久しぶりにエアコンの入ってない寝室で眼が覚めた。昨夜来の雨は上がったようでカーテンの隙間から外の明かりが入り込んでいる。さわやかな朝だ。居間に下りてカーテンを開ける。向かいの駐車場を見下ろすと、路面はほぼ乾いており、朝焼けが今日の天気がいいことを示していた。
今日から9月。学校も始まったようで、学生姿が多い。いつもの電車も座席確保をしてくれている我が母校の高校生の集団が、いつものようにかばんでシートを占拠している。日焼けした黒い顔が、またいつものおじさんだ!くらいの目つきでチラッと私をみた。今日は機嫌がいいので、いやな顔はしないよ、とこちらも見返す。
最寄り駅から会社までは、ここ1ヶ月くらいバスに乗っていた。歩くと汗びっしょりになるので楽していたのだが、久しぶりに歩くことにした。駅の駐輪場整理のおじさんたちへの挨拶も久しぶり。あいかわらず笑顔で自転車の整理をしていた。
川沿いの道を歩く。川面から吹き抜ける風が心地よい。もう秋だ!と実感した。川は濁流で水かさが多い。上流の雨がいっきに流れているかのようだ。葦が半分くらい増水した水に洗われている。
たんぼのあぜ道に出る。児童の通学姿も久しぶりだ。たんぼでは稲穂が実を付け始めている。日射不足が懸念されていたようだが、まずまずの出来らしいと思いながら、右手を見ると鳩が数十羽、すずめが数百羽いっせいに飛び立った。おや、と良くみると、もう稲刈りが終わったたんぼである。そうか、落穂拾いではないが零れ落ちたもみをついばんでいるのだ。網をかぶせて捕ると焼き鳥が出来る、などとくだらない連想をしながら通り抜けた。
ほどなく砂丘ぶどう園の横道へ。葡萄の出来を見たかったが、すべて収穫された後だった。枯れ始めたはっぱだけが繁茂していた。葡萄は4ヶ月くらいで収穫できてしまうんだ、とあらためて認識した。そういえば、この前飲んだ安心院のワインはおいしくなかったな、と関係ないけど思い出した。
会社近くの民家では、もう柿が色づき始めていた。実が多く付いており、今年も出来はよさそうだ。知らないところで、確実に季節は移り変わっているんだ、と何となく感傷的な気分に。若い頃は気付かなかったことだ。年取ったせいだろうか。
遠賀のAさんのところへ今年も銀杏拾いと柿狩りに行かなくちゃ。今年は、はまさんも誘おうかな、キス釣りや枇杷の袋掛けでお世話になってるし、などと考えていると会社に到着。心地よい疲れだった。
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