「2020 東京オリンピック」大会3日目の25日は、日本人選手の金メダルラッシュに沸いた1日でした!競泳女子400m個人メドレーで大橋悠衣選手が優勝すると、新種目のスケートボード男子ストリートで堀米雄斗選手が初代王者に輝き、さらに柔道では阿部一二三&詩選手が「兄妹同日金メダル」の快挙を果たしました。
競泳の女子400m個人メドレーの決勝に進出した大橋選手は、予選を全体3位で通過。決勝は3コースからスタートし、最初のバタフライをトップから0.49秒差の3位で折り返す。2つ目の背泳ぎで先頭に立ち、150~200mのところで頭一つリード。3つ目の平泳ぎでさらにリードを拡げ、250mで2位に1.5秒、300mのターンで約2秒の差をつけて最後の自由形へ。2番手からエマ・ワイヤント(米国)、さらにカティンカ・ホッスー(ハンガリー)が逃げる大橋を追いかけるが、捕まえきれない。350mで2位とは約2.06秒差。残り15mでワイヤントが差を詰めるも、大橋がそのまま1着でフィニッシュ!大橋悠衣が初めての五輪で金メダル獲得!
前日に瀬戸大也選手が得意の男子400mメドレーで予選落ちを喫し、日本競泳陣にとって最悪の出だしとなりましたが、大橋選手が競泳陣で初めてのメダルをもたらしました。背泳ぎで先頭に立ち、平泳ぎ、自由形でも先頭の座を譲らず。平泳ぎで後続を引き離し、2秒の差を作れたのが大きかったと思います。五輪初出場、しかも最初の種目で金メダル獲得って凄い。大橋選手は200m個人メドレーにも出場し、2つ目のメダル獲得を目指します。
スケートボード男子ストリート(@有明アーバンスポーツパーク)は、2本のラン+5本のベストトリックの計7本を行い、スコアの高い4本分が得点となります。
初代王者を狙う堀米選手は、全体6位の33.75点で予選を通過。決勝では前半のラン1本目で途中ミスをするも、最後のトリックで挽回して8.02点。2本目はミスが目立って6.77点、2本合計で15.79点と伸び悩む。ラン首位の17.82点を叩き出したケルヴィン・ホフラー(ブラジル)とは3.03点差。全体でも4位で後半のベストトリックに臨む。
ベストトリックで、堀米は1本目に「ノーリーバックサイド270スイッチリップスライド」を決めて9.03点台。2本目を失敗した後、3本目に「ノーリーバックサイド270スイッチボードスライド」を成功して9.35点をマークし、3本目を終えて暫定2位まで浮上。
そして4本目、将軍レール(ハンドレールとの間にある角ばったレールの名前)から「ノーリーバックサイド270ノーズスライド」の大技を成功!会場から拍手が上がり、堀米も会心の演技にガッツポーズ!もちろん9.50点の高得点を記録。4本目を終えた時点で、堀米が35.90点でトップ、ジャガー・イートン(米国)が35.35点で2位、ホフラ―が34.49点で3位につける。
最終5本目、転倒さえしなければ金メダル確実の堀米は、「ノーリーフロントサイド180スイッチ5-0グラインド リバート(180アウト)」を決めてみせた。5本目のスコアも9.30点を記録。得点も37.18点とスコアを伸ばした。2位・ホフラーも「キャバレリアルバックサイドノーズブラントスライド」を成功し、9.34点をマークするも、4本合計36.15点。イートンは最終演技に失敗。これで堀米雄斗選手の金メダルが確定しました。
堀米選手がスケボー・ストリートの初代王者に輝きました。優勝候補と言われながらも、予選で6位、決勝でも前半のランを終えて表彰台圏外にいて、メダルも厳しいかと思われました。しかし、ベストトリックで高難度の技を次々と決め、5本のうち4本で9点台。驚異の巻き返しで金メダルを手にしました。
生まれたところもスケボーを始めた所も東京都江東区の堀米選手は、高校卒業後に単身で渡米。本場で技術を磨き、プロのツアー大会で優勝すれば、今年の世界選手権では念願の初優勝。地元開催の五輪でも優勝し、2冠を達成したことになります。金メダルで地元に恩返しできてよかったなぁ。
スケボーの競技をここまでガッツリ見たのは初めてで、純粋に楽しめました。26日には女子のストリートもあり、女子でも西村碧莉選手、西矢椛選手がメダル候補と言われています。女子も堀米選手に続いてほしい!
日本武道館で行われている柔道は、男子66キロ級の阿部一二三選手、女子52キロ級の阿部詩選手が出場。
女子52Kg級の詩選手は、初戦の3回戦で合わせ技一本(※釣腰、崩袈裟固)で勝利すると、準々決勝では残り20秒で隅落としで技ありを奪い優勢勝ち。準決勝のオデッテ・ジュフリダ(イタリア)戦は、延長戦までもつれ込み、延長3分11秒に内股で技ありを奪い決勝進出。
決勝戦ではフランスのアマンディーヌ・ブシャールと対戦。2019年のグランドスラム大阪大会で、外国人初黒星を喫した相手です。開始直後から奥襟を取られると、1分48秒すぎに腕を取られてピンチを迎えるが何とか守り切る。延長10秒過ぎに阿部が相手の両袖を持ち、袖釣り込み腰を狙うも不発。さらに寝技に持ち込もうとしたが、うまく押さえ込めず。迎えた延長4分、ブシャールの肩車を崩すと、強引に押し倒して崩れ袈裟固めに持ち込む。10秒で技ありを奪うと、20秒で一本。阿部詩が今大会日本柔道女子初の金メダルを獲得しました。
男子66キロ級の一二三選手も順調に勝ち進み、3回戦で大外刈りで一本、準々決勝もモンゴルの選手を相手に大外刈りで技ありを奪い優勢勝ち。準決勝のダニエル・カルグニン(ブラジル)戦では、2分25秒に一本背負いを決めて一本勝ち。
決勝はジョージアのバジャ・マルグベラシビリと対戦。先に試合を終えた妹が見つめる中、開始1分48秒に大外刈りで技ありのポイントを奪う。さらに寝技に持ち込もうとしたが、マルグペラシビリが防御。さらに攻め続ける一二三は、残り1分30秒を切って一本背負いを狙うも決まらず。最後まで危なげない戦いぶりを見せた一二三、技ありのポイントを守り切って金メダルを手にしました。
五輪前から「東京五輪では兄妹で優勝したい」と宣言し、その言葉通りに兄妹同日金メダルの夢を叶えました。これは長い五輪の歴史で初めての快挙となります。詩選手は寝技での一本が2試合、一二三選手は大外刈りが冴え渡っていましたね。女子52キロ級はリオ五輪まで金メダルなしという「鬼門の階級」でしたが、詩選手が同階級初の金メダリストとなりました。
2017年に兄が世界選手権で初優勝すると、翌年2018年の世界選手権で兄が連覇、妹が初出場初優勝で「兄妹同時優勝」を達成。その後、妹が国際大会での優勝を増やす一方、兄が国内のライバル・丸山城志郎選手との直接対決で3連敗。五輪内定も妹の方が先でした。2019年のGS大阪で一二三選手が丸山選手に勝って五輪出場の可能性を残し、新型コロナで五輪が1年延期となった後、昨年12月の「最終選考ワンマッチ」で、24分にわたる死闘の末、丸山選手に勝利し、東京五輪代表を掴みとりました。一二三選手もあの死闘を経験したことで、より強くなったような気がします。
東京五輪で夢を実現した阿部兄妹。次の2024年パリ五輪では一二三選手は27歳、詩選手24歳と柔道家としては脂が乗ってる時期だから、「兄妹同日金メダル」がもう一度あると思います。3年後の阿部兄妹はもっと強くなってるといいな。