男よ
立派なものになりたいと
ずいぶんとおもしろく
肉体を改造しているが
それがどんなにおかしなものか
自分では気づいていまい
本当のおまえはまだ
立派なことなどしたことはない
その小さな魂が
目からこぼれ出ているのに
なりだけはずいぶんと
立派なかたちをしている
何のためにそんな恰好をしているのか
女をひきつけるためか
よその男に勝つためか
あほうの志はせまい
そんな立派なかたちをしていたら
ずいぶんと立派なことをせねばならないのに
おまえは恰好をつけるだけで
偉いことは何もしないのだ
本当に立派な男になりたいのなら
自分の身をつぶしてでも
高きもののために働け
命を三度もかけて
愛のために勇を実行せよ
いつまでも母の前掛けに隠れて
人を馬鹿にしているのではない
盗みで作った
格好のいい肉体を見せびらかして
女をだまそうとばかりしているから
本当の自分が
みじめに小さくなってくるのだ
男よ
かたちとは本来
心そのままを表すものだ
何も偉いことをしたことがないのに
立派な姿をしていることが
恥ずかしくはないのか
苦しくはないのか
もうそろそろ
本当の自分に戻れ
今の自分にちょうどいい
本当の自分の姿に戻れ
そしてそこから
すべてをやり直していくのだ