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猫は芸をしないと聞きますが、頭のいい彼は、幾つかの芸も覚えてくれた。
“お座り” と言うと、座って僕を見上げる。そして、“ゴンちゃん、お返事は!” と言うと、「ニャ~ォ!」と言うのだが、ほとんど声になってない。“お手” と言って手を出して、床をトントンと叩くと、片方の手をちょこん乗せる。そのまま、もう一方の手で同じ事を繰り返すと、もう片方の手も乗せようとして、前にこけてしまう。素直でドジで可愛い。
立ち上がって、胸を叩き、“ゴンちゃん!ポーンしよう” と言うと、僕の胸をめがけて、跳び上がってくる。しっかりと抱きとめて、「いい子だね~」と言って、頭を撫でてやると、嬉しそうだ。
それらの芸を見た友人が言う 「ゴン!お前、そんなに芸をすると、サーカスに売られてしまうぞ ! 」 と言って脅かす。
ゴンは、綺麗好きでもある。濡れたところを歩くとき、足をあげながら、綺麗な場所を探して歩く。トイレも汚れていると、綺麗なところを探し、隅で済ます。トイレはいつも綺麗にしておかなければいけない。僕にとっても有り難い事だが。
あれ以来、一度も粗相をしたことはないし、汚した事もない。
しかし、風呂は大好きだ。暖かいお湯で身体を洗ってあげると、気持ちよさそうにしている。
だから、僕が風呂に入っていると、ドアーの外でじっと待っているのかな?自分も入りたくて。
掃除機の音も嫌いだ。掃除をしていると、部屋中を逃げ回る。掃除機の吸い込み口を彼の傍に向けると、1メートルも跳び上がる。腰が弱いので、高いところから飛び降りる事も出来ないのに・・・。
ゴンちゃん、ごめんね!
そんな、可愛くて、愛らしい彼とも、別れの日が来た。
様々な事情により、お店を閉じる事になってしまったのだ。引越し先の部屋では、ペットを飼えない。
仕方なく、お店を手伝ってくれていた友人に、暫く預かってもらう事にした。いずれ引き取るつもりでいたのだ。
週一度、近くの公園に連れてきてもらい、デートをした。二度目のデートの後、友人から連絡があり、ゴンがいなくなったと言う。手を尽くして捜したが、見つからない。前の家にでも行ったのではと、近所の人にしたが、とうとう現われなかった。
もしも彼が、僕を捜しに行ったとしたら・・・ そう思うといたたまれない。
利口な彼の事、在り得ない事ではない。
自分を責めた。あんなに僕を頼りにしていたのに。なんて薄情な奴なんだ。
後悔もした。ペットの飼える部屋を探せばよかった。彼を手放すんじゃなかった。
今、思い出しても泣けてくる。
今でもペットは可愛い。飼いたいとも思う。でも僕には資格がない。それに、ゴンでなくては嫌だ。あんな可愛い奴はもういない。誰もが自分のペットが一番可愛いと思う。僕にとってもゴンが一番だ。
ゴンちゃん、愛をいっぱい、ありがとう! そして、僕を許してくれ!
今、僕の部屋では、置物のゴンが僕を迎えてくれる。(上の画像)
完
2005.03.16
猫は芸をしないと聞きますが、頭のいい彼は、幾つかの芸も覚えてくれた。
“お座り” と言うと、座って僕を見上げる。そして、“ゴンちゃん、お返事は!” と言うと、「ニャ~ォ!」と言うのだが、ほとんど声になってない。“お手” と言って手を出して、床をトントンと叩くと、片方の手をちょこん乗せる。そのまま、もう一方の手で同じ事を繰り返すと、もう片方の手も乗せようとして、前にこけてしまう。素直でドジで可愛い。
立ち上がって、胸を叩き、“ゴンちゃん!ポーンしよう” と言うと、僕の胸をめがけて、跳び上がってくる。しっかりと抱きとめて、「いい子だね~」と言って、頭を撫でてやると、嬉しそうだ。
それらの芸を見た友人が言う 「ゴン!お前、そんなに芸をすると、サーカスに売られてしまうぞ ! 」 と言って脅かす。
ゴンは、綺麗好きでもある。濡れたところを歩くとき、足をあげながら、綺麗な場所を探して歩く。トイレも汚れていると、綺麗なところを探し、隅で済ます。トイレはいつも綺麗にしておかなければいけない。僕にとっても有り難い事だが。
あれ以来、一度も粗相をしたことはないし、汚した事もない。
しかし、風呂は大好きだ。暖かいお湯で身体を洗ってあげると、気持ちよさそうにしている。
だから、僕が風呂に入っていると、ドアーの外でじっと待っているのかな?自分も入りたくて。
掃除機の音も嫌いだ。掃除をしていると、部屋中を逃げ回る。掃除機の吸い込み口を彼の傍に向けると、1メートルも跳び上がる。腰が弱いので、高いところから飛び降りる事も出来ないのに・・・。
ゴンちゃん、ごめんね!
そんな、可愛くて、愛らしい彼とも、別れの日が来た。
様々な事情により、お店を閉じる事になってしまったのだ。引越し先の部屋では、ペットを飼えない。
仕方なく、お店を手伝ってくれていた友人に、暫く預かってもらう事にした。いずれ引き取るつもりでいたのだ。
週一度、近くの公園に連れてきてもらい、デートをした。二度目のデートの後、友人から連絡があり、ゴンがいなくなったと言う。手を尽くして捜したが、見つからない。前の家にでも行ったのではと、近所の人にしたが、とうとう現われなかった。
もしも彼が、僕を捜しに行ったとしたら・・・ そう思うといたたまれない。
利口な彼の事、在り得ない事ではない。
自分を責めた。あんなに僕を頼りにしていたのに。なんて薄情な奴なんだ。
後悔もした。ペットの飼える部屋を探せばよかった。彼を手放すんじゃなかった。
今、思い出しても泣けてくる。
今でもペットは可愛い。飼いたいとも思う。でも僕には資格がない。それに、ゴンでなくては嫌だ。あんな可愛い奴はもういない。誰もが自分のペットが一番可愛いと思う。僕にとってもゴンが一番だ。
ゴンちゃん、愛をいっぱい、ありがとう! そして、僕を許してくれ!
今、僕の部屋では、置物のゴンが僕を迎えてくれる。(上の画像)
完
2005.03.16