ゆうしゃケン  小心翼翼・平々凡々

団塊世代の技術系サラリーマンだった。引退した今は妻と二人で平和な生活を願いつつ、趣味と独り言でストレス発散

クラブ

2006-09-02 20:15:22 | 平々凡々

 親しいゴルフ仲間の話である。40代の働き盛りで、社内でも飛び切りの美女を射止めた幸せ者だ。ころころした体形で、おおらかな感じがするが、実は繊細な神経の持ち主であり、よく気付く人だ。この性格が美女にお気に召したのであろう。大食漢タレントの石塚さん(?)をイメージすると間違いない。とてもよく似ている。

 

 このH君、若い頃は奥さんもゴルフをしており、二人で仲良くレッスンに通っていた。しかし、結婚すると子供が出来る。いまや二人の可愛い子供に恵まれて、幸せな家庭生活を送っているが、1昨年に副部長に昇進してゴルフの付き合いも多くなった。このため、丸い体を懸命に動かして、それなりにゴルフが上手になってきた。(実際、よく飛ぶ。私などは30ヤードも置いてゆかれることがある)

 

 そうなると、良いクラブが欲しくなるのも人の常。H君は、家計のやりくりと赤ちゃんの子育てで忙しい奥さんに迷惑をかけまいと、ひたすら小遣い・出張旅費を貯めた。そして1年、苦労した甲斐もあって、10万円のへそくりが出来た。彼は10万円を握り締めて、マイカーを運転してゴルフショップへ。

 そして念願のアイアンセットを現金!!で買ったのだ。経理屋であるH君は、高額の買い物は必ずカードを利用するが、意識的にカードを使わなかったのだ。それに、安く買えるネットも利用しなかった。それほど秘密にしたかったのだ。

 

クラブは車の中に積んでいるので、その場で古いクラブは下取りしてもらって、ニュークラブと入れ替えた。 奥さんは、バッグの中まで見ないし、クラブのメーカーも知らないので、これで完全犯罪完成だ!と確信していた。

 

ニューアイアンの切れ味は鋭く、購入して1週間後のラウンドでは、日頃のスコアを凌駕して眼を見張るものがあった。H君は意気揚々とバッグを担いで帰ったが、これからのゴルフ人生がばら色に輝いたことであろう。

 

そしてその晩、H君が夕食のテーブルに見たものは、ゴルフショップからの葉書がぽつんと1枚。夕食の代わりにきちんと揃えられて置かれていた。おそるおそる見ると、

「このたびはアイアンセットをお買い上げて頂き、ありがとうございます・・・・」

この話の続きは、H君は頑としてしゃべらない。

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H君はあいかわらず、元気で出勤しているし平日に休んでゴルフに行くときも、普通に出勤用のスーツ姿で家を出て、帰宅はいつもの時間に合わせている。愛妻家のH君、皆から好かれる人気者です。
コメント (17)
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