漱石山房記念館 2018年5月15日
漱石山房を見学しました。
夏目漱石が40歳以降に暮らした漱石山房が、漱石山房記念館となり、昨年開館しました。
庭には芭蕉も植えられ、書斎内に置かれた書籍類や家具等も緻密に再現されているので、漱石ファンにとっては、木曜会のメンバーにならせていただいたかのような錯覚に陥る妄想空間となっています。
私が夏目漱石に目覚めたのは、つい最近です。4,5年ほど前に初めて「吾輩は猫である」を最後まで熟読して以来、夏目漱石の文章と見識の広さと斜め目線でありながらも落語を聞いているような面白さに魅了され、遅ればせながら漱石ファンとなりました。
そして、2年ほど前に、友人の某古美術屋の表装工房で漱石の書を拝見し、文筆力の幅の広さに、ますます明治の文豪の引き出しの多さに感服しました
江戸後期に生まれ、明治という大改革の波を乗り越えながら、様々な知識や文化を吸収できる時代に生きた人々の代表代弁者でもあるような漱石の見識と文体に、まるで明治の時代を、自分も共に生きているような感覚を覚えます。
もともと借家であった漱石の家は、漱石が亡くなり、しばらくしてから漱石全集が出版され、その印税で妻の鏡子さんが、300坪の土地と家を買ったのだそうです。その後、第二次世界大戦により、戦火を恐れ、大田区池上に書物等を移したおかげで、漱石の遺品等は焼けなかったとのことです。現在は東北大学が所蔵しているそうです。そして、横浜文学館には、漱石山房の書斎の本物が展示されています。
戦後すぐに、新宿区の公園となり、「吾輩は猫である」の猫塚を大切に供養しつつ、漱石公園に漱石山房を建ててはいますが、別管理下で現在に至っているとのことです。
漱石山房に展示されているものは、全てレプリカです。レプリカですが、緻密に再現されているので、きちんと説明を聞きながら書斎を見たほうがより一層勉強になります。
あと一寸、、、と、渾身の力を籠めて手を伸ばす猫の最期の文章を思い出しながら、漱石の世界に入り込むことができ、漱石であり猫である猫の悔い無き幸福感を存分に感じ取ることができたのでした。
漱石山房記念館の来場者は、圧倒的に男性が多く、黒縁の丸眼鏡なんぞを掛けている人がやたらと目につき、人を観察しているのも妙に愉しい空間でもあります。
漱石カフェで、空也の最中を頂き、どうせなら今は無くなってしまった藤村の羊羹なんぞも再現して頂きたいと思いつつ、(カフェには羊羹セットはありましたが、藤村とは勿論書かれてありませぬ。なので、あえて藤村復興を願いたいものです。)
じっくりと記念館を堪能し、私が木曜会のメンバーに入れていただいたような図々しい妄想を大いに楽しんだのでありました。
近いうちに雑司ヶ谷のお墓に手を合わせに行かなくては。。。
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