月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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君の心

2014-04-20 06:20:30 | 苺の秘密

夕暮れの 砂浜で
いらくさの 網を
編みながら
君は言うんだ

いいのよ
わたしは 幸せにならなくても
幸せが何か 知っているから

だから 今は
あのこたちを
幸せにしてあげたいの

君の手は
いらくさで 傷だらけだ
ぶかっこうで 荒れているけれど
器用に すばやく動く
それは上手に
いらくさを 編んでいく

手拭いでかくした顔が
汗でぬれている

無心に編むんだね
君の愛する
だれかのために

ぼくは 何かを言いたくて
君のために
何かをしてあげたくて
でもなかなか
できなくて

涙が出そうになるのだけは
男らしくなくて
許せないから
ぐっと飲み込んで
やっと
星のため息みたいな
ひとことを言うんだ

きれいだよ
君の心



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テッラ・3

2014-04-19 06:24:13 | 詩集・瑠璃の籠

大きな愛が ひいた

人類を愛していた
天使よりも大きな
ひとつの愛が
人類への投資を
やめた

これは 馬鹿だ
何もわかってはいない

孔丘が死んだので
とうとう
大きな愛が
人類をふりむくのをやめた

あれは わたしの
親族ではない
気持ちが悪い
見るのをやめる

人類を ずっと見ていた
ひとつの
大きなまなざしが
消えた



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デネブ

2014-04-18 06:20:00 | 詩集・瑠璃の籠

織女の星を
阻むものがいる

わたしは
すべての愛の星を
あなたがたから遠ざける

愛を食らい尽くしたに
愛に甘えられると
思っているものを
わたしは食らい尽くす

我が名は デネブ
またの名を アルファ・キグニ

天の十字架である



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アークトゥルス・2

2014-04-17 06:09:41 | 詩集・瑠璃の籠

恋人と語り合おうと
野辺にゆけば
野辺に 帰れと言われる

我が子に道を教えようと
山にゆけば
山に 帰れと言われる

親のために貝を拾おうと
海にゆけば
海に 帰れと言われる

人間よ 帰れ
われわれの 富を
盗むのではない

あしたの道を探そうと
星を見れば
星に 馬鹿と言われる

悲しみを流そうと
空を見れば
空に 痛いと言われる

疲れた体を休めようと
地を見れば
地に 嫌だと言われる

人間よ
あさはかな
人間よ

どこにいけばいい



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ヴェガ・18

2014-04-16 06:14:40 | 詩集・瑠璃の籠

さて ひとびとよ
ソルに祈ってはいけない
今 それをすれば
ほかの星が怒るからだ

今は わたしのみが
あなたがたの 頼りだ

理解しなさい
あなたがたの
よきものも あしきものも
ひっくるめて
地球の愛が
敵とみなしたのだ
もう愛してはくれない
認めてはくれない

あなたがたは 今
親の家に当然のように住める子供ではなく
間借りしている他人なのだよ

地球の愛が
人類を
いやがっているからだ

心を正しくして聞きなさい
今までのように
傲慢にふるまってはいけない
礼儀を正しくし 謙虚になり
何事にも頭を下げていきなさい

そして
しばらくの間 地球に住まわせてくださいと
頼みなさい
まだ家賃を払うことはできないが
必ず払いますからと

これは甘いことではないのだよ
本当に
そういうことになってしまったのだ

あなたがたが
月を
追い出したからだ
あんなものは馬鹿だからと

それで とうとう
愛が 怒ったのだよ



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ゾスマ・4

2014-04-15 03:23:29 | 詩集・瑠璃の籠

天使は
あきらかなまことを吐く

それが光の獣となって
おまえたちを打ち
おまえたちの虚飾の塔を焼く

一夜にして滅ぶ
巨大な文明があるが
盲になっている
おまえたちにはわかるまい

愚か者め
ここまでのことになっても
まだ気づかぬわ

白金の炎に
己が骨が燃える
その痛みさえ
甘い虚偽の酒に酔う
つかの間の夢に思うのだ

あほうが

すべてが終わっても
まだ夢に溶けていこうとする

引いていく
時の潮とともに
下がってゆくがよい
人類よ



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ゲンマ

2014-04-14 03:35:50 | 詩集・瑠璃の籠

あなたがたの
今が
どのような闇に濡れていようと
どのような屈辱に沈んでいようと
どのような愚昧が描かれていようと
必ず
あなたがたは美しくなると
わたしの愛が
保証しよう

導く星は
多くあるが
わたしはその中で
最も高いものである

わたしは
星を導く
星である

ゆえに
すべてを
真実の未来に導くべく
語る

あなたがたの真実は
あなたがたと
われわれが
作り上げていくものである

われわれが縦の糸ならば
あなたがたは横の糸である
荒絹のように
今がどのように苦しい暗黒に描かれていようと
いつかかならず
それを美しいひとつの文様にできるほどに
大きな清いことができるものになると
そうなるべく生きて行くことができると
信じなさい

あなたがたの行く手が
かつてなく美しく
明るい大河へと
必ず導かれてゆくことを
わたしは保証する



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ヴェガ・17

2014-04-13 03:23:41 | 詩集・瑠璃の籠

いちばん好きだった
いちばん愛していた

それが あなたがたの
心を縛っている
闇だよ

愛することが苦しいなら
はじめから愛さなければ
何も苦しくはない
それが勝利者というものだと
あなたがたは
思いたかったのだ

あなたがたが
勝利したかったのは
好きだったのに
好きになるのがいやで
きらいだと言ってしまって
いちばん好きなひとに
行ってしまわれた
それが死ぬほどつらかったということなのだ

悲しいね
ほんとうのことというのは

わたしは
誰も愛してはいけないなどとは
一度も言ったことがないよ
それは あなたがたが
愛していた人に
勝ちたかったから
わたしの姿を借りて
言ったことばだ

おんななど くだらない
愛する必要はないと
言いたかった
それほど
愛していたのだよ

苦しいね
ほんとうのことというのは

そうして あなたがたは
とうとう
愛に勝利してしまったのだ

もはや二度と
あの
いちばん愛しているひとは
帰って来てはくれない
二度と会うことはできない

わかったかい
ほんとうのことが

さあ だが
生きてゆかねばならない
これからどこにゆく
なにをしにいく
自分で決めなさい

あなたがたが どこにいこうと
わたしはいつもそばにいよう
どこに迷おうと
ついていこう

愛しているよ



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ヴェガ・16

2014-04-12 03:08:21 | 詩集・瑠璃の籠

月は去り 太陽は黙す
北極星は 雲をまとい
石の歌を ささやく

織女は舞い降り
水辺にて
人々に語りかける

羽衣を 松の枝に結び
次にわたしが来るときまでに
これを決して盗んではならぬと
風に軽やかな経文を書いて
飛び去る

羽衣を賭け
さいころを振る
おとこたち

羽衣が欲しくて
松の根に近寄る
おんなたち

決して触ってはならないと
経を読む風に
あなたがたは耳をそらす




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エルナト・14

2014-04-11 04:07:38 | 詩集・瑠璃の籠

あなたがたは
あくまでも
自分たちが正しいことにしたいと
言うのですね

自分たちが強く
すべてを圧していれば
自分たちを正しくできると
言い張るのですね

愛を愚弄し 嘘をぬりつけ
それを自分の都合のいい時に
好きなだけ食える
豚の肉に等しいものにしても
何も苦しくはないと
言うのですね

あらゆるものをたばかり
虚偽の地獄に貶め
すべてのものを無価値の檻に閉じ込めて
自分たちが最も偉いものになりたいと
おのれだけが絶対によいものになりたいと
そういう心を
あなたは決して変えないのですね

よろしいでしょう
あなたがたは
わたしたちの
正式な敵です

思い切り闘いましょう
正面からぶつかりあいましょう
わたしたちも
真剣にやりますよ

両の翼につけた
ハンデの鉛を
七個ほど外し
本気の腕っぷしで
取っ組み合いましょう

もう逃げてはなりません
あなたがたは
わたしたちの
正式な敵です



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