勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

健忘

2007-05-13 21:25:56 | Weblog

「30分ほど遅刻します」
 「お客様が来て待ってますよ!」
「えぇ~?」

頭の中がぐるぐる回った。だれと約束したっけ?
「○○さんが1時間も待ってます」
そうだ、昨日約束したばかりだった。
「すぐ行きます」
 
シラン・花言葉「お互い忘れないように」
 
 一昨日のことである。我が家と仕事場まで、自転車で10分、着替えをいれても20分で行くだろう。
急いで支度をして、自転車をとばした。最近、自転車と歩行者との事故が多いという。こんなときは気をつけなければ・・・。

 店に着くともうお客様は帰った後だった。
昨日の約束では、「こちらに来る都合があるので、少しの時間だけれどいいかしら?」
そう言われて1時間の約束だった。電車に乗っている時間なので、急いでお詫びのメールをした。やはり怒っているのは返信の文面でわかる。

 仕事の約束を忘れたのは、過去にも一度あった。月2回の出張レッスンを、1週間、間違えたことがあった。これは毎週ではないので、間違うこともあり得ること。だからいいというわけではないが、自分にはそう言い訳をしている。しかし、今回は、前日の約束である。最近集中力に欠け、もの忘れをしたり、記憶力の衰えを、折りに触れ思い知らされていた。
そのため約束事は、必ず携帯電話にメモすることを心がけているのだが、明日のことだからと、メモもしなかった。

 高名の木登りといひし男、人をおきてて、高き木に登(のぼ)せて梢を切らせしに、いと危ふく見えしほどは言ふこともなくて、降りる時に、軒長(のきたけ)ばかりになりて、「過ちすな、心して降りよ」と言葉をかけ侍(はべ)りしかば、「そのことに候ふ。目くるめき、枝危ふきほどは、己が恐れ侍れば申さず。過ちは、やすき所なりて、必ず、仕(つかまつ)ることに候ふ」と言ふ。(徒然草・第109段)

 木登りの名人といわれた男が、人に指図して、高い木に登らせ、枝を切らせたときのことである。
非常に危険だと思われた間は、何も言わず、切り終わって降りてきて、軒の高さほどになった時に「足を踏みはずすんじゃないぞ。注意して降りろよ」と、声をかけた。そこで「これくらいの高さなら、飛び降りたってちゃんと降りられるだろうに。どうしてそんなことを言うのかい」と聞いてみた。するとこの名人は、「それなんですよ。高くて目がくらみ、枝が折れそうに危ないときは、本人自身が慎重ですから、注意する必要がありません。失敗というものはきまって、なんでもないところでやらかすものなんですよ」と答えた。


 我が過ち、「木登りの名人」の例えというよりも、単なる記憶力、集中力の衰えに他ならない。だからこそ、どんなこともメモする手間を省いてはいけないことを思い知らされた。我が認知症、かなり重症かもしれない♪