私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

ここは別世界や!高校文化祭のお茶席

2015年11月14日 | 茶の湯便り

昨日は高校の文化祭で、お茶席のお手伝いに行って来ました。
10時開始ですが準備は学校側でしてくれますので、9時過ぎに登校すると
お道具はすっかり指定した通りに、間違いなくセットされていました。
茶道部担当の先生とはもう8年ものお付き合いですから、あうんの呼吸です。
初めの頃は前日に準備していましたが、もうそれは先生の指図で部員のみで
出来るようになっており、私はずいぶんと楽になりました。

この日は、卒業生も手伝いに来てくれましたので、持ってきた着物を着せました。
全ての準備が整うと、タイミングよくバザー開始の放送が入り、お茶席も開始です。

さあ、今年のお茶席はどんな風になるのでしょうか、、
期待と不安のハーフハーフの気分です。

~ * ・ * ・ * ~

開始早々に、三年の男子生徒が三人連れ立って入って来ました。
男の子が待ってましたとばかりに入って来るのは珍しいと思っていると
「へえー!ここは別世界やなあ!」の第一声が、、

これこそが、お茶席で感じてもらいたいことの一つです。
お菓子が美味しかった、お茶が苦かった、あるいは美味しかったなどの感想は
よく聞きますが、お茶席そのものの感想は聞いたことがなかったので、
今時の子供たちには、そこまでの考えや思いがないのだろうと思っていました。

ところが、この文化祭のお茶席で、しかも男子生徒からこの一言が出たことで、
驚きましたが、かえって今時の子だからこそ、そう感じたのかも知れないですね。

今頃の家で和室のある家はどのくらいあるのでしょうか、、
また、床の間のある家はどのくらいあるのでしょうか、、

畳のある部屋で床の間には掛け軸、香合、花入れのしつらい。
恐らく今までに見たことがなかったのでしょう。
今回の一言はたぶんそう云った視覚的なことを述べたのだと思いますが、
多少はお茶席の雰囲気から、一種独特のお茶の世界を感じてくれたのかも知れません。

この一言を得たことが、この度のお茶席の成果だったように思います。
お茶の稽古は、一瞬現実から離れ無になることが大事なのですから、
ある意味で「別世界」に入ることですもんね。

文化祭でのお茶席は「別世界!」
有難く素敵な一言でした。

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「秀吉の時代」ー桃山美術の光と影・逸翁美術館2015秋季展

2015年11月03日 | 茶の湯便り

こちらは大阪府池田市にある逸翁美術館
2015秋季展として、秀吉の時代ー桃山美術の光と影 ー開催中 12月13日まで




逸翁 (小林一三) (明治6年~昭和32年)

NHKのドラマー「経世済民の男」夢を形にした起業家ーその主人公である。

阪急、東宝グループの創始者であり、宝塚音楽学校や少女歌劇団を創設したことでも知られ、
東京電力の社長を経て昭和15年商工相として入閣、戦後は国務相となり復興院総裁を務めた。

茶湯は慶応義塾大学卒業後に就職した三井銀行時代に、上司の高橋箒庵に勧められたのに始まり
陶磁器、書画などの収集に努め、懐石に洋食を取り入れるなど独自の茶道観をもって、
茶道の現代化や大衆化を提唱した。




逸翁美術館は「一都市に一美術館を」との逸翁の遺志を生かすために、
長年にわたって収集された茶道具、美術品が展観されている。

ー こちらは本秋季展のパンフレット ー

右側の秀吉像は、(伝)狩野光信の画稿(絵の下書き)ーよく学校の教科書に載せられている秀吉像
何枚も描かれた画稿の中で本人が一番似ていると思うものを選んだ、ということから
この秀吉像が最も実物に近い肖像画であろうと、館内の説明書きにあった。(重要文化財)

左側の黒楽茶碗は、楽長次郎作、銘「千鳥」
長次郎作は他には、赤楽茶碗、銘「常盤」の展示あり。




志野柑子口花入れ




本阿弥光悦書、俵谷宗達下絵ー新古今集切・月二種「月だにも」「さむしろや」

右ー月だにも 、なぐさめかたき、秋のよの、心もしらぬ、松の風かな
左ーさみしろや、まつよのあきの、風ふけて、月をかたしく、宇治のはし姫




千利休、茶杓、覚々斎筒




三十三間堂通矢図屏風 (重要文化財)

~ * ~ * ~

他にも(重文)花鳥絵螺鈿洋櫃、付籐編外櫃など全89点が展示されており、
逸翁美術館ならではの超一級品揃いの見応えある展覧会であった。


※ 展示品の写真はパンフレットより
※ 参考ー茶道誌淡交、増刊号「茶人と茶道具」、茶道辞典(淡交社)

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里山の炭焼き小屋のお茶会

2015年11月02日 | 茶の湯便り

11月1日、兵庫県川西市黒川地区にある炭焼き窯にお邪魔しました

こちら黒川地区は、お茶で使われる炭の最高級品と言われる菊炭(池田炭)の産地で
豊臣秀吉や千利休も愛用したという菊炭を今も作り続けています。

そのため、炭作りに使用する「クヌギの木」の伐採、再生と雑木や下草などの手入れも
当時から綿々として受け継がれて、今日では日本一の里山と言われているそうです。

そんな素晴らしい環境の中で、炭焼きの現場を拝見し、お茶席でのんびりと
美味しいイチジク餡のお菓子でお抹茶を一服楽しませて頂きました。




炭焼きの窯




窯の内部




焼き上がった炭




作業場で炭を切り揃えます




一口100円の寄付で一つ頂けます
里山の手入れはほとんどがボランティア活動に支えられています。
この寄付金はそうした活動に使われるそうです。




アズマヤマアザミ
炭焼き窯の周囲には可愛い野の花も咲いています。




ヒメジョオン
まるで笑顔で「こんにちは♪」と言っているようです。




なんと!烏骨鶏まで放し飼いです
こんな高級な鳥を放し飼いに出来るところはさすがのどかな里山ですね。




入口にはヤギ君がいました
六甲牧場からやって来たまだ2才ほどの男の子です。
カメラを向けるとポーズを取ってくれました。




まだ甘えん坊です
ご主人に甘えて頭をこすりつけています。
体は大きくてもまだ可愛いですね。


~ * ・ ~ * ・ ~

こちらの炭焼き窯は、この地区で菊炭を作る唯一のところだそうです。
里山を残すことも、炭作りも、維持するためには大変な努力が必要とよく分かりました。

今まで何気なく行っていた炭手前も、このことを考えるとそう迂闊な気持ちではなく、
感謝の気持ちを持って、させて頂くのだと考え及び、良い教訓を得た訪問となりました。


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秋晴れの姫路城と殿様気分のお茶会

2015年10月18日 | 茶の湯便り

今日は朝から気持ちのよい秋晴れ、姫路城下でお茶会です。
裏千家の近畿地区大会で2府4県のお茶人さんが一堂に会しました。
会場の一つイーグレーひめじ4階の交洋庵で、お城を眺めながらの一服は最高!
まるで殿様気分♪




こちらはお城のお堀です。
向こうにお城の西の丸が見えます。
この西の丸は家康の孫娘の千姫が嫁いだ時に、千姫のために建てられたものです。
中は見学することが出来て、当時の千姫の暮らしぶりを偲ぶことができます。




お堀の西側にあった武家屋敷跡は日本庭園が造られ好古園と名付けられています。
今日のお茶会のもう一つの会場として、濃茶席が二席設けられました。
ご案内の青年部の方の美しく可愛らしいこと、、
男性でなくとも見とれてしまいます♪
お茶良し!美女良し!

~ 秋晴れの爽やかな一日、良いお茶会日和でした ~


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姫路城グランドオープン祝賀・観月会のお知らせ

2015年09月19日 | 茶の湯便り

平成の大修理が終わり3月27日のグランドオープンから早や半年、
その間、国内外から大勢のお客様をお迎えしました。

この度は、9月27日に行われます観月会のお知らせです。
夜空に白く輝くお月さまと白鷺城の美しい姿をご覧ください。




会場は天守閣の前、三の丸広場です。入場は無料です。

ステージでは箏曲、獅子舞、吹奏楽、吟剣詩舞・歌謡詩舞、和太鼓の演奏、
おもてなしコーナーでは地酒、お月見団子、千姫弁当、揚げかまぼこ、姫路おでん、
お茶席では甘い和菓子とお抹茶を楽しむことができます。

どれも美味しそう!張り切って私も行って来ます!
皆さん、三の丸広場でお会いしましょう(^_-)-☆




お茶席コーナーは5時から8時半までにお入り下さい。
数に限りがありますのでお早目にどうぞ、とのことです。

※お問い合わせー姫路城イベント実行委員会(079-287-3652)

※雨天時9月28日に順延
雨天中止のお知らせ(079-282-2012)自動応答
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世界の国からこんにちは♪姫路城西御屋敷跡庭園・好古園お茶室は国際色豊か

2015年08月19日 | 茶の湯便り
ー 好古園入口 ー

こちらは姫路城の西隣りにある武家屋敷跡に造られた池泉回遊式日本庭園です。
「御屋敷の庭」や「茶の庭」など趣の違う九つの庭園があり、四季折々に
美しい景色の中でゆったりとくつろぐことが出来ます。

今朝は早くから強い日差しが照りつけて、入口への道に木々の影が色濃く落とされています。
さあ、今日はどんなお客様がこの道を歩いて来られるのでしょうか、楽しみに行って来ます。




ー今日はシニア隊四名でのご奉仕です ー




ー 庭への入口 ー




ー 向こうは姫路城 ー

この竹垣の向こうは姫路城のお堀です。
お城での異変に備えてすぐに家臣団が駆けつけられる近さです。




ー 白壁 ー

好古園は、水戸黄門、暴れん坊将軍など時代劇のロケによく使われました。




ー 茶室・双樹庵の入口 ー

いよいよ茶室にやって来ました。
この門をくぐり右に行くと「茶の庭」、そのまま進むと茶室の玄関です。




ー 待合 ー

お客様が多い時にはこちらでお待ち頂きます。




ー 待合の床・ハワユ ー

「波和遊」ー こちらの双樹庵は国内外からたくさんのお客様をお迎えしますが、
姫路城が世界遺産になってからは外国のお客様がうんと増えました。
このお軸は双樹庵が世界に心を開いていることを表していますね。
前姫路市長さんのお手になるものだとお聞きしました。




ー 本席 ー

双樹庵は千玄室大宗匠がお家元の時代に設計、監修されたお茶室です。
鴨居に桐の透かし彫りがあり、右下に大宗匠の花押があります。
茶室に宗匠の花押を頂く所はあまりないでしょうね。双樹庵の誇るところです。




ー イタリアからのお客様 ー

今日は124名のお客様をお迎えしました。
その内、海外からのお客様は四分の三を超え、国籍もアメリカ、メキシコ、オーストラリア、
インドネシア、台湾、韓国、イタリア、フランス、スペイン、オランダ、ドイツ、ベルギーと
12か国にわたり、それはそれはお茶室が開放的で賑やかになりました。この光景を
大宗匠がご覧になったら、どんなにかお喜びになり目を細めて下さったことでしょう。

こちらのお客様はイタリアのミラノから来られました。
さすがに陽気な性格です。片言の英語と身振り手振りのコミュニケーションで
お互いに意味は完全に分からなくても、楽しい気分は伝わります。
つい嬉しくなって、ちょっとだけオーソレミオを歌ってみました。
乗ってくれて拍手拍手♪
きっと、国に帰って「面白い日本人がいてねえ、、」と話題にしてくれることでしょう。




ー イタリア人のご夫婦 ー

こちらのお二人はミラノより南部の方らしいのですが、地名の発音が難しく聞き取れませんでした。
こんな時には、つくづくと、語学力のなさを残念に思います。




ー ベルギーからのお客様 ー

こちらの方は、同行した日本人女性(教師)が生徒をベルギーに引率して行った時に
お世話になったホストマザーで、この度は女性の招きで来日したようです。

手に持っているのは、左側がトトロで彼女のお気に入りのマスコット、どこにでも
彼女のお供をしていて、数日後には一緒に富士山に登ると言っていました。
充分に気を付けてね、と話してお見送りしました。

(右側は姫路市のマスコットキャラクターの「しろまる姫」で日本女性の持ち物です)
※ベルギーでも日本のアニメは人気があるそうです。




どこの国の方にも、「どこから来たのか」「日本のどこに行って来たか」「どこが気に入ったか」
「気に入った場所で感じたことは何か」「これからどこへ行くのか」を一通り尋ねることにしています。

すると、驚いたり、意外だったりすることがあります。
東京、京都、奈良、姫路はだいたい共通していましたが、その他はいろいろでした。
意外なところでは「徳島の阿波踊り」、「水戸の偕楽園」。
ほかにも「屋久島」、「白川郷」、「富士山登山」「広島(たぶん原爆ドーム)」とこちらは
世界遺産ですからなるほど!と思いますが、この中では「広島」というのは初めてのことでした。
世界の目が「広島」に向かうことは嬉しいことです。勿論その方には「素晴らしい旅」とお伝えしました。

そして最後に、「このお茶室と茶庭についてどう思うか」とアメリカ人男性に尋ねてみると、
英語と日本語の対応ブックの、あるページを指さしニッコリしました。
見せてもらうと「serene」=ochitukuと書いてありました。
オウ!オ・チ・ツ・ク!
分かりました!アイ、シー!オチツク!

外国の方にも「落ち着き」を感じて頂き、茶庭もお茶室も喜んでいます。
身振り手振り、全身全霊の国際交流の一日の最後に「最高」の言葉を頂きました。

8月18日
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競馬学校と茶道の教え

2015年08月05日 | 茶の湯便り
ー 画像は小学館ホームページより ー

先日行われた学校茶道研修会において、競馬学校で茶道の授業を受け持たれる
原千代江(宗江)先生の、競馬学校での体験に基づく貴重なお話を伺って来ました。



この競馬学校は、今でも第一線で活躍されている武豊さんなど
著名な騎手を輩出している日本中央競馬会競馬学校(JRA)のことです。

このご講演は、先生の著書であるーなぜ競馬学校に「茶道教室」があるのかー
副題ー勝利はきれいなお辞儀からーをベースにしたものです。



まず、なぜこの学校に茶道が持ち込まれたのか?

その答えは、中学校を卒業し、わずか15歳で親元を離れ入学してくる生徒達は、全寮制の
生活の中で厳しい体重管理がされ、お菓子の持ち込みが禁止されている。だから、せめて
月のうち何回かは公に甘いお菓子を食べさせてあげたい、との学校側の親心があったとのこと。
ですので、茶道の修養をするという目的は当初なかったということでした。



それでどうなったか?

初めこそ反発していた生徒達だったけれど、徐々に先生を信頼するようになり、
今では先生に会える茶道の授業を楽しみに待っているとのこと。

授業で最も大切に考えている作法の一つが「お辞儀」
15歳で自らの将来を決めた生徒達に必要なのは、お茶の技術ではなく「お茶の心」。
その信念から礼儀作法や美しい所作を身に付けるように指導したこと。

ある時、競馬場によく足を運ぶ方が「騎手はお辞儀がきれいだ」と言われたことを
知人から聞いて、自分の指導に対する最高のお褒めの言葉と思い嬉しかったこと。



この著書が反響を呼び、今ではラジオでお話させて頂いたり、講演会で皆さんと
お会いできるようになり嬉しいと話しておられました。
また、武豊さんからは自ら帯を書かせてほしいと申し出があり嬉しかったとも。

長い間の先生のご努力が実り、所作の美しい競馬界のプリンスを生み出していることに
深く感動し、尊敬の念を抱かずにはおれませんでした。

このご講演は、後進の私たちがこれから目指すものへの道標として、今後も大いに役立ち、
また、挫けそうな時には力強く背中を押してくれるものとして心に深く留めておきたいと思います。

※詳しくは小学館出版の著書をご覧下さい。

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袖中に日月を蔵す

2015年07月14日 | 茶の湯便り

すだれを下し、ほの暗い中での濃茶の点前
静まり返った茶室にスッスと袖の擦れる音
そこには人がいても、いない
時間があっても、ない
そんな世界が広がっている

~ 袖中蔵日月 (しゅうちゅうにじつげつをぞうす) ~

この句の後に「掌内握乾坤」(しょうないけんこんをにぎる)と続き、
袖の中に日月を収め、手の内に天地を握る、ということになる。

その意味は、自己を滅して「無」に徹し、
天地いっぱい、つまり至る所をわが物にする、ということである。
これを分かりやすく説明しようと思うと、余計に難しくなる。
だからこのままストンとわが物にするしかない。

~ 先日のお茶事での一コマ ~
お茶入れの緒(ひものこと)をほどいているところです。
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星河清涼の風と荘子の遊

2015年07月10日 | 茶の湯便り
昨日の掛物は「星河清涼風」の色紙

茶会では、その日の茶会のテーマ(趣旨)が、掛物によって表されることが多い。
それと同じように稽古場でも、今日は何を感じてもらいたいのかを表すために
その都度の掛物を選ぶことが大切だと思っている。

それはどちらのお稽古場でも同じことだと思うが、私はそこにはただ禅語だけでなく、
季節感を添えた絵があり、視覚的にも楽しめる短冊や色紙を掛けるようにしている。

昨日の色紙は「星河清涼風」、せいかせいりょうのかぜ
星河は天の川のことで、「星河」は「せいか」とも「せいが」とも読む。

~夏の夜に天を仰げば、そこには流れるように星の川が見える
そして時折吹く涼風に身も心も清らかになっている~




香合はガラス製で蓋には星河が流れている

こうしたお茶の道具は、寒い時には暖かく、暑い時には涼しくと
そんな思いを込めて準備し使われる。
その心が伝わる喜びは、お茶会でもお稽古でも変わらない。




染付の器に朝顔のお菓子

昨日はお弟子さんのIさんから、NHKで放映されていた
「荘子の遊」を見て感動した旨のお話があった。

難しい内容だったけれど、何となくわかるところがあったとのこと。
そこで、お茶が目指す究極の目的とどこか共通しているのでは、、
単調な稽古を黙々と続けることによって得られる無我の境地、、
何ものにもとらわれない自由で平穏な心持ち、、

などなど、言葉で現すにはとても難しいことだったが、
その場での結論は、お稽古の中でそれらを見出していこう、
ということだった。

おそらく、それが体得できた時には星河清涼の風が吹くのだろう。
良いお稽古のひとときだった。

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お道具は一級、腕は三級のトホホ

2015年06月29日 | 茶の湯便り

~ 昨日は、社中で「お目出度い茶事」があった ~

この度「茶名」と「中級」の許状を拝受された方二名と、
6月にお誕生日を迎えられた方二名へのお祝いの茶事。

光栄にも、そのお席の亭主を務めさせて頂くことになり
ここ一週間は、手順の確認をしつつ緊張しながらも
お祝いのお席だから私なりに楽しみにもしていた。

~ * ~ * ~

そして、その当日となり師匠宅茶室に伺うと
準備して下さったお道具が一級品揃いであることに気づき、
単純にも、この立派なお道具を使わせて頂けることを喜んだ。

ところが喜んだのも束の間、普段出来ることもうまく出来ず、
初使いのお道具に立ち止まり、、、挨拶も言葉足らずで、、、
一つとして良いところがないままにお茶事は終わってしまった。

ああ!せっかくのお祝いのお席を、もっとスマートにまとめたかった!
もう少し出来てもよかったのにと、残念に思うことばかりが頭に浮かぶ、、
技量のなさは一級のお道具を以てしても、どうにもならなかったのである。

~ * ~ * ~

経験する度に分からないことが分かってくる。
そして、頂上が遥か雲の上であることにも気づくのである。
道は遠い
だけど上を向いて歩いて行こう。

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「茶道を知的に俯瞰する」講演会に参加して

2015年06月22日 | 茶の湯便り

昨日、見出しの題名で岡本浩一先生のお話を聞いて来ました。

岡本先生は社会心理学者で東洋英和女学院大学人間科学部教授でもあります。
国内外でのご活躍の他に、裏千家茶道を修め、裏千家学園茶道専門学校理事、
巡回講師等、茶道の世界でも活躍され、月刊誌「淡交」の「茶道心講」を
長年にわたって執筆されておられますので、ご存知の方も多いかと思います。

~ * ~ * ~ * ~

昨日の講演は、特に「国際的にみる茶道」「欧米人が見る茶道」の視点から
いかに欧米人が、茶道を日本の文化として重要視し、東洋的教養の一つとして
深く理解していることか、反対に日本人の理解がいかに浅いかを説き、
先生ご自身が海外で感じたことをもとに、体系的に茶道を捉えていく必要性と
今後の修行の方向性をさし示して下さるという内容でした。

~ * ~ * ~ * ~

欧米では、日本人にしか分からないだろうとされた「侘びさび」の理解も進み
禅や武士道も日本人の心のありようを示すものとして関連の書物も
よく読まれるようになりました。

東洋的教養とされているもの

1、ーーー儒教、老荘思想
2、ーーーーーーーーー禅
3、ーーーーーー禅林建築
4、源氏物語、古今和歌集
5、武士道(新渡戸稲造著)
6、ーーーーーーーー茶道

※アメリカでは「侘びさび」の本が200冊ほども出版されているそうです。

~ * ~ * ~ * ~

「一億人の茶道教養講座」の本を会場で買ってきました。
岡本先生が隣のテーブルでサインをされていました。
この本ははじめからサイン入りでしたので、お姿だけ拝見しました。

今回の講演の内容と、具体的な道具や歴史について詳しく掲載されています。
読み進むにつれて自分の不勉強が思い知らされます。
お茶は到達点のない、果てしない知識の海に思えます。
諦めずに一歩一歩歩んで行くしかありませんね。


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傘香合で雨降りを愉しむ

2015年06月19日 | 茶の湯便り

今日は朝からしとしと雨降り
こんな日のお稽古は傘香合を荘り(かざり)
雨の日の風情を愉しみます。



「たのしむ」には二文字があり、「楽しむ」は普通に「楽しむ」「喜ぶ」等々
「愉しむ」は普通に楽しむの他に「不快な心を抜き取って楽しい」との意味があります。

「愉」を分解すると、左側に付いている偏はもともと「心」という字、
右側に付いている「兪」は「抜き取るとの意味があります。

ですから、こんな雨降りで気分がいまいちという時に
この傘の香合を愛でることによって、気持ちを雨降りの不快さから
「雨降りさえも楽しい」に変えてしまおうということなのです。



この香合は飛騨の一位一刀彫
木の国飛騨の「一位の木」はイチイ科の常緑樹で、古くから銘木として知られています。

「イチイ」の語源は、約800年前天皇即位の折、飛騨よりこの木で造った笏(しゃく)を
献上したところ、他の材より優れていたことから位階の「正一位」に因んで賜ったとのこと。

その後、江戸時代末期にこの一位材を用い、木目の美しさを活かし彩色を施さない
一位一刀彫が大成され、現在にその技術が受け継がれているとのこと。
なお、使用する一位材は樹齢四、五百年の貴重なものが吟味され用いられている。
以上、作者説明のしおりより



それにしても、この傘香合、見れば見るほど可愛らしさが増してくる。
それは、傘は傘でもあの骨太の番傘がそのまま小さくなった姿だからなのである。
今時は高級な旅館や料理屋でしか見られなくなってしまったが、
昔は家庭の玄関にも普通に置かれていたものだった。
こうして香合になった番傘から、しみじみと昔の懐かしい雨降りの日が思い出される。
そんなことを考えながらの一服、十分に雨降りを愉しみました。
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姫路城・記念の茶扇子が御守りに

2015年05月19日 | 茶の湯便り



先日、お茶屋さんに行くと、この扇子が広げられて展示されていた。
はじめ飾り物かと思って見ると、脇に値札が置かれていたので売り物だと分かった。

普通なら、扇子は閉じられて、まとめてケースに入れられているが、この扇子は特別!
姫路城が世界遺産に登録され、平成の大修理も無事に終了したことを祝い記念に作られたとのこと。

限定品かどうか聞くのを忘れたが、取り敢えず無くならない内に一本は手に入れとかないと、、
そう思って、ちょうど良い時に来たものだとホクホクしながら買って帰った。

よく考えてみると、今まで使っていた扇子は全て頂き物で、自分で買ったものは一本も無かった。
この歳になって初めて扇子を買うという茶人も珍しいかも知れないが、
その初めて買う扇子がお城の記念品とは、なんという巡り合わせだろう、、

~ * ~ * ~

秀吉の時代から不戦城と言われ、幾度と廃城の危機に瀕しながらも命を長らえて
先の大戦でも奇跡的に戦火を免れた不死鳥のようなお城ですからね。

そう考えるとこの扇子は御守りのように思えます。
良い物を手に入れたものです。



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雨の姫路城お献茶式が国際親善の場に

2015年05月12日 | 茶の湯便り

今日は姫路城でのお献茶式でした。

願いもむなしく雨降りとなり、お家元のお献茶式は三の丸広場から迎賓館に移されました。
会場は私たち一般会員が入れるほどの広さはなく、やむなく御招待のお客様のみになるとのこと、
その説明を受けて、仕方なくお茶を一服頂いて帰ることになりました。

それでも、居合わせた者たちは、残念な思いですぐには立ち去れず、その場に留まっていると
「お家元はこの入口からお入りになります、もしよろしかったら、お出迎えをお願いします」
係の方の一言で、皆口々に「そうだね、せっかくだからお家元のお顔を拝見しましょうよ」
ということになり、お城の入口にずらりと並んで、お家元をお出迎えしてきました。

その間、着物姿の私たちは、外人さんたちの良い被写体になっていました。
「オウ!ビューティフル!」 「サンキュー!」
お献茶式に参列出来なかった私たちは残念でしたが、この外人さんたちにとってはラッキーでしたね。
これだけの着物姿が揃うところは、観光地でそう見れるものではありませんからね。
ささやかな国際親善の一コマでした。




ここはお城の西に隣接する武家屋敷跡庭園「好古園」の茶庭です。
雨で木々や庭石が洗われてしっとりと美しくなっていました。
このお庭を眺めながらの一服は格別です。




こちらはお茶室「双樹庵」です。

今回はお献茶式がメインですので、ここでのお点前はなく、水屋からお茶が運ばれてきました。
早く出かけた甲斐があって一席目に入ることが出来ました。
後が続いているとはいえ、一席目はお迎えする方も力が入っているもので
お客として入れさせてもらう方は、一番充実したお席を楽しむことができますね。
和気あいあいと、美味しくお茶を頂いてきました。


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十よりかへるもとのその一

2015年04月26日 | 茶の湯便り

先日、ある方のブログでこの「日日是好日」という題の茶道関連の本を紹介されていた。
確か、同名の本を読んだことがあったが、その時の本は手放してしまったので、
早速図書館で借りて読んでみることにした。

~ * ~ * ~

その本は、飛鳥新社出版で著者は森下典子氏。以前に読んだ本かも知れなかったが、
この本を紹介されていた方によると、内容は初心者向きとのことだったので、この際に
初心者向きだからこそ、以前に読んだ本であっても、また読んでみたくなったのである。

内容は、著者が初めてお茶に出会ったところから始まり、その後25年間にわたる
お茶の稽古から得た心のあり方を、具体例を通して分かり易く教えてくれるものだった。

その著者が歩んで来た道筋は、私自身のものと重なることも多く、その師匠の教えも、
そうだった!私もよく言われたことだった!と来し方を振り返るのに丁度よかった。

~ * ~ * ~

今、私は茶道教室と高校の茶道部で茶道を教えている。
その中で感じたことは、簡単なことでもきちんと成し切ること、
心がいつもそこにあること、の二つを教えることの難しさだった。
これは、教える側も教えられる側も難しいのである。

稽古は、地味で同じような動作の繰り返しだが、その退屈さを
乗り越えなければ、いつまで経ってもその二つのことが分からずに
それが出来た時の尊い楽しみが得られないのである。

この楽しさが分かると、一段精神的にも技量的にも昇格する。
その繰り返しによって段々と高みを目指していくことになるが、
そこで大事なことは、基本に立ち戻り、土台を広く厚くしていかなければ
ならない、と言うことである。
広く厚くなった土台から、また新たに出発するということである。

~ * ~ * ~

「稽古とは一より習い十を知り、十よりかへるもとのその一」

利休さんの教えを覚えやすいように和歌で表したものである。
教えることは、自分の拙い技量がいつも試されること。
だから、呪文のように「、、十よりかへるもとのその一」を唱えて
私自身も常に勉強、勉強、更に勉強の努力を重ねようと思うのである。

コメント (2)
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