23日に開幕した「2020 東京オリンピック」は、24日から本格的に競技が始まりました。この日は日本武道館で行われた柔道の男子60キロ級と女子48キロ級で日本人メダリストが誕生しました。
女子48キロ級は日本から渡名喜風南選手が出場。2017年の世界選手権で優勝した事もある選手です。
渡名喜選手は3回戦から登場し、エバ・チェルノビツキ(ハンガリー)を横四方固めで一本勝ち。準々決勝は前回のリオデジャネイロ大会の金メダリストであるパウラ・パレト(アルゼンチン)と対戦し、腕ひしぎ十字固め(1分54秒)を決めて準決勝に進出します。
準決勝では世界選手権2連覇の「美しすぎる柔道家」ダリア・ビロディド(ウクライナ)が相手。渡名喜はビロディドに1勝4敗と負け越しています。本戦4分間では両者ともに指導が1つずつ与えられ、4分間では決着つかずゴールデンスコア方式の延長戦へ。延長1分過ぎに渡名喜が前に出るところをビロディドが払い巻き込みを狙ったが、渡名喜が上手く回避。その後に渡名喜に2つ目の指導が与えられ、反則負けのピンチを迎える。延長2分30秒過ぎにビロディドの巻き込み技を渡名喜がつぶすと、体をひっくり返して抑え込み。横四方固めで一本を取り、銀メダル以上を確定させます。
金メダルを懸けた決勝戦は、世界ランク1位のディストリア・クラスニチ(コソボ)と対戦。渡名喜は開始直後に小外刈りを狙うと、クラスニチの内股を返して寝技に持ち込もうとするも決めきれず。膠着状態が続く中、残り23秒のところでクラスニチが内股で技ありを奪う。渡名喜も残り時間で反撃に出るも及ばず。決勝で惜しくも敗れて銀メダル獲得です。
男子60キロ級は高藤直寿選手が出場。世界選手権で3度優勝し、前回のリオ五輪では銅メダル。東京五輪で悲願の金メダル獲得を目指します。
初戦となる3回戦では、ヨレ・フェルストラーテン(ベルギー)に内股(3分46秒)で一本勝ち。準々決勝のルフミ・チフビミアニ(ジョージア)戦では、延長戦でチフビミアニに抱え込まれるも腹ばいで逃れる。するとチフビミアニがベアハグ(抱きつき行為)を取られて反則負け。ラッキーな形で準決勝に駒を進めます。
準決勝のエルドス・スメトフ(カザフスタン)戦では、高藤が残り35秒からスメトフを3度も抑え込んだが、スメトフに逃れられてしまう。延長戦は一進一退の攻防が続き、7分ごろに高藤が隅落としで技ありを奪い勝負あり。
決勝戦は楊勇緯(台湾)と戦い、本戦4分間で楊に2つ、高藤に1つの指導が入り、延長戦でも激しい組み手争いが続く。2分過ぎに楊が高藤を振り落として寝技を狙おうとしたが、高藤が腹這いで守り切る。楊が足を使って攻め込み、高藤がしっかり組んで守る時間帯が続いたが、延長3分40秒に審判の「待て」がかかり、楊に3つ目の指導が入ったところで試合終了。最後は反則勝ちで高藤が金メダル!
柔道初日は、渡名喜選手が今大会の日本人メダリスト第1号となる銀メダル、高藤選手が日本人最初の金メダルを獲得しました。2人とも駐車場運営会社「パーク24」の柔道部に所属しており、総監督の吉田秀彦さんも弟子のメダルに喜んでいたと思います。
高藤選手は4試合中3試合で延長戦を戦い、うち2試合で反則勝ち。3回戦で3分46秒、準々決勝で6分37秒、準決勝で11分間、決勝で6分40秒、トータルで28分03秒戦い抜きました。高藤選手のスタミナの凄さに感服です。前回リオで銅メダルの時は「東京では金メダルを取る」と語っていましたが、有言実行となりましたね。最軽量級での金メダルは野村忠宏さん以来の快挙。この後に出場する選手たちに勢いを与えそうですね。
渡名喜選手は準決勝までの3試合は全て寝技で一本勝ち。準決勝で天敵のビロディド選手を破り、大きな山を乗り越えたから金メダルは取れると思いましたが、決勝で無念の敗戦。試合後の談話で「最近決勝で勝ててなくて、自分の弱さが最後に出てしまった」と話した渡名喜選手。次のパリ五輪こそは金メダルを取れることを信じています。