の助産師検査技師健診とを交互に実施した。1健診当たりの予約枠は医師健診が10分、助産師検査技師健診が40分とし、助産師17名、検査技師3名が交代で担当した。助産師検査技師健診の実施件数、医師との連携状況、異常の発見状況などを検討した。当科で健診を受けた妊婦に対する無記名アンケートを実施した。
【成績】18か月間に実施した妊婦健診は計12418件で、そのうち助産師検査技師健診は4343件(35%)だった。助産師検査技師健診で異常が発見され同じ日に医師が診察または処方した例が919件(医師の診察:477件)であった。臨床検査技師による超音波検査で52件の胎児異常(子宮内胎児死亡:1例、子宮内発育遅延:8例、羊水過少:9例、脳室拡大:3例、心奇形・不整脈:6件、水腎:16例、停留睾丸:1例、口蓋裂:1例など)が報告された。妊婦へのアンケートの集計結果で助産師検査技師健診に対する不満はほとんど皆無だった。同期間の当科の総分娩件数は1472件(地域内の他施設で健診:430件、帰省分娩:342件)だった。
【結論】助産師検査技師健診を導入することにより医師健診を35%減らすことができた。助産師検査技師健診で異常妊娠、胎児異常などが早期発見された。助産師検査技師健診に対する患者満足度は高かった。助産師検査技師健診の導入は非常に有用であった。
(第62回日本産科婦人科学会学術講演会一般演題抄録)