我がダンスホール、平日の昼間はサービスとして、持ち込み自由、料金も半額とあって利用者も多い。
月数回、片道3時間かけて茨城県から踊りに来てくださる、70代半ばのお客様がいる。
一人で来る事もあるが、お友達を誘って朝5時起きで来るそうだ。
居を東京から移して数年、田舎の生活になかなか馴染めず、ご主人を亡くして精神的に落ち込んだ末、3年ほど前からダンスをはじめたが、仲間同士で踊るにも誘いがないという。
そこで一念発起、東京へ踊りに来る事にしたそうだ。
縁があって、僕が踊り始めて1年半ほどになる。大きなリュックを背負って、お弁当と飲み物持参、「やっぱり東京はいいわぁ」と言って一日楽しんで帰る。
「私、ダンスは幼稚園児だから、誰も誘ってくれないの」そういいながら、上手くなりたいという。
しかし、楽しんでもらいながら上手くするには、年齢的なことを含めなかなか大変である。
時々「私、怒られるためにわざわざ東京へ来るみたい」などと泣き言をいうこともあるが、次に来るときには、地元のサークルで「上手くなったけどどうしたの?」と不思議がられる、と喜んでくれる。
社交ダンスは二人で踊るもの、お互いが自分勝手に動いては成り立たない。
特に女性に於いては、男性のリードを感じて踊らなければならないが、習い始めの人の多くは、ステップが気になり、男性の動きに関係なく動き出してしまう人が多い。
今日の彼女との会話です。
「僕より先に行ってしまってはダメですよ」
「あらぁ~」
「行くときは一緒です、ご主人にもそういわれたでしょう」
「・・・?」
「一人だけ先に行ってはいい気持ちになれません」
「そんなこと、もう忘れたわよ」
「じゃぁ思い出しましょう」
「エッチねぇ~」
「ダンスの話ですよ」
美しく踊るためには、無駄な動きを省いて、コントロールされた動きが要求される。
とかく初心者にとっては、身体を大きく動かすことがいいと勘違いしがちである。
「そんなに暴れてはいけません」
「・・・」
「もっと品良く、都会的に踊りましょうよ」
彼女には少し田舎蔑視がある。
「それでは田舎者の踊りですよ」
途端に動きが変った。
ステップを踏むときは、一度体重の乗っている足にひきつけてから、もう一方の足を出さなければいけないのだが、ステップに気を取られると、足ばかりが先に出てしまいガニマタになりがちである。
「そんな足の出し方では、品がありません」
「そうかしらぁ」
「そうです、それではお相撲さんがシコを踏んでいるようですよ~」
「ガハハハハァ」
「品良く、お姫様のように踊りましょうよ、お局様になっちゃダメです」
動く事だけに気を取られていた踊りが、形を気にするようになり、急におしとやかな踊りになった。
技術的なことをいってもなかなか理解してもらえない。
ダンスは性格が表れます。踊りを見たり、一緒に踊る事でおおよその性格がわかります。
心理的な部分をくすぐることで、思いがけない効果を生む事がある。
一踊りした後の食事の時間、地元で採れたメロンのお土産をいただいた。
「ちょうど食べごろよ」
「そう、○○さんのようだね」
「まぁ、うまいこといって、じゃぁ食べてみる?」
「う・うん、今おなかいっぱい」
5時間ほど楽しんで「また来週来ます」と言って帰路についた二人連れでした。
2006.05.18
月数回、片道3時間かけて茨城県から踊りに来てくださる、70代半ばのお客様がいる。
一人で来る事もあるが、お友達を誘って朝5時起きで来るそうだ。
居を東京から移して数年、田舎の生活になかなか馴染めず、ご主人を亡くして精神的に落ち込んだ末、3年ほど前からダンスをはじめたが、仲間同士で踊るにも誘いがないという。
そこで一念発起、東京へ踊りに来る事にしたそうだ。
縁があって、僕が踊り始めて1年半ほどになる。大きなリュックを背負って、お弁当と飲み物持参、「やっぱり東京はいいわぁ」と言って一日楽しんで帰る。
「私、ダンスは幼稚園児だから、誰も誘ってくれないの」そういいながら、上手くなりたいという。
しかし、楽しんでもらいながら上手くするには、年齢的なことを含めなかなか大変である。
時々「私、怒られるためにわざわざ東京へ来るみたい」などと泣き言をいうこともあるが、次に来るときには、地元のサークルで「上手くなったけどどうしたの?」と不思議がられる、と喜んでくれる。
社交ダンスは二人で踊るもの、お互いが自分勝手に動いては成り立たない。
特に女性に於いては、男性のリードを感じて踊らなければならないが、習い始めの人の多くは、ステップが気になり、男性の動きに関係なく動き出してしまう人が多い。
今日の彼女との会話です。
「僕より先に行ってしまってはダメですよ」
「あらぁ~」
「行くときは一緒です、ご主人にもそういわれたでしょう」
「・・・?」
「一人だけ先に行ってはいい気持ちになれません」
「そんなこと、もう忘れたわよ」
「じゃぁ思い出しましょう」
「エッチねぇ~」
「ダンスの話ですよ」
美しく踊るためには、無駄な動きを省いて、コントロールされた動きが要求される。
とかく初心者にとっては、身体を大きく動かすことがいいと勘違いしがちである。
「そんなに暴れてはいけません」
「・・・」
「もっと品良く、都会的に踊りましょうよ」
彼女には少し田舎蔑視がある。
「それでは田舎者の踊りですよ」
途端に動きが変った。
ステップを踏むときは、一度体重の乗っている足にひきつけてから、もう一方の足を出さなければいけないのだが、ステップに気を取られると、足ばかりが先に出てしまいガニマタになりがちである。
「そんな足の出し方では、品がありません」
「そうかしらぁ」
「そうです、それではお相撲さんがシコを踏んでいるようですよ~」
「ガハハハハァ」
「品良く、お姫様のように踊りましょうよ、お局様になっちゃダメです」
動く事だけに気を取られていた踊りが、形を気にするようになり、急におしとやかな踊りになった。
技術的なことをいってもなかなか理解してもらえない。
ダンスは性格が表れます。踊りを見たり、一緒に踊る事でおおよその性格がわかります。
心理的な部分をくすぐることで、思いがけない効果を生む事がある。
一踊りした後の食事の時間、地元で採れたメロンのお土産をいただいた。
「ちょうど食べごろよ」
「そう、○○さんのようだね」
「まぁ、うまいこといって、じゃぁ食べてみる?」
「う・うん、今おなかいっぱい」
5時間ほど楽しんで「また来週来ます」と言って帰路についた二人連れでした。
2006.05.18