どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

2001年宇宙の旅、ますます好きになってしまった一冊に(*^o^*)

2019年02月02日 21時50分00秒 | 
2001:キューブリック、クラーク」...昨年末に購入して読み始め、600ページにも及ぶボリュームにビビリながらも(^_^;、約一ヶ月で完読してしまいました!

遅読・積ん読で挫折率が高い私にしては、物凄い勢いで(*^o^*)

とにかく...もう面白くて面白くて止まらなくなっちゃうんですよ〜!仕舞いには手放せなくなって、こんなに重く分厚いのに移動時も携え、ヒマさえあれば開き、熱中してしまいました。

今まで判らなかったこととか、想像していたことのほとんどに応えてくれているんです!

本書は「博士の異常な愛情」で成功を収めたスタンリー・キューブリックさんが次回作は宇宙モノなSF作品を作りたいと(当時開催されたNY万博に大いに触発されたのもあった様で...)、当時すでにSF界の大御所となっていたアーサー・C・クラークさんと出会い、構想を膨らませ変化させつつ(この過程・変遷も凄く面白い!)、次第に形にし、手練手管(^_^;でMGMをその気にさせて製作開始、名前が覚えきれないほどのスタッフ・キャストとのやり取り(時にダイナミックに窯変し、時にはトラブって)...そして完成、公開、その後とほぼ時間軸にそってまとめています。

著者のマイケル・ベンソンさんは1962年生まれで私と同い年(^_^;

6歳の頃に「2001年宇宙の旅」と運命的な出会いをして、ずっと追いかけてきた人みたいです。

内容の濃さ・クオリティがハンパない...一次資料に触れ、作品に関わったスタッフ・キャストに直接インタビューしたものがベースとなっており、想像や考察を極力排し、生々しくも核心に迫っているんです...まるで製作当時に現場で見ていたかのように...。

日本語版の監修者・添野知生さん(この方も同い年...なんか落差感じて落ち込むわ〜(´д`;))が、本書「監修者あとがき」で要点をまとめられています。

本書では、これまで明かされてこなかった、あるいは見過ごされてきた重大な疑問に、はっきりとした答えが示されている。例えば、
・『2001年宇宙の旅』に脚本はあったのか?
・骨を投げ上げる動作は、誰が思いついたのか?
・ディスカバリー号は、誰がデザインしたのか?
・スター・ゲート映像の原点となった、ある映画のオープニングタイトルとは?
・アーサー・C・クラークはどこで『2001年』を書いたのか?
いずれも従来の著作やドキュメンタリー映像では、語られてこなかったり、推測するしかなかった疑問であり、五十年目にして謎が解かれ、そこから新たなテーマが開けてくる奥の深さに、改めて深い感動を覚える。


もう正に!正にその通りで偽りなしです(^_^)

上記以外でもテレビ電話のシーン(監督の愛娘ヴィヴィアンちゃんを起用していたのは有名ですが)、考えて見ればプロの子役でもない子供に演技させるのは大変だったんだなと...子供視点の文体で微笑ましいアレンジになってますけどね(^_^)

宇宙ステーションにカメラがゆっくり迫るシーケンスも膨大な時間をかけてコマ撮りしていて、イギリス人スタッフがスタジオにTVを持ち込みスポーツ観戦し、飛び上がって騒ぎ、その振動で宇宙ステーションがガクガクと動いてしまったエピソードに笑ってしまいました(*^o^*)

他にも挙げれば切りが無いほど面白要素満載なのですが、中でもやはり強い印象に残ったのは...今では特効の大御所となったダグラス・トランブルさんのクリエーターとしての覚醒と監督との交流...最後は決別してしまい、とても切なくて、キューブリックさんの葬儀は胸が締め付けられる思いでした...。

本当に素晴らしかった...この本は今後「2001年〜」関連本のスタンダードな一冊になるでしょう。一通り読み終わった時、誰もが2001年オタクとなり(*^o^*)、作品の見え方もガラッと変わってしまうと思います。

そして、映画製作に興味を持ち、その世界を目指す人にとっても素晴らしい教科書にもなるんじゃないですかね!

こんな感じで内容は凄く良かったんですが、翻訳が...熟れていないというか、ときおり日本語になっていない文章だったりで、決して読みやすいとは言えないのが難点。

これだけのボリュームだし、50周年である2018年中に出すために複数分散し、かなり急いでの作業だったせいもあるのかなと(^_^;

でもまぁ日本語版出してくれただけでとても有り難いんですけどね、そうでなければ一生この内容に接することなんて出来なかったワケだから...。

関連各位にお疲れ様と謝意を!(^_^)

...で、本書は巻頭にカラー写真、本編にもモノクロですが、多数の写真や図が収録されているのですが、

それだけでは物足りなくなってですね...。

モノリスを...いや(^_^;「The Making of Stanley Kubrick's 2001 - a Space Odyssey」という洋書のメイキング本まで買ってしまいました\(^o^)/

実はこの本の存在も前から知ってはいたんですが、50周年の年には日本語版を出してくれるんじゃないかな...と淡い期待で待っていたんですね。でも結果的には無かった(コスト的に見合わないと判断されたんでしょうね...)。

でもまぁ大半が写真などの図録集みたいだし、「2001:キューブリック、クラーク」を読みながらの副読本としてなら問題ないかと購入した次第。

その結果は大当りでした(^_^)




撮影セットの裏側、宇宙船ミニチュアモデルなんかが美麗で大判の写真が天こ盛りで圧巻!

モノリスの形状(1:4:9)に拘った変形サイズなので、とにかく大きく、重く、厚くで読むだけで骨が折れるって感じなのですが、やはり買って良かった、大満足!

翻訳本を読みつつ、関連図版を参照するという贅沢な読書を味わうことができました。この組み合わせは最高だと思います(^_^)

総じてですね...これだけのエポックメイキングな作品を作ってしまう舞台裏の雰囲気...スティーブ・ジョブズさんとApple社のエンジニアの関係とどこか共通するなと思いましたね。映画作品というよりも製品の製作プロセスという感じがしました。

キューブリックさん自身も出来上がってビックリだったんじゃないかな...なんせ最初は侵略してきたエイリアンと戦う宇宙戦争みたいな映画を構想していたようで、最終的にあまりに神がかり、時代が早すぎたとも言える作品になってしまったのですから。



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