どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

この世界の片隅に、劇伴CD

2016年11月09日 20時20分00秒 | 音楽
昨日、Amazonさんから届き、さっそくiPhoneへ転送...ドップリと浸っているところです(*´д`*)



う〜ん...素晴らしい...。

実はですね、先行上映で一回観てはいるんですけど、コトリンゴさんのBGMがほとんど印象に残っていないんです。

特に前半はほとんど流れてさえいなかったんじゃないかというくらいです。

今週土曜にいよいよ一般公開開始ですので、まずは二回目で再確認したいとは考えているんですけど。

印象に残らない...裏を返せば説明的にうるさくないように使われていたんじゃないかなと。

説明的というのは、まぁ「ここで笑え」とか「ここで泣け」という判りやすい記号的な悪いBGMの使い方ですよね。

これが際立つと鼻についてしまい、邪魔になってシラケてしまいます(^_^;

コトリンゴさんによる劇伴は全33曲、こんなにあるから結構流れていたとは思うんですけどね...。

昨日から何度も繰り返し聴いてますけど、ピアノベースで円やかで柔らかなサウンドで...どう言えば良いんだろう...女神の視点?と言うか全編「みぎて」が語りかけているイメージですね。

ずばり「みぎてのうた」という曲もあるけど、オープニングでも使われているザ・フォーク・クルセダーズのカヴァー曲「悲しくてやりきれない」でさえ、「みぎて」が語っているように感じます。

ザ・フォーク・クルセダーズのオリジナルは世代的に馴染み深い曲なんですが、挫折の象徴であり、思うようにならない嘆き...というか愚痴っぽく響いて...まぁ当時幼い私の耳にはなんだかナヨナヨしてカッコ悪い曲だよなぁ...としか感じませんでした(^_^;

このカヴァー曲を去年のクラウドファンディング支援者イベントでパイロットフィルムに載せて聴いた時、あまりにもピッタリとして、すごいセンスだ!と(*^o^*)

しかもコトリンゴさんの歌には情けなさはなく、内容とは裏腹にポジティブささえ存在し、「この世界の片隅に」のストーリーに凄く合ってるなぁと感心したんです。

この時点ではまだ正式なものではなく、支援メンバーにも公表は控えてほしいと念押しされましたが、このまま採用してほしいなぁと思ってました。

それが、新録され、さらにはアレンジも変えて収録されています。

前カヴァー曲は、ポップな軽い感じでしたが、劇伴のそれは深く詩情豊かな風合いになっていて、本作に寄り添うテイストに(^_^)

コトリンゴさんのボーカルが入っているのはその他に三曲「隣組」「みぎてのうた」「たんぽぽ」ですが、それぞれ楽しく優しく嫋やか...心地よい風のような曲調に。

「みぎてのうた」は原作から抽出した、まさにダイレクトなメッセージ曲です。作曲に凄く苦労しただろうなと思うのですが、壮大な曲調な割りに押しつけ感も説教くさくもない...サラッと滑らかな曲。意識しないと聴き逃してしまうほどです(実際あまり記憶にありません(^_^;)。

こんな感じで、全てにおいて優しく静かにストーリーを包み込むような作りになっていると感じました。

こうの史代さんの原作をベースに、片渕須直さんの裏付けと演出、作監の松原秀典による細やかな演技付けと仄かな色香、美術監督の林孝輔さんによる瀬戸内特有の海・山・土の色、主演VCのんちゃんを始めとするベテラン声優陣のナチュラルな声、そしてコトリンゴさんの劇伴...つくづく映画は総合芸術なんだなと思わされます。その組み合わせがそれぞれ共鳴し絶妙なハーモニーとなり窯変し、特有の作風になっている。

先行上映会が終わり、出口で握手に応じていた片渕さんに「今まで感じたことのないテイストの作品でした」と思わず口から感想めいたことを告げましたが、後から反芻してもそれ以外に適確な表現ができていないままです。

モンギリ型に「泣けた」「感動した」は当然ありますが、そんな安っぽい手垢まみれの感想は言いたくないんです。

今はただ...二回三回と観て、私の中でどう感じていくか...それが楽しみなんです(^_^)



11月8日(火)のつぶやき

2016年11月09日 08時48分46秒 | 日記

この世界の片隅に、立川シネマで予約!

2016年11月08日 18時35分00秒 | 映画
立川シネマシティにはシネマシティズンという同館の会員のため、先行で予約が可能なのですが...。

図は私が予約した15時25分の回です。

予約解禁の0時から5分後にはドドーっと埋まりました(^_^;

まぁ大体中央からダイヤモンド型に埋まる傾向にあるんですよね。やっぱ考えることは皆同じで、音響効果をベストで味わいたいという感じでね。

ちなみに今現在(18時)はこんな具合です。


両端が主に空いている感じですけど、この調子なら初日は満席に近い状態になりそうです(^_^)

もちろん上映方式は期待の「極上音響上映」です!!

デジタル機器にアナログ出力をかませて、優しく伸びやかな音質になる見込み...期待しましょう!!

少しでもロングラン上映とするため、初日二日目は重要ですね。

観たいなと少しでも思う人は、なるべくこの二日に行きましょう!!!\(^o^)/



11月7日(月)のつぶやき

2016年11月08日 04時55分19秒 | 日記

atプラス30、こうの史代さんインタビュー

2016年11月07日 20時20分00秒 | 
太田出版の雑誌、見たことも聞いたこともない(^_^;


ちょっとお高い雑誌ですが、18ページにも渡り、こうのさんの生い立ちや自著について語られていると知り、貴重なお話しなので購入しました。


先日の「ユリイカ」もそうですけど、こんなにもまとめてこうの史代ワールドを楽しめるなんて!(*´艸`*)

アニメーション映画化という、ある意味でのお祭りイベントの効果は絶大で、相乗効果で、ファンとしては嬉しい嬉しい至福の時を過ごしております(^_^)

作風と人柄...似通っているようで、どこか違う雰囲気。

一見ほのぼのとしている画風に隠されている鋭いツメ!

こういう独特のテイストにすごく惚れ込んでおります(*^o^*)

アニメ化された「この世界の片隅に」は素晴らしい。

でも原作含め、そんなに多いとは言えない著作ではありますが、その奥行きの深さと幅の広さはアニメでは到底表現できない(いわゆる映像化不可能な)領域があるんです!

これからも末永く追っていきたい作家さんです!



エヴァ噺、松本隆さん登場(^_^)

2016年11月06日 18時30分00秒 | アニメ
現在、NHKのBSプレミアムにて「新世紀エヴァンゲリオン」HDリマスター版の放送をしており、本編終了後に各界著名人のエヴァファンがコメントする「エヴァ噺」という5分ほどのコーナーがあるのですが、第八噺になんと伝説のはっぴいえんどのドラマーにして名作詞家でもある松本隆さんが!!


「王立宇宙軍」に出会い、「トップをねらえ!」と...


庵野秀明の名前に引き寄せられるようにして、ちゃんと見てこられてたんですねぇ...凄い!

そしてエヴァもと...早すぎて周りが付いてきてくれないと...。

わかります。先見の明ある人は、いつも孤独なもんですな(^_^;


シンジくんの「逃げちゃダメだ」に共感された模様...。




はっぴいえんどで6万人...懐かしいですな(*^o^*)


再結成で久しぶりの演奏、しかもイキナリ6万人を前に...なるほど...シンジくんと同じ気持ちになったと(^_^;


いや〜さすが詩人です。深いところまでちゃんと見てますよねぇ...。



はっぴいえんどの世界観とどこか繋がってるようにも感じてしまいますな...。


良いコメントを聞かせていただいたという感じがしました(*^o^*)

次回は「シン・ゴジラ」で主演もされた長谷川博己さんです。こちらも楽しみ!!



この世界の片隅に、戦前・戦時中との地続き感

2016年11月05日 17時55分00秒 | アニメ
同じような、そして今後比較されていきそうな高畑勲さんによる監督作「火垂るの墓」は、絶望的なくらい現代との断絶感に満ちあふれています。

昨日夕刊での、監督・片渕須直さんのインタビュー記事で「戦時中の生活というものを地続きで実感したかった」というコメントが印象的です。


この気持ちは私も含めて、戦後、それも十年以上経過した時代に生まれた世代にとって重要なテーマだったなぁと思うんです。

「火垂るの墓」は、原作者・野坂昭如さんにせよ、アニメ版を監督した高畑勲さんにしても、戦災を思春期・少年期に体感した世代のため、とても批判性が強く、重く暗い色調を放っています。

反面、どこか戦後の繁栄した日本に対しても批判的な視線があるため、どこか「お前らにわかってたまるか」的な憎悪も感じ、観ているこちらも辛くなり後味の悪さが大きい鑑賞後感があって...。

世代的な断絶と拒絶があって、昭和20年代あたりを堺にして、現代とのミッシングリンクを感じさせてくれないんです。

教育の問題もあると思うんですけど、臭い物に蓋をしてウヤムヤにし、背を向けて遠い存在としてしまっている。

そのクセ、暗さと重さ、そして悲惨なイメージばかり...。

これが戦争映画は苦手、観たくないという客層を産み出している原因になっていると思うんですね。

「この世界の片隅に」における原作者・こうの史代さんと、アニメ映画監督・片渕須直さんは、このマイナスイメージを払拭し、現代人にグッと引き寄せる試みに挑み成功したと感じるんです。

遠い昔の時代劇とせず、世代間のギャップもなく、今この時代に生きる私やあなたと何も違いはしないし、生活していくための努力を普通にしているだけ。

そんな中で、災いが生じ、どう対応し、どう生き抜くか、作中の人物と、私やあなたと大きな違いってありますか?と問われている感じがするのです。

前述のように、戦後しばらくしてから生まれ育った私たち世代は、戦争の痕跡を目にすることも多く、そんなに遠くとは感じませんでした。

町の隅っこの空き地に防空壕が残っていたり、人通りの多いところには傷痍軍人と称する人が白衣を着て、ハモニカやアコーディオンを奏でて募金を募っていたりしてました。

でも...なぜか身近な感じはなく、どこか遠いというか他人事のような感じでした。

まさに地続き感が薄かったんだと思うんです。

たまたま私は歴史が好きだったし、映画でも戦争を題材にした作品を観ることが好きでしたが、世間的にはマイノリティーでしたし、遠くなっていく一方。

映画館に行っても、その手の作品は客が少ないし、いても白髪とハゲばかり...情けないなぁと感じることが多くてね(^_^;

仕方ないなぁとも思うんです。どこか判る人だけ観ればいいと言う感じがありましたから。

そこに現れたのが「この世界の片隅に」ですよ。

この作品こそ、現代人、それも若い人が身近な感覚で観ることができる作品だなと!

デートムービーとして気軽に観てもらえる作風になっていると感じるんです。

そりゃ戦争を扱ってますから、暗さも重さもありますが、従来のような断絶感・拒絶感はないと言って良い作風です。

とにかく可愛くて愛おしく、明るさに満ちています!この感じをこのジャンルでようやく掴めたという気がするんです。

後味の良さ!

是非この感じを一人でも多くの人に味わってほしい!そんな気持ちでいっぱいです(^_^)