終わりの知らせには 高い鐘の音ではなく
やわらかなハープをひきましょう
それにあわせて 美しいソプラノの声で
山の向こうまで響く 歌を歌いましょう
人々よ
一つの時代の 終わりが来ます
いいえ もう来ています
しかし
美しいソプラノが どんなに訴えても
あなたがたは それが見えるようになるまでは
それに気づかないのです
いえ 見えるようになっても
まだ 信じないのです
やさしいと思っていた未来の風に
不思議な煙が混じり始めるでしょう
かわいい子が生まれると信じて温めていた卵から
運命の老婆が生まれてくるでしょう
何もかもは
自分の幸せしか 考えて来なかったからです
ソプラノは 失われた人魚の声
真実を告げる美しい声
あのとき 信じてくれさえすれば
やさしい日々は まだ続いたかもしれないのに
嘘を編んだ網で むりやり漁ろうとした人魚が
泡となって消えても
愛はまだ待ってくれていた
けれども
あなたがたは なにもできなかった
なにもしなかった
むしりとられるように
自分の中から明日が消えても
驚いてはなりません
運命の老婆が とうとうあなたのもとにやってきたのです
嘘をこねて作った幻の幸福劇が
終わったのです
そしてあなたがたは
風の中にかすかにハープの音を聞きながら
生まれて初めて
自分の生きていた世界の本当の姿を見るのです
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