木の枝に誰かが結んだ白いハンカチ。風に揺れ、どこからか幸せを運んで来たのでしょうか。
それとも、悲しみの涙拭く木綿のハンカチーフなのでしょうか。
夏のような陽射しに誘われて訪れた小石川植物園。
新緑が清々しい広い園内は、お弁当を拡げる家族連れやカップルで、和やかな雰囲気に包まれていた。
中国原産といわれる非常に珍しい木「ハンカチの木」が、盛りは過ぎたが、神秘的な白い花を揺らしながら、見る人の眼を楽しませてくれる。
実は、ハンカチに見える白い部分は葉が変形した苞(ほう)とよばれるもので、成長とともに緑色から乳白色に変わり、花のように見えるのだそうだ。
風に揺れながら舞い散る姿はまるで蝶のよう。思わず手を伸ばしてみたが、そのやわらかな花びらのような苞は、手をすり抜けてふわりと地上に舞い降りた。
とっくに盛りを過ぎ、散りかけている僕にも、どなたか手を差し伸べてくれませんかぁ?
2006.05.05