ひとは
自分以外のものにはなれぬ
ゆえに
自分から遠い者に強くあこがれる
そして
そういうものになりたがる
しかしそれは
魚が蝶になりたがるようなものだ
苦悩を呼び起こすだけで
何にもなりはしない
すべてをやめて
素直な自分に戻るほうが良い
魚は水の中に悦びがある
蝶は風の中に悦びがある
そういうものを大事にするのだ
馬鹿なことを考えて
似合わぬことをしてはならぬ
人間は
一足飛びに天使にはなれぬ
天使になるには
人間としての地道な徳を
こつこつと積んでいかねばならぬ
正直な自分を
ひとつずつ積み重ねていかねばならぬ
精進の道に
近道などない
ひとのものを盗んで自分につけるなど
馬鹿なことはやめて
まっとうな自分の道に戻るのだ