虚無の風に打たれ
悲しげに滅んでゆく
女の美しさに打たれ
あまりにも
ひどいことをした
ひどいことをした
こんな自分に
耐えられない
石のキリストを背負い
大河を渡る聖者のように
何もない女を背負い
果てしない海を目指せ
人間の男よ
岸に戻ってきてはならない
海には糞尿があふれ
おまえの足を食う馬鹿が
大勢で住んでいる
痛ましい馬鹿が
お前を滅ぼそうと牙をむいている
だがもはや後戻りはできない
十字架を背負い
刑場に向かうキリストのように
おまえの運命を目指して進め
おまえが背負っている女は
おまえの罪のように重い
だが二度と女は
おまえの足になることはできないのだ
おまえが女を
永遠に自分の足にしようとしたからだ
二度と帰れぬ岸を振り返ることなく
海の中に新たなる道を作れ
それ以外に生きる未来はない
永遠に
神が温めていてくれた
あの故郷に
男よ
おまえは帰っていくことはできないのだ