どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

犬神家の一族4Kデジタルリマスター版、鑑賞

2021年11月21日 17時50分00秒 | 映画
映画館のスクリーンで観るのは初めてですし、最初から最後までキチンと全部観たのも初めてかも。

これまでTVで何度か...途中からだったりで、かなりいい加減な見方していたんですが、今回まとめて観て、改めて凄い作品だったんだなと感じました。

ロビーには関連グッズが展示。

客入りはこれまで無かったほど多く、最終的には上図よりも1割程度増えていたかも。

男女比は半々程度、30代以上でチョイ高めな印象。

いや〜見応えありました。146分と尺的にもボリュームタップリですが、特有の編集技量もあってテンポよく、最後まで堪能。

日本の古い木造家屋を巧みな陰影描写浮き立たせて見せる...そこに漂う匂いや湿気さえも感じさせてくれる映像美が素晴らしい!

ストーリーは暗く、重々しいんですが、それを緩和させてくれる役割として、金田一耕助を初めとする周囲の人々が妙演で見せてくれていて、旅館女中の坂口良子さんの初初しさと、別の旅館の主人役の三木のり平さんの惚けたやり取りがとても楽しい(^_^)

あるシーンで突然のり平さんの旅館に金田一と、「ヨシわかった!」で有名な加藤武さん演じる橘警察署長が乗り込んできて、署長が早口の上に滑舌わるく「宿帳を出せ」とのり平さんに言うんですが、聞き取れないまま「へぇ...」と曖昧な生返事をするんですね。これにイラッときた署長が「や・ど・ちょ・う!」と返すんですが、もうこれが最高でっ!

かつての「社長シリーズ」で見せてくれた、のり平さんらしい惚けたアドリブが効いていて本当に上手いなぁ...と(*^o^*)

石坂浩二さん演じる金田一耕助も本当に絶品で、飄々としながらも終始優しさと憂いのある眼差しで登場人物を見つめている...その自然さが大きなスクリーンから見て取れました。

角川映画の第1弾として、力の入れようも凄まじく、角川春樹さんが演じる刑事はシーン数も多く、結構しっかりセリフも喋ってて頑張ってるなぁと(^_^)

4Kデジタルリマスターの修復具合も程よくフィルム感を残していて、色味も抑えられていて好印象でした。YouTubeでメイキングも公開されています。

人物のカットバックも巧みで、言い争うシーンは本当に臨場感があって素晴らしい...市川崑さんの監督作は実験的な要素が強くクセがあって。ちょっと苦手な面があるんですが、本作はそれがとても良く生きているなと。

代表作といって良いと思いますし、斜陽と化した70年代映画界を活性化させた功績としても歴史的な一作だなと思いましたね。

いや〜良いもん観たなと大満足です(*^o^*)