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「伊勢物語」のなかで、都落ちをして東国に来た在原業平(ありわらのなりひら)が、隅田川を飛び交う水鳥を見て、渡守(わたしもり)にその名をたずねた。都鳥(みやこどり)と知り、都恋しさに詠んだ歌が「名にしおはば・・・」である。
『都に残した恋しい人は、今どうしているだろうか、都鳥という名ならば教えてくれ』と問いかける「言問(ことと)う」にちなんで名付けられた言問橋(ことといばし)は、隅田川にかかる橋のひとつである。
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言問橋を渡る通りを言問通りといい、台東区と墨田区を結んでいる。墨田区側には、やはり在原業平の名にちなんだ業平という地名がある。新東京タワーが建つことになった場所である。
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都鳥さえ 一羽じゃとばぬ
昔恋しい 水の面(おも)
逢えば解けます 涙の影に
河岸の柳の 春の雪
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古(いにしえ)の名曲
『すみだ川』 にも詠われた都鳥とは、ユリカモメのこと、東京都の鳥(都鳥)に指定されている冬の渡り鳥である。
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銀杏返しに 黒儒子かけて
泣いて別れた すみだ川
思い出します 観音様の
秋の日暮れの 鐘の声
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夕陽を背にした言問橋は川面に影を落とし、鐘の音が聞こえてきそうな冬の夕暮れは、生まれかけた桜の蕾を桜色に染め、節分の夜の月を待ちわびているかのようだった。
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娘心の仲見世歩く
春を待つ夜の 歳の市
更けりゃ泣けます 今戸の空に
幼なじみの お月様
節分の今宵、冷え込んだ夜空には、満月が煌々と輝き、春を待つ下町の夜は静かに更けて行きました。
2007.02.03