勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

吾唯足知

2007-02-11 23:21:12 | Weblog
 遠く神奈川から、片道2時間半を掛けて踊りに来てくださるお客様がいる。ダンスをすることを極端に嫌うご主人には内緒である。道端で御用聞きと話をしたといっては殴られ、同窓会に男性が来るからといっては出席させてくれない。聞きしに優るやきもち焼きらしい。ダンスをしていることを知ったら殺されるかも知れない、という。

 それでもご主人が会社勤めの頃は、頻繁にダンスを楽しむこともできた。しかし定年退職後は、四六時中家にいるのでストレスで胃潰瘍にもなったという。
理由をつけては時々踊りに来てくださるのだが、帰る時間を気にしながらのダンスは、落ち着かないという。

 それを知っている嫁いだ娘さんとお孫さん、時々息抜きの手助けをしてくれる。今日は娘さんが、ご主人を家庭マージャンに、泊りがけで招いてくれた。

 久しぶりに時間を気にせずに楽しめるといい、懐石料理の招待を受け、それからダンスを楽しんでいただいた。
 帰る時間になって彼女が一言 「いつものようなハラハラする刺激がなくて何か物足りないわ!」

 京都・竜安寺には 吾唯足知 (ワレタダタルヲシル)の文字が刻まれた蹲(つくばい)があるという。 

 際限のない欲望に溺れることなく、現在の状況を善しとして生きる大切さを説いたものだそうだ。

 このお客様の欲望が際限ないとは思わない。現状を善しとするにはあまりに不都合も多い。

 お客様の中には、ご主人が送り迎えをしてくれる方もいる。ご夫婦でダンスを楽しむ方もいる。人は様々であり、それぞれの生き方があるが、生きていくうえでは、現状を善しとする『足るを知る』ことも必要だと教えていただいた。
2007.02.11