なぜわたしは
彼のようになれないのだろうと
思ったことが一度もないものは
いない
愚かなことをするたびに
わたしは
人を苦しめることしか
できないのかと
つらくなる
そのつらさから
影をかすめるように逃げて
本当に
自分以外のものになろうとする
そういうものもいるのだが
わたしには
それができなかった
わたしというわたしが
あまりにも
馬鹿だったから
切ないほど
小さかったから
何と大きな
欠落だろう
これがわたしなのか
そう思えば
わたしはわたしを
見捨てることができなかった
これは
わたしが生きるしかない
こんな自分は
わたししか生きることが
できない
みな
同じなのだろうか
こんなことを
思っているのだろうか
こんなわたしは
わたししか
生きることができないのだと