私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

金魚の帯留めで楽しく涼やかに着こなす

2015年07月27日 | 着物の楽しみ
暑い毎日、Tシャツ一枚着るのも暑いのに、着物を着るなんてとんでもない!
そう思う人がほとんどでしょうね。
ですが、稽古事で着物を着ることが約束になっている場合は仕方ありません。
そんな場合、少しでも涼しく快適に過ごせるように考えることが大事になって来ますね。



体感的に涼しくするには、当然身に付ける物の素材を夏向きの物に変えるわけですが、
今回は、それにプラスして「視覚的に」「気分的」に涼しくする方法を考えてみました。




着物は江戸小紋、白地に水色の万筋の絽縮緬
帯はつづれ織で銀白色に雪月花の織り模様

と、ここまででも見た目はだいぶ涼しそうですが、
そこに、濃い青色の三分紐に七宝焼きの金魚の帯留めを置いてみます。
するとどうでしょう!ずいぶん楽しく、涼やかになったでしょ!



これは着用する本人がそう思えればいいんです。
本人の気分は表に現れるものですから、着ている人が楽し気で涼し気に
していることが大事なんですね。
そうすれば、見た人もそう感じてくれるはず、、と思うことが大事!

※三分紐は、幅が9mmの平組の細い紐のことです。




こちらは雪月花の「花」の模様の方です。
上は「雪輪」です。
その日の気分で使い分けるといいですね。



こちらはお太鼓になる部分です。
お太鼓には「月」と「雪輪」が織り出され、たれの部分には「花」ですが、
先日の着用で折り目がついてしまいましたので、たれの部分は省きました。
上の画像の「花」とほとんど同じですので想像して頂ければ、と思います。



要は、暑さも気分次第で涼しくしてしまえ!と言うことでしょうか、、

そう言えば、ある駅に電車が止まり、ドアが開くと、頭から足首までを
真っ白な布で覆った長身の男性がふわりと入って来たことがありました。
私の目の前をその白い布を翻しながらさわやかに去って行きました。
去ったあとに得も言われぬ良い香りを残して、、

あの時も夏でしたが、アラビアのロレンスを彷彿とさせる姿に
しばしうっとりとしました。
その人の気分なのでしょうね、爽やかで、涼やかでした。
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着物を着るための六月の決まり事

2015年06月24日 | 着物の楽しみ
女性はいつも出かける時に服選びに苦労しますね。

まあ、苦労すると言ってもそれが楽しい場合もありますが、
着物の場合は合わせる帯だけでなく、帯揚げ、帯締めなどの小物の取り合わせや
さらに、季節の決まり事にも気を配る必要があり、お手上げ状態になることも。

~ * * * ~

今回は、春から夏への衣替えの時期6月の決まり事を紹介したいと思います。




着物ーー6月いっぱいは薄い夏物ではなく、裏地のない単衣(ひとえ)の着用となります。
帯ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーさっぱりとした名古屋帯に変えます。
長じゅばんーーーーーーーーーーーーーーー単衣のものから薄物(絽、紗)に変えます。
半襟ーーーーーーーー夏物(絽)のものが使えますが、中旬までは塩瀬のものも使用可。
帯揚げーーーー夏物(絽)のものが使えますが、中旬までは綸子、縮緬のものも使用可。
帯締めーーーーーー6月いっぱいはすっきりとした丸打ち、平打ち、丸ぐけを使用します。

※着物は迷うことなく単衣に変えなければなりませんが、
他のものは、この基本を知った上で、着用日のお天気や
気温に合わせて多少の入れ替えも良いと思います。

~ * * * ~

今回合わせた帯はしゃり感のある涼し気なものです。
帯揚げは「絽」、帯締めは「夏組」のものです。
6月も後半になると気温もずいぶん上がりますね。
そんな時には帯締めを「夏組」のものに変えるという
応用力があってもいいですね。

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虹色の帯を二枚の着物に

2015年06月15日 | 着物の楽しみ
複数の色を段染めにした虹のような色合いの帯です。
洋服でこのような色合いのものは、スカーフやショールのように顔に近いところに使いますが
体の中心で使いこなすのは、ちょっと難しいかも知れませんね。

ところが、着物の場合は面白いもので、体の中心に持ってきても違和感がなく
かえってその美しさが際立ち、色自体の美しさを楽しむことが出来ます。
そこで今回は色と雰囲気の違う二枚の着物に合わせてみました。

グレーの綸子の小紋に



6月に入ると着物は「袷」(あわせ)から「単衣」(ひとえ)に変わります。
それに合わせて小物も涼しそうなものに変えていきますね。

この帯は博多織りの名古屋帯で、表面に凸凹のある膨れ織りです。
一見して夏帯と分かるものは7月に入ってからの着用ですので、6月の間はこのような
見た目がすっきりとした薄手の名古屋帯を使います。

帯揚げは、中旬までは綸子や縮緬でも、さわやかな色合いのものなら使えますので、
今回は虹色の一色をとって、綸子の薄紫色のものを合わせてみました。
6月に入りますと絽のものも使えますので、気温に合わせて使いこなすといいですね。

帯締めは、帯のきれいな色が生きるように、薄い水色のものを合わせました。
6月いっぱいは、基本的には夏組のものは使わずに、丸打ち、平打ち、丸ぐけの
さっぱりとした感じのものを使うようにします。


緑の段染めの紬に



この帯にはいろいろな色が入っていますので、
一見、合いそうにない濃い地色の着物でも、意外とすんなりと溶け込んでしまいます。

ここが着物マジックと言えるところでしょうね。
着物は首から下、足首までをすべて覆ってしまうので、いわばロングドレスと言えます。
この圧倒的な着物地の分量が、この虹色の帯の存在感を悪目立ちさせずに、その魅力を
引き立たせることに役立っていると思います。

~ * ~

グレーの着物は帯と共に優しい雰囲気ですので、やわらかく無難な感じにまとまりました。
緑の着物の方は帯と明度がまるで違っていて、くっきり、はっきりと元気な感じに仕上がりました。

どちらも軽い観劇や会食などお楽しみの席にふさわしいでしょうね。
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母娘で着回す春の小紋と牡丹の帯

2015年05月08日 | 着物の楽しみ

嫁入り道具の一つだった着物や帯が、もう娘に似合う頃になりました。
かと言っても、いろいろと思い出があって自分もまだ着たい!
そんな時、着物は便利です。小物一つであらあら不思議!
どちらにも似合ってしまうのです。



グレーを基調にしたパステルカラーの小紋に、咲き誇る牡丹の帯を合わせました。

白地に白牡丹の刺繍が施された名古屋帯ですが、春、この一時しか使えません。
(おめでたい花としてお正月に使えるとする場合もあるようです)

ですが、この一時のために装う、これほど贅沢で美しいものはないでしょう。
この帯は、叔母が私の結婚を祝って贈ってくれたものです。
私が無類の「緑好き」を知ってか、濃い緑色の着物を合わせてくれていました。

結婚式が5月14日でしたから、ちょうど今時分の花を選んでくれたのでしょうね。
見る度に叔母を思い出す大事な帯です。

~ * ~ * ~

さて私用には、牡丹の葉の色に合わせて、帯締め、帯揚げ共に黄緑にしました。
牡丹の華やかさにしっとり感が加わって、落ち着いた雰囲気になりました。
これなら、気楽なお茶席でしたら気おくれせずに出かけられます。




こちらは娘用です。

牡丹の葉のピンクと着物の中のピンクが可愛らしかったので
帯締め、帯揚げを共にピンクにしてみました。
同じ着物と帯とは思えぬほどの変身ぶりです。
キュートで、娘らしさ満開!って感じでしょうか。

帯締めがピンク一色でなく、中心に赤があるところが大事です。
ピンク一色では、平坦なイメージになり魅力半減ですからね。

娘時代には娘らしく、可愛らしく、華やかでいてもらいたいですね。
この一式でお茶会デビューっていうのもいいですね。茶席の華になれそうです。


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エキゾチックなペルシャ文様の帯を一つ紋の着物に

2015年04月20日 | 着物の楽しみ

先日、あるお祝いのお茶事に友人と5名でお呼ばれして来ました。
何を着て行こうかと考えた時に、真っ先に思い出したのがこの帯でした。

合わせた柿色の色無地はちょっと地味な色です。
白っぽい帯や黒を主体にした帯なら無難で、失礼もないのですが
それでは面白くないと思って、ちょっと物足りなさを感じていました。

そこで今回はエキゾチックなペルシャ文様の帯を合わせてみました。
帯の裏柄と表柄で二つの表情が出来ました。

* * *

~ 樹下人物文は亀甲組の帯締めで格調高く ~




~ 鳳凰文は金糸市松文の帯締めで個性的に ~




* ~ 鳳凰文 ~ *



古くから中国で尊ばれた想像上の瑞鳥で、雄が「鳳」(ほう)雌が「凰」(おう)
名君によって天下が泰平になると姿を現すと伝えられています。

日本には奈良時代に伝わり正倉院の錦にも使われており、
現代でも格調高い吉祥文様として着物や帯に多用されています。

* ~ ペルシャ文様 ~ * 樹下人物文



小さい珠の連なりは「連珠円文」といい、ササン朝ペルシャの特徴的な文様です。

多くの場合、その連珠円文の中に、鳥獣文、狩猟文、樹下鳥獣文、華文などが描かれますが、
これは連珠円文の中に花樹の下に、有翼の馬に乗った狩人が左右対になって描かれています。
このような構図はササン朝ペルシャの重要な文様の一つと言われています。

* ~ ペルシャ文様 ~ * 華文 ①



華文は、小さく様々な形と色合いの花の集まりを言います。

* ~ ペルシャ文様 ~ * 華文 ②



この一本の帯の中に①と②の二種類の華文が織り込まれています。

~ * ~ * ~
金地の中に多彩に織り込まれたペルシャ文様は、それぞれが個性的でありながら
美しく調和していて、また、大胆な連珠円文よって躍動感さえ感じられるようでした。
今回は地味でおとなしい色無地が、癖のある趣味的な帯を丸く収めたような感じでしょうか、、


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便利な二色(ふたいろ)の帯締め

2015年04月10日 | 着物の楽しみ

この帯締めは、左右にくっきりと二色に分かれているので
帯揚げも「くっきりと」違った色を合わせられ個性的かつ便利に使えます。



こちらは、帯締めの右側の黄色に同調させて辛子色の帯揚げを合わせてみました。
帯の中の一色ともよく馴染んで、落ち着いて優しい雰囲気になりました。
若い人なら、右側の黄色部分の中からオレンジ色や若草色など選んでもいいですね。





こちらは反対側の紫に合わせて、濃紫の帯揚げを合わせました。
このような濃い色は「しゃっきり」と姉さん風で粋ですが
意外と若い人にも似合うかも知れませんね。

~ * ~ * ~

同じ着物と帯で、いつも同じ帯締めでは飽きてしまいますね。
着物や帯は高くても、幸い帯締めは安いものでも面白いものがあります。
探している時にはなかなか気に入ったものに出会わないので
買い物に出たついでに、小物を心がけて見ておくといいですね。
一回のコーヒーとケーキのセット分で手に入りますから、一回我慢してね。

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紬の着物に絵絣の綿の帯

2015年03月24日 | 着物の楽しみ

母が残してくれた絵絣(えがすり)の綿の帯です。
まだ地味だと思って箪笥の底に眠らせていましたが、箪笥の整理を兼ねて出してみました。

この紬の着物は、画像では青ぽっく見えますが、実物は赤が勝った紫色ですので
あまり色柄のにぎやかな帯は似合いそうにありません。
そこで、どうしたものかと考えている時に、この絣の帯を思い出し
早速乗せてみると、思いの他よく似合うことが分かりました。

白の帯は紫の着物を軽く爽やかにしてくれて、春先の明るさにふさわしくなりました。
それでも帯自体は落ち着き過ぎているので、帯揚げを赤と白のコンビに、
帯締めを若草色にして、春らしい華やぎをプラスしてみました。




こちらは、同じ帯揚げの赤一色の面を出してはっきりとさせてみました。
どちらを出すかは、その時の気分次第、行く所次第、会う人次第。
同じ帯揚げでも二通りに使えるなんて経済的ですね。

また、綿の帯はキュッとしまって、腰回りがしっかりと支えられる感じがします。
コルセット代わりになって一日中付けていても、かえって気持ち良く楽でした。

親子とは言っても、着るものの趣味は違うので、その物が持っている雰囲気も違います。
母には似あっても自分の雰囲気に合わない場合、どうやって着こなそうか頭を抱えてしまいます。

この帯がそんな感じでしたが、今の歳になって自分の雰囲気がようやく帯の持つ雰囲気に
近づいてきたのかも知れないと思うようになりました。
着れなくなったものもありますが、着られるものも出てきました。

歳を重ねるのもまんざら悪くはありませんね。
未知の自分に出会えるのですから、、、
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早春の装い、梅の染め帯

2015年02月11日 | 着物の楽しみ

♪春は名のみの風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず

♪氷解け去り葦は角ぐむ
さては何ぞと思うあやにく
今日も昨日も雪の空
今日も昨日も雪の空

♪春と聞かねば知らでありしを
聞けば急がるる胸の思いを
いかにせよとのこの頃か
いかにせよとのこの頃か

~ * ~ * ~

春って聞かなければ、知らないでいたのに
聞いたばかりに、春を待ち急いでしまう
毎日毎日雪の空
春を待ちわびるこの胸の思いを
どうしたらいいのでしょうか、、

~ * ~ * ~

本当にこの早春賦の歌詞のような毎日ですが
せめて着るものに春を託してみたいと思います。

この一揃いは、紬の着物と縮緬地に梅を染めた帯です。
「染めの着物に織りの帯」「織りの着物に染めの帯」とよく言われますので
その基本に沿った合わせ方をしてみました。

着物の色がおとなしいので、帯揚げと帯締めを赤色で揃えて、
明るく、くっきりとさせ、帯回りを華やかにしてみました。
外は寒くとも、心は春、そんな装いで春を待ちたいですね。

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初釜の装い

2015年01月08日 | 着物の楽しみ

これは1月3日にあった社中の初釜でのひと揃えです
「初釜」というと、ついつい張り切ってしまいそうになりますが、
熟年世代に突入した私はこの度、
初春を寿ぐ気分を表しつつ、落ち着いた装いを心がけてみました。

* ~ * ~ *

着物

グレーに近い、薄いモスグリーン色の付け下げです。
裾、胸、襟、袖に「ホタルぼかし」の上に「宝尽くしの刺繍」が施されています。
その文様は目立ちませんが、小さいながらも祝意を十分に表していて
地味な地色に華やかさと格調を与えています。

背中に縫い紋を一つ付けてありますので、軽い訪問着風にも着こなせます。
その時には、少し金糸や銀糸の入った帯や有職文様、正倉院文様などの帯を
合わせて着物の格を上げ、重厚さを加えるようにします。
着物自体の文様が小さく邪魔にならないので、帯合わせがしやすい便利な着物です。
初めての着物を考えておられる若い方にお勧めの着物です。

* ~ * ~ *

宝尽くしの文様

着物に散りばめられた宝尽くしの刺繍です。福徳招来の願いが込められています。
元々は宝物を集めた中国の文様ですが、日本風にアレンジされて現在に至っています。
この着物の宝尽くしの文様はデザイン化され可愛らしい雰囲気です。
この可愛さで、地味な地色の着物が地味になり過ぎず「大人可愛い」魅力になっているように思います。





黒地ですが真っ黒ではなく「墨色」と言われ、茶を含んだ濃い灰黒色で微妙な色合いです。
この地に細かい金粉が控えめにまき散りばめられ、その上に松竹梅などの吉祥文様の
日本刺繍が施されています。緑を中心にした中で梅や牡丹の花々の色がチャーミングで、
おとなしい着物を生き生きさせていると思います。

帯締め

カラフルな帯の魅力を引き立てるために、ここでは薄い藤色の帯締めを使いました。
藤色の組みひもの中央に金糸が組み込まれています。
初春の寿ぎと初釜の慶びを金糸の明るさに託しました。

* ~ * ~ *

先日、京都の華道家元池坊の道場で初生け式があり、振袖姿のお嬢さんたちが
花材を抱えて道場に入って行く姿がニュースで放映されました。
新年を迎えた晴れ晴れしさと、初生け式に向かう緊張感がその盛装した姿から感じられ
こちらも嬉しく、背筋もぴっと伸びたようでした。

人が大勢集まる中で、その場にふさわしく装うことは「たしなみ」のひとつと言えます。
礼を尽くし、装い過ぎず、自分らしく、、これが難しいのですが着物の楽しみでもありますね。
年齢と共に、過不足なく、貫禄を増し、味わいのある装い、これがこれからの課題です。
まだまだ発展途上、諸先輩方からいろいろと学んでいこうと、気持ちも新たにした新年の幕開けでした。

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地味な色大島を帯で生き生きと

2014年12月13日 | 着物の楽しみ

色大島は絹織物の一種で、色物の大島紬のことを言います。
本来の大島紬が自然の染料で染められるのに対して、色大島は化学染料で染められたものです。

~ ~ ~ ~ ~

この色大島は、嫁入りの折に母が持たせてくれたものですが、洋服感覚で選んだので
着物としては地味で、長い間着ることもなく箪笥の肥やしになっていました。
そろそろ着れる年頃かと思い、出して見ましたがやはりまだ少し地味なようです。
ですが、この色柄ではさらに年を取っても、地味でなく着れる保証はありません。
そこでこの地味な着物をなんとか生き生きと着る方法を考えてみました。

大島紬はどんなに高価であっても、あくまでもお洒落着として着るものです。
合わせる帯は、礼装用の帯とは歴然として違うもので、格よりもお洒落感のあるものを選びます。
織りの着物に「染めの帯」と言われ、塩瀬羽二重の帯地に季節の草花などを染めた名古屋帯が
定番ですが、櫛織り(くしおり)やふくれ織りなど織りの帯で素材感の面白いものも似合います。

~ ~ ~ ~ ~

そう言えば、朱色の地で椿の花の部分がふくれ織りになった帯がありました。
この帯は若い頃に黒地に更紗模様の着物に合わせていた帯ですが、最近は派手になってしまい、
どの着物に合わせても気後れするようになっていました。

そこで、「まだ地味な色大島」に「もう派手になった帯」を合わせてみると、帯の派手さが
気にならなくなり、想像していた以上に着物が生き生きとして見えるようになりました。

~ ~ ~ ~ ~

ですが、
帯の色が明るくはっきりしているので、このままでは帯と着物が持つ色の明度のバランスが取れません。
そこで、帯締めと帯揚げの色を着物の中の一色と、帯の中の椿の葉の色と合わせました。
こうすることで着物と帯の明度のバランスが取れて、帯はおとなしく、着物は明るくなりました。

一般に「帯に派手なし」と言われますが、この組み合わせでいったい何歳まで着ることが出来るでしょうか、、
地味でおとなしい着物、派手で元気な帯、この間を取り持つ小物たち、、どう変わっていくのかは分かりません。
未来の自分への宿題として、自分でも楽しみにして行きたいと思います。

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同じ着物に帯三本

2014年12月04日 | 着物の楽しみ
「着物一枚に三本の帯」と昔からよく言われています。
同じ着物を三本の帯で雰囲気を変えて着回すことを言います。
限られた予算の中でいかに上手におしゃれを楽しむか、、、
昔も今も考えることは一緒ですね。

今回は一つ紋色無地の着物を使って格と用途を変えてみたいと思います。



唐織の帯で華やかに格調高く

着物は一つ紋の色無地ですが、裾濃(すそご)になっており、
帯次第で訪問着風にも付け下げ風にも着こなせます。
ここでは唐織の帯で格調高さと華やかさを加え、訪問着風に装ってみました。

唐織の帯は、光沢のある色糸を浮かせて文様を織り出すため、華やかさと重厚感があります。
もともとは中国から入った技術ですが、室町時代の末期には西陣で織られるようになりました。
当時は将軍などごく限られた人しか着ることが許されていませんでした。

格としては、振袖、留袖、色留袖、訪問着に着用可能です。
金、銀を使わずに光らないので、格の高いお茶席にもよく似合います。
この時に使う帯締めは帯の中の一色をとったぼかし染めです。
控えめでありながら改まった雰囲気を持った帯締めですので、
帯の華やかさと格調の高さに負けることなくしっくりと収まっています。

※裾濃(すそご)
ぼかし染めで、裾の方を濃く、上にいくに従って淡くぼかして染めたものです。
微妙な色の移り変わりが美しい染め方です。




錦(にしき)の帯でしっとりと

着物は同じですが、光線の関係で明るくなってしまいました。
本来の色は、上の唐織の帯に合わせた着物の色です。
ここではちょっとおとなしい古典柄の錦の帯を合わせて、付け下げや江戸小紋風に装ってみました。

錦は多くの色糸を使って美しい文様を織り出したものです。
唐織のような縫い取りがないので糸錦とも言います。
この帯は「檜扇」「牡丹」「橘」など格の高い文様に、さらに「松竹梅」「菊」の吉祥文様が織り込まれています。
地色がおとなしく、金銀も使っていないのでしっとりと落ち着いた雰囲気にまとまります。

格としては、訪問着、付け下げ、江戸小紋に着用可能です。
文様の格が高く吉祥文様があるため初釜、茶事などでも使えます。
この時に使う帯締めは文様の中の一番濃い色に合わせて、おとなしい帯を引き締め、ちょっと華やぎを持たせます。
それが一色ですと身体の上下を分断してしまいますので、この場合違う色と金糸の入ったものを使いました。
こうすることで、濃い色ながら、なじませつつもメリハリをつけることができます。




白の帯で軽やかに

白い帯はカジュアルな雰囲気になります。
文様の雪輪自体は平安時代からある古典柄で能装束にも使われています。
使われ方次第では振袖や留袖にも通用する文様ですが、この帯の場合は
雪輪の中の「ひった模様」の格がやや落ちるため、格式のある席には不向きです。
一つ紋色無地をおしゃれ着風に装ってみました。

格としては、色無地、江戸小紋、小紋に着用可能です。
この時に使う帯締めは帯の中にある茶色と金色を取って、茶色と金色の市松柄のものを合わせます。
そうすると、白い帯の持つ軽さにちょっと重みと華やかさが加わり、帯も着物も生きてきます。

金銀が入った帯締めは帯をよそゆき風にします。
上手に取り入れて着回しの幅を広げるといいですね。


※「ひった模様」ー匹田模様
鹿の子模様のことです。

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帯揚げで雰囲気を変える

2014年11月05日 | 着物の楽しみ
同じ着物、帯、帯締めに帯揚げだけを変えて、違う用途に着こなします。

着物は金糸縫い取りの小紋ですが、地紋が牡丹唐草と格があるので一つ紋
の色無地程度まで、帯や小物の取り合わせで格を上げることができます。
帯は袋帯で、亀甲文に花文が織り込まれています。伝統的な文様を現代風に
アレンジしたもので、取り合わせによって純和風にも現代風にも使えます。


こちらは、帯揚げの色を白に近いベージュにして、帯の地色に合わせました。
帯揚げを白に近い色にすることによって、着物を改まった雰囲気に変えます。
この組み合わせで、たいていの茶事、茶会、お祝いの席にも出席しています。



こちらは、帯揚げの色を花の色に合わせて、はっきりとした印象に変えてみました。
帯揚げに色が付くと、くだけた雰囲気に変わります。濃い色になればさらにカジュアル
な感じになります。この組み合わせは軽いお茶席やパーティーなどで着用しています。
今頃は特に、こっくりとした深みのある色が紅葉の頃の景色と気分に添っていますね。

先日のNHKの番組で染色家の志村ふくみさんが言っておられましたが「着物は自分の
心象風景」と、、、本当にそう感じます。着こなしもその時の自分の気分を表していて、
見ている人にもそれが伝わるものだと思います。そう思うと、帯締め一本、帯揚げ一枚
おろそかに出来ませんね。そこが難しいところですが、面白いところでもありますね。

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ひとえを菊の帯で

2014年11月01日 | 着物の楽しみ

もう11月ですね。
朝晩は冷えますがまだまだ日中は暑い時が多いです。
低体温で、しかも外界の気温に自分の体温が左右される変温動物のような私は、
少し暑いだけでも、その暑さが人よりもこたえてしまいます。
そんな訳でこの10月は、とうとう単衣(ひとえ)で過ごしてしまいました。
と言っても、26日のお茶会には頑張って袷(あわせ)に袋帯で行きましたので、ご安心を。
正式な場ではドレスコードはきちんと守ります。

※袷(あわせ)は裏地のついた着物のことです。

ー手挽き玉繭紬に軽い名古屋帯ー

お茶の稽古の時の一揃えです。
着物は、玉繭から手挽きされた単衣の紬です。
鱗と市松模様の織りが施され、その上に緑の濃淡で引き染めをしています。
所々に独特の節があるのが特徴です。

※玉繭(二匹の蚕が一つの繭をつくること)
手挽き(手で繭から糸を引き出すこと)
※帯揚げはろうけつ染めです。

着物は単衣ですが、帯は菊の模様で秋の深まりを表しました。
和装は季節感が大事ですからね。

さあ、私も明日のお稽古からは袷にしましょうか、、
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気軽な装いで

2014年10月01日 | 着物の楽しみ


                もう今日から10月ですね。
                何だか9月はあっという間に終わってしまった気がします。

                着物は10月に入ると、裏地の付いた袷(あわせ)に替えることになっていますが、
                日中はまだ暑いので、もうしばらくは、裏地の無い単(ひとえ)を着ようと思っています。

                もちろん、お茶席やきちんとした席には、決められたように袷の着物を着ますのでご安心を。

                この着物は薄グレー地に小さな地紋が織り込まれて、その上に白の模様が面白い着物です。
                帯次第で、かしこまったり、くだけたりできて便利です。

                この一揃いは、黄色の名古屋帯で気軽な雰囲気です。
                帯締めの色と帯揚げの色を合わせて、しっくりと馴染ませてみました。
                帯締めの白と赤がアクセントになっていて、おとなしい帯を引き立てています。

                小物の組み合わせ次第で雰囲気が変わる。それが着物の楽しいところですね。                             
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初秋の装いに変換 絽縮緬

2014年09月03日 | 着物の楽しみ

              絽縮緬の着物
               縮緬の一種ですが、ふつうの縮緬地の中に隙間を織り出したものです。
               夏用として使われますが、平絽や駒絽よりも少し地厚ですので、単(ひとえ)
               と薄物の間に着るものとされていました。

               ですが、近年の温暖化傾向による気温の変化によって、この絽縮緬の
               着用時期が広がってきています。

            夏の終わり~秋の初め
               9月に入って「秋」とは言っても、日中はまだまだ暑いですね。
               そんな時に、この絽縮緬の着物に夏用の帯を裏返して、白の分量を抑え、
               少し秋向きにしてみました。
               帯締めは夏組ではなく、平打ちや丸打ちのものに変えるといいですね。
               
               




夏仕様の組み合わせ
 こちらは、白の分量が多い表面を使用した夏バージョンです。
 帯締めは夏組の涼しげなものを使います。

 着物は、洋服のように季節に合わせて、あるいはその年の流行に合わせてと、
 そう簡単に買い替えることは出来ません。
 そこで、せっかく手に入れた着物や帯をどうしたら十分に活用出来るか、知恵を
 絞って、今あるものを大事に、また魅力的に使いこなしていけるといいですね。

                           では、また明日お会いしましょう。
        
                    
コメント (2)
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